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怒り、不信を総選挙へ

寄稿:飯室勝彦

2021年8月24日


 横浜市長選の結果は菅義偉政権に対する横浜市民の不信任表明といえる。新型コロナウイルスへの対処などについての怒り、不安、不信などの爆発である。事実上の「野党統一候補」が現職首相の後押しする候補に圧勝した事実は、この秋に行われる衆院選における野党の戦い方を示唆してもいる。不安や怒りは横浜市民以外の有権者も共有している。次は「有権者・国民」が爆発させる番だ。

◎18万票差の完勝
 乱立とも言える 8 人が立候補した市長選で50万票を獲得、当選した元横浜市立大学教授、山中竹春氏はカジノを含む大型リゾート (IR) を横浜港に誘致することに反対し、市民の共感を得た。同時に専門家 (元横浜市立大学医学部教授) として菅政権のコロナ対策も厳しく批判した。閣僚を辞任までして立候補した小此木八郎氏も IR 誘致に反対したものの、IR の構想は小此木氏を全面支援し菅首相が前政権から引き継いでいる政策である。
 山中氏は立憲民主党と連合神奈川が推薦し、共産党、社民党が支持する、いわば野党統一候補だった。片や小此木氏は横浜を選挙区、お膝元とする首相が応援することで野党統一候補 × 菅首相の戦いのようだった。その意味では菅政治が問われたとも言えたが、山中氏は50万票と小此木氏に18万票も差をつけて完勝した。
 
◎ “核” がまとまれば
 この結果は、近づいている衆院選の正しい戦い方についてヒントを与えている。
 国民民主党は「共産党アレルギー」があり、連合の中に共産党への違和感を抱く勢力が少なくない現状では今後も「野党統一」を広範囲に実現するにはハードルが高いだろう。今回の選挙は「横浜的状況」といえるかも知れない。しかし市長選の結果は「核となる部分がまとまれば勝てる」ことを語ってはいないか。

◎矛先を間違えないように
 今度の衆院選で有権者は菅政権に初めて審判を下すが、審判する側として警戒しなければならないのは、怒りなどの矛先を向ける相手を誤ることである。コロナ禍の出口がいっこうに見えないことにしびれを切らしたかのように、全国知事会は人権上疑問のあるロックダウン (都市封鎖) 導入を言い出したし、一部の世論調査では政府がもっと強い措置を執れるように法改正を求める声も出始めた。自民党の中には国民の不安に乗じて、政府に強力な権限を与える緊急事態条項を創設するなどの改憲実現を目指すグループもある。
 危機的状況下では、ともすれば強い力を待望しがちだが、「強権」は「危険な力」になりかねない。改憲阻止のための安定勢力の獲得、維持のために、衆院選でも“核”としての野党勢力がまとまり、怒りや不信、不安などの矛先を正しい相手に向かって爆発させたい。

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