石原慎太郎 「震災は天罰」 発言

弁護士 澤藤統一郎  目次

「天罰」 は東北に、「福利」 は首都に
(2011年4月5日)

  「毎日」 の読み始めは 「万能川柳」 欄から。本日の秀逸句が、「首都圏の電気 福島からと知る」 (熊本・坂の上の風)。 東北出身者としては白けた気分とならざるを得ない。そんなこと、今ごろ知ったというのか。作句者には他人事なのだろう。

  今さら言うまでもないが、東京電力の原発は、福島第一(6基)・福島第二(4基)・柏崎刈羽(7基)の3か所。 いずれも、東京を遠く離れた 「東電エリアの外」 にある。首都の利便と安全のために、僻遠の 「化外の民」 が危険を引き受けているのだ。

  「そもそも電力は、国民必須の需要によるものてあって、電力政策の権威は産学協同に由来し、その権力は政府がこれを行使し、 その危険は東北北陸が引き受け、福利は専ら首都圏がこれを享受する。 これは我が国固有の歴史的構造原理であって、東電の原発経営はかかる原理に基くものである」

  だから、3月25日における、首都の知事と福島県知事の会見は、特別の意味をもつものであった。 危険を東北に押しつけて利便を享受してきた首都と、リスクが顕在化した東北との、本来であれば火花を散らすべき対決である。 そこで、首都の知事は 「私は今でも原発推進論者」 と言ってのけたのだ。私には、「今後とも首都の利便のために原発を推進する。 電力供給は必要なのだから、被災は東北の天罰として甘受していただきたい」 との、彼の本音と聞こえる。

  ところが、3日のフジテレビ系公開討論会の席上、「小池(晃)氏が、石原(慎太郎)氏が福島県で 『私は原発論者』 と発言したことを批判すると、 石原氏は 『そんなことは言っていない』」 と反論、「小池氏は 『いやいやハッキリ報道されてます。ごまかさないでください』 と言い返した」 と報道されている。 また、席上 「慎太郎氏は都の防災服姿。『フランスは原子力発電をうまくやっている』 『何も、原子力一辺倒と言ってるわけじゃない』 などと主張し」 たとも報じられている。何も分かっちゃいない。何も反省してはいないのだ。

首都圏の心ある人々よ。数多の蝦夷の末裔たちよ。こんな人物を知事にしておいてよいのか。恥ずかしくないのか。