宇宙基本法の参議院強行採決に抗議する


1 宇宙の軍事化を進める宇宙基本法が、5月21日、自民党、公明党、民主党らにより参議院で強行採決された。
  私たち自由法曹団東京支部は、東京の弁護士から成る法律家団体として、宇宙基本法の参議院強行採決に抗議する。

2 宇宙条約は宇宙の平和目的利用を強調し、4条で核兵器及び他の種類の大量破壊兵器を運ぶ物体を地球を回る軌道に乗せないこと、 これらの兵器を天体に設置しないことなどを規定する。また、1969年の国会決議は宇宙の開発及び利用は 「平和の目的に限り」 としている。 憲法の平和原則からも宇宙の平和利用こそが日本のとる方向であり、それが世界の流れである。

3 ところが宇宙基本法は、「国際社会の平和及び安全の確保並びに我が国の安全保障に資する宇宙開発を推進する」 として宇宙の軍事利用に道を開くものである。
  東京では今年1月、新宿御苑で弾道ミサイル防衛 (BMD) のための地対空誘導弾パトリオット3 (PAC3) の調査訓練が行われたが、 宇宙基本法成立後はミサイル防衛のための早期警戒衛星の開発・打ち上げの動きが出る危険性がある。
  5月14日に航空自衛隊浜松基地にPAC3配備が開始されたことも合わせれば、その重大性を指摘せざるを得ない。

4 宇宙基本法はその審議経過も異常であった。昨年、自民、公明の議員立法として宇宙基本法案が提出されていたが、この法案は撤回され、 自民、公明、民主の共同として出されたものが衆参合計してもわずか数時間の審議で強行採決された。
  宇宙軍拡の法律が自民、公明、民主により十分な審議もなく強行されたことは民主主義にとって憂慮すべき事態である。

5 私たち自由法曹団東京支部は、宇宙基本法を口実とした宇宙の軍事化につながる動きを許さず、平和利用のために尽力するものである。

2008年5月21日
自由法曹団東京支部
支部長 島田修一