【NPJ通信・連載記事】読切記事
“掲示板ジャック”は民主主義を愚弄
東京都知事選のポスター掲示板に選挙とは直接関係ないポスターが大量に貼られた。特異な人物による特異な言動がそもそもの発端だが、「表現の自由」を弄び、「民主主義」の根幹を揺るがしかねない行為だ。言動の特異さに眼を奪われ、面白ばなしの種に終わらせることは自戒したい。
選挙の掲示板は、本来選管に立候補を届けた人のポスターを貼ることを想定している。ところが今回の都知事選では選挙とは無関係の犬の写真や裸に近い女性の写真などのポスターがあちこちで大量に貼られた。
これらの掲示枠の多くは候補者を立てている政治団体「NHKから国民を守る党」(いわゆるNHK党)に与えられた枠だった。この団体は寄付と引き替えにポスター掲示枠を譲ると公表している。問題のポスターの主はNHK党から枠を事実上 ”買った” のだろうか。
同党主と同党支援者らは過去の選挙でも「表現の自由」を前面に押し立てて特異、あるいは過激な言動で物議を醸したことがある。それに対する社会一般の受け止め方は特別変わった人物による “スタンドプレー” と軽視するものではなかっただろうか。
ここで踏みとどまって考えてみたい。選挙とは人々が自分がこの国の主人公であることを、自覚し、表現する機会である。
候補者のポスターを貼る掲示板は主人公である人民が候補者と対話する場であり、近い将来に有権者となる子どもたちが選挙って何? どんな人が立候補してるのと考え、友達とも会話する大切な機会をも与える。ポスターを見ながら会話する子どもたちの笑顔は私たちを励ます。
選挙を冷笑し、真剣な選択を考える人々を馬鹿にするような言動は徹底的に批判されなければならない。
いわば掲示板は主権者の権利であり”武器である。
掲示板を管理する選挙管理委員会や事務局は公職選挙法一条がうたう「民主政治の健全な発達」という憲法と法の目的の実現のため、具体的な手を打つべきだ。
これは明後日に迫った都知事選のみならず、秋にも予測される総選挙、各自治体の議員、首長選挙にも言える。選挙管理委員会はもっと勉強すべきだ。わたくしたちも要望をぶつけよう。
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