安全・安心まちづくり条例「改正」に抗議する

  本日午後、自民・民主・公明議員らの賛成、共産・ネット議員らの反対によって、東京都安全・安心まちづくり条例の 「改正」 が強行された。 繁華街等を訪れる来訪者に 「大衆に多大な迷惑となるパフォーマンス等、街の秩序を乱す行為」 を自粛する責務などを課し、 事業者などの民間パトロールや警察官の 「必要な措置」 によって、防犯を強化しようとするものである。

  秩序を自由より優先し、「迷惑」 を理由に表現活動 (=パフォーマンス) を制約しようとするこの 「改正」 が、 言論表現の自由と抵触する危険を帯びることは言うまでもない。 しかも、「繁華街」 や 「必要な措置」 などの概念は極めてあいまいで、法文の混乱や初歩的な 「立法ミス」 も介在し、恣意的に運用される危険をはらむものである。

  自由法曹団東京支部は、意見書 「繁華街から自由が消える」 を発表するなどして問題点の解明・批判を行ない、改正反対をよびかけた。 東京都が行なったパブリックコメントは自由の制約などを懸念する声で埋め尽くされ、広範な団体・個人から「改正」反対の声が突きつけられ、 マスメディアでも規制強化を懸念する報道が続けられた。

  にもかかわらず、深刻な問題をはらむ 「改正」 を、わずか2時間半の委員会質疑で強行したことは、都政史・都議会史に恥ずべき汚点を残したものと言わざるを得ない。 東京支部は東京都および自民・民主・公明の諸会派に強く抗議する。

  他方、批判の広がりのなかで、東京都は 「懸念打ち消し」 に奔走せざる得なくなり、委員会では以下の答弁が繰り返された。 この答弁は警視庁によっても確認されている。

・ 事業者などの自主的な活動を推進するためのもので、第三者に対して権利を制限したり、規制を課すものではない。
・ 警察官や事業者などが行なう 「必要な措置」 は、パフォーマンスなどの街頭行為に対する個別的な指導や注意・要請を含まない。
・ 一般交通に著しい影響を及ぼさないビラ配布は自由とした有楽町事件東京高裁判決 (検察官の上告なく確定) の基準は、変わらない。
・ 指針に 「規制を課すものでない」 ことを明記し、広報などでも徹底する

  これらは、反対・批判の力によってあいまいだった概念を限定させ、厳しい 「縛り」 をかけたものである。 こうした限定・「縛り」 は 「立法趣旨」 として 「改正」 条項の解釈と運用を拘束するのであり、 万が一にも答弁を逸脱して表現活動への干渉・介入などが行われることがあってはならない。

  東京支部は、「改正」 条例の運用を厳しく監視するとともに、広範な団体・個人とともに街頭での言論表現の自由を守り、発展させるために全力をあげるものである。

2009年3月27日
自由法曹団東京支部幹事会