【NPJ通信・連載記事】読切記事
自民党の「安全保障法制」のQ&Aにちょっと待った!その②
自民党のパンフレット「国民をしっかり守れる国へ。」(http://jimin.ncss.nifty.com/pdf/pamphlet/pamphlet2014_9.pdf)のQ&Aと同じ質問に、あすわか的に回答していくシリーズ2回目です。
憲法が掲げる平和主義を放棄するのですか?
○自民党の答え(パンフレットより引用)
「憲法の下で認められる自衛権の行使は、必要最小限度の範囲内にとどまる」という従来の立場は、全く変わりません。「新三要件」を満たす場合、やむを得ない自衛の措置として初めて武力の行使が許されます。「専守防衛」の方針も不変です。
○あすわかの答え
「憲法の下で認められる自衛権の行使は、必要最小限度の範囲内にとどまる」という言葉は変わりませんが、「必要最小限度」の内容は拡大される一方ですし、安倍首相になってからは「平和主義」の頭に「積極的」という言葉が付くようになりました。
積極的平和主義の名の下で集団的自衛権自衛権も憲法改正することなく行使できるようにしただけでなく、武器輸出3原則は防衛装備移転3原則に改めて紛争当事国への武器輸出を認めるなど、これまでの平和主義の考え方ではおよそ説明できないことを次々と行っています。
自民党が平和主義を放棄するつもりはないと言ったところで、平和主義を放棄したと言われても仕方ないほど根本から変えてしまっていることは否定できないでしょう。
徴兵制が採用され、若者たちが戦地へ送られるのでは?
○自民党の答え
全くの誤解・誤報です。
憲法第18条で「何人(なんぴと)も・・・<中略>・・・その意に反する苦役に服せられない」と定められているなど、徴兵制は憲法上認められません。
○あすわかの見解
安倍政権は、「集団的自衛権の行使は憲法9条に違反する」という従来の政府見解を、閣議決定により変更しました。同じように時の政権が憲法18条の解釈を変更し、徴兵は「苦役ではない」と解釈を変更すれば、若者達が徴兵され、戦地へ送られる可能性があると考えざるを得ません。自民党の石破元幹事長も、過去に、徴兵制は苦役ではないから憲法違反ではないと発言しています。
また、奨学金を利用せざるを得ない学生に対し、自衛隊に入隊すれば返還を免除する等の方法で、経済的徴兵制が実施される危険性が指摘されています。
抑止力が本当に高まるのですか?高まることがかえって危険なのでは?
○自民党の答え(パンフレットより引用)
万が一の備えを明確にすることで、抑止力は高まります。
いかなる紛争も、外交的に解決することが前提です。その上での万が一の備え、すなわち抑止力こそが、万が一を起こさないようにする大きな力となります。かつて、同じような批判がありましたが、戦後、日本が戦争に巻き込まれたことは一度もありません。
○あすわかの答え
集団的自衛権は、他国が武力攻撃を受けたとき、武力攻撃を受けた国家の軍隊と自衛隊が協力して、戦闘を開始するということです。「アメリカを攻撃したら日本が反撃する。だから日本を攻撃するのをやめよう。」というのは論理的ではありません。集団的自衛権と抑止力は、ほとんど関連がありません。
また、仮に抑止力が一瞬高まったように見えたとしても、政府はそれで安心することはないでしょう。他国がより軍事力を高めれば、日本もさらに軍事力を高めるという競争になることは目に見えています。結局、抑止力を強調することは、さらなる軍拡につながるのです。
さらに、実際に武力を行使することになれば、犠牲者が生まれ、必ず反感や恨みをかうことになります。集団的自衛権の行使により、日本は戦争やテロに巻き込まれる可能性が大きくなると考えられます。
<続く>
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