石原慎太郎 「震災は天罰」 発言

弁護士 澤藤統一郎  目次

都民よ、ポピュリストを忌避しよう
(2011年3月23日)

  石原 「天罰発言」 が、ポピュリズムに触れている。「政治もポピュリズムでやっている」 から天罰が下ったという文脈。 「無能な内閣ができるとこういうことが起きる」 という妄言と併せると、民主党政権誕生を支持した国民の動きをポピュリズムと言っているようだ。 しかし、衆目の一致するところ、石原こそが典型的なポピュリストであろう。しかも、極めて質の悪いポピュリストと指摘せざるをえない。

  民主主義とは、理性ある市民の意思が社会の方向を決める原則。 成熟した市民の自由な意見交換によって形成された世論が、政治を動かし権力をコントロールする。 しかし、石原の政治姿勢はこれに正反対である。数え上げれば限りのない差別発言と雑言を売り物とし、非理性的な衆愚の感性に訴えて集票している。 イジメの先頭に立って、取り巻きから喝采を受けているいじめっ子の構図ではないか。これこそ民主主義に似て非なる衆愚の政治であり、 ポピュリズム以外の何ものでもない。

  被災者に 「天罰」 と悪罵を投げつけたのも、選挙間近で都民のウケをねらったイジメ発言なのかも知れない。 しかし、今度ばかりはあまりにひどすぎて、あてがはずれたというところ。それでも懲りずに四選めざして立候補する予定と報じられている。

  都民よ、衆愚となってポピュリストに権力を与えることはもうやめよう。冷静に都政の現状を見つめ直そう。

  「貧困都政」 (岩波書店)を著した永尾俊彦氏が鋭く指摘している。
  「石原都政では、都民が切実に望んでいることはどうでもよくて、福祉や医療で削った金を知事が思いついたことに投資している。 気運の盛りあがらないオリンピック招致、新銀行東京、三宅島のオートバイレース。しかも大失敗しても責任をとらない。 それどころか、豪華外遊や高額接待をくり返し、築地市場を土壌汚染地に移そうとしている。 『日の丸・君が代』 の強制に見られるように、都の方針に従わない教師や職員は処分し、左遷し、だませようとしてきた」

  まったく同感である。同胞の被災に涙する心をもつ都民に訴える。こんな人物を知事にしてはならない。