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福島原発被害の完全賠償を求めて~福島原発避難者訴訟

2014年2月6日

 

事件名

福島原発避難者損害賠償請求事件

内容

2011年3月11日に発生した福島第一原発事故が原因で、旧警戒区域・計画的避難区域等の避難指示区域から強制的に避難を余儀なくされた避難者が、当該事故の加害者である東京電力を被告として損害賠償を請求する訴訟

当事者

原告
第1陣 第1次原告(39名)第2次原告(178名)
第2陣 第1次原告(137名)

被告 東京電力株式会社

係属機関

第1陣 福島地方裁判所いわき支部訴訟係(合議1係)

事件番号

第1陣 平成24年(ワ)第213号

次回期日

(第1陣)2014年2月12日(水) 14:00

次回期日の予定

第1陣の第1次訴訟と第2次訴訟の併合
第2次原告の意見陳述

紹介者

弁護士 髙橋右京

連絡先

福島原発被害弁護団
〒110-0015 東京都台東区東上野3丁目28-4 上野スカイハイツ504号
TEL 03-5812-4671  FAX 03-5812-4679
e-mail toukyouhonbu1031@yahoo.co.jp 

概要

1 当事者

(1)原告

①第1陣原告

福島原発事故当時、避難区域である双葉氏、楢葉町、広野町、南相馬市に居住し、事故後現在にいたるまで、いわき市他福島件内外において避難生活を強いられている住民。第1次・第2次原告合わせて80世帯、217名。

②第2陣原告

同じく福島原発事故当時、避難区域である川俣町山木屋地区、双葉町、楢葉町、広野町、南相馬市に居住し、事故後現在にいたるまで、福島市他において避難生活を強いられている住民。35世帯、137名。

(2)原告ら代理人

福島原発被害弁護団(共同代表:小野寺利孝弁護士、広田次男弁護士、鈴木堯博弁護士)

(3)被告

東京電力株式会社

2 請求額

(1)第1陣訴訟(第1次、第2次合計)

被告は、原告らに対し、合計106億1307万4016円を支払え。

(2)第2陣訴訟

被告は、原告らに対し、合計65億7077万9464円を支払え。

 3 請求の内容

(1)基本的な考え方[生活再建、再出発に必要な賠償を!]

一人ひとりの被害者が地域コミュニティから無理やりひきはがされ、人間同士の関係性を断ち切られて孤立し、従来の人間らしい生活とその基盤を根こそぎ奪われ、今後どこに定着して生活したらいいのかの見通しもつかないこと、すなわち全人格的被害を受けている。

本件事故は公害であり、加害者と被害者は非互換的で、加害行為には利潤性がある。

そのうえで、広範囲の地域において継続的かつ全面的・深刻な被害を引き起こしている。しかも、本件事故による被侵害法益は、人格発達権や平穏生活権であり、これまでの差額説的な考え方で扱われるものではなく、このような権利を充足していた社会的諸条件の効用の回復にこそ損害賠償の目的は据えられるべきである。

よって、生活再建、再出発を行なうために必要な賠償、原状回復が図られるべきである。

(2)損害賠償請求の項目(今後追加請求する予定のものも含む)

① 積極的損害

避難や避難先での生活のために必要となった実費。

交渉において東電が認めて支払いを行ったものはあるが、東電が認めなかったものなどについて請求。

② 休業・逸失利益の賠償

③ 財物賠償

警戒区域及び計画的避難区域として指定された地域、またそれに準じる地域については政府による区域の変更、立ち入り制限の程度に拘わらず、向こう5年間以上の間は生活基盤としての価値を全面的に喪失した。→時価ではなく、再取得価格の請求。

[土地]

少なくとも全国平均値としての土地購入価格として、住宅金融支援機構「平成23年度フラット35利用者調査報告」による土地付き注文住宅利用者の土地取得費の全国平均額である金13,688,000円を基本とした。

[建物]

 少なくとも全国平均値での建物購入価格とし、減価償却は考慮されるべきではないとの考え方から、土地と同様にフラット35の統計データに基づくと、住宅建設費の全国平均値は金22,380,000円(住宅面積の平均値は115.3㎡)であり、この額を最低限の賠償価格とした。

[その他]

今回の請求額は、自宅不動産を含むが、農地や事業用不動産を含んでいない(今後請求を拡張する予定)。

④ 避難に伴う慰謝料

避難生活が終了するまで、一人につき月額50万円を請求する。

⑤ ふるさとを喪失したことに対する慰謝料

かつての自宅、また自宅のあった地域社会そのものを喪失したことに対する慰謝料として、一人につき、金2000万円を請求する。

裁判の経過

1 第1陣訴訟

2012年12月3日  第1次原告提訴
2013年7月17日  第2次原告提訴
10月2日  第1回口頭弁論(第1次訴訟)
2013年11月27日 第2回口頭弁論(第1次訴訟)

2 第2陣訴訟

2013年12月26日 第1次原告提訴

訴訟の意義

2011年3月11日に発生した福島原発事故は、未曾有の放射能汚染被害をもたらしました。強制的に避難を余儀なくされた住民達は、それまで住んでいた地域コミュニティーを奪われ、仕事も生活も生き甲斐までも奪われました。今なお10万人を超える人々が見知らぬ土地の仮設住宅などで不自由な避難生活を強いられ、絶望感や焦燥感に苛まれながら、計り知れない様々な被害に苦しみ続けています。

ところが、加害者である東京電力は、自らの加害責任をあいまいにしたまま、被害者に対する不当な損害賠償基準を一方的に策定し、その基準以上の賠償には応じない姿勢を露骨に示しています。その上、政府が2013年12月20日に決定した「復興の加速指針」は、被害の回復を図る上では極めて不十分なものであり、これによってふるさとが切り捨てられる恐れもあります。

避難者には、奪われた生活の再建を実現し、再出発するために必要な完全賠償、すなわち現状を回復するに足りる賠償を求める権利があります。そこで、本件訴訟原告ら及び弁護団は、以下の目的をもって本件訴訟を提起いたしました。

第1に、加害者責任の断罪です。本件事故により原告らが強いられた過酷な被害と、それをもたらした被告による加害の構造を事実に基づいて明らかにし、被告の加害責任を明確にする司法判断を勝ち取り、被害者に対する真の謝罪を被告に行わせます。

第2に、被害者の人権回復です。原告らの失った生活を取り戻し、人間の尊厳を全面的に回復して新たな人生を確立するために、原状回復に足る十分な損害賠償を被告に命ずる司法判断を勝ち取ります。

第3に、原発公害の根絶です。今日なお過酷な被害に苦しんでいる全ての被害者たちの共通の思いは「自分たちが体験している悲惨な被害をもたらした原発公害を再び繰り返してはならない。」ことです。原発ゼロ社会の実現のために最大限努力します。

この裁判に対する、皆さんのご理解と大きなご支援を心からお願いいたします。

文責 NPJ編集部

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