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“嘘”がまかり通った国会

寄稿:飯室勝彦

2020年12月3日


 国会は “嘘” が堂々とまかり通る場になってしまったのだろうか。虚偽の答弁のうえに築かれた安倍・長期政権だとすれば安倍晋三前首相と、その政権を支え、継承した菅義偉現首相の責任はきわめて重い。事実をきちんと解明して立憲民主政治を再構築しなければならない。「秘書がやったこと」で終わらせてはならない。

◎補填否定は虚偽
 安倍前首相の後援会が主催した「桜を見る会」の前夜祭について、安倍氏側が費用の一部を補填していたことがほぼ確実になった。東京地検の捜査で、会場だったホテルから安倍氏の政治団体に宛てた領収書の存在が分かり、安倍氏の関係者も補填を認めた。 5 年間で約800万円 (900万円余との報道もある) というが、政治資金収支報告書には記載がない。
 このため報告書への記載を求めた政治資金規正法、有権者への寄付を禁じた公選法に違反しているとして前首相らが告発されている。領収書の発見などで、「補填は「一切ない」と一貫して否定してきた前首相の国会答弁は虚偽だった疑いがきわめて濃厚になった。

 国会で安倍氏は
「 (会場の) ホテル側との契約主体は参加者。(安倍)事務所の収支は一切ない」→「だから前夜祭について政治資金報告書に記載する必要がない」と説明し、
 豪華な会場で酒食が提供されたのに「安すぎる」 (5000円) と言われた会費の不自然さについて追及されると、「参加者の大多数が宿泊者という事情などを勘案しホテル側が設定した」などと答弁していた。
 ところが実際には会費では費用をまかなえず安倍氏側が補填していたわけだ。
 安倍内閣の官房長官だった菅首相も安倍氏の答弁を追認し、内閣を支えてきた。そしていまは「安倍政権の継承」と称して政権の座についている。

◎責任は秘書に?
 報道によると安倍氏の周辺は「当時、(実務担当の秘書が) 補填の事実を前首相に伝えなかった。補填の疑いが明るみに出てからも、報告書に記載してないことを告げず嘘の説明を続けたため、それに基づく答弁になった」と釈明しているという。
 しかし会場の豪華さや提供された酒食などに照らすと5000円の会費は割安で不自然であることに安倍氏が気づかなかったとすれば不自然だ。多額の政治資金の動きに安倍氏がまったく無関心だったとも思えない。しかも補填は少なくとも 5 年続いたのである。周辺の釈明は安倍氏の刑事責任を免れさせるための伏線という見方もできる。
 報道によれば東京地検特捜部は、安倍氏の政治団体の代表を務める公設第一秘書を政治資金規正法違反 (不記載) で立件する方針を固めたとされる。不記載額は最終的に4000万円前後に上るとみられるという。
 不祥事が発覚すると、「やったのは秘書」と実務担当の秘書などに責任を押しつけ、本人は追及から逃れるのは政治家がしばしば使う手法だ。「秘書がやったこと」「自分は知らなかった」などという弁解はもう聞きたくない。安倍氏は真相を洗いざらい語り、責任を明らかにするべきだ。
 衆院調査局の調査によると、森友学園への国有地売却を巡る問題でも、安倍政権下の2017年から18年の間に国会で行われた政府答弁のうち、事実と異なる答弁が139回もあったという。これでは「嘘の上に築かれた長期政権」との評も生まれよう。

◎国会と国民を愚弄
 主義、主張が違っても、向かい合う双方が互いに信頼し、誠意を持って真実を語り合うという前提があってこそ議会制民主主義は正しく機能する。まして国会は国権の最高機関(憲法第41条)であり最高の尊敬を要する。
 虚偽答弁で苦境を逃れようとするのは国会の権威を無視するものであり、国会に権力を託した国民に対する背信、愚弄である。
 疑惑が大きく取り上げられても、安倍氏はほとんど沈黙を守り、菅首相も捜査中を理由に語らない。衆院調査局という公的機関の調査結果が「虚偽答弁」と出ても、首相は森友問題の再調査を否定した。
 野党は安倍氏に国会で説明するよう求めるなど厳しく追及の構えだが、新型コロナウイルスの感染問題の陰に隠れて必ずしも活発とはいえない。まして自民党は「我関せず」のごときだ。
 この問題は野党も与党もない。日本の民主主義、とりわけ議会制民主主義が問われているとの問題意識を持って検証しなければならない。それなくしては安倍政権が壊しつつあった立憲政治の再構築は困難だろう。

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