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【NPJ通信・連載記事】憲法9条と日本の安全を考える/井上 正信

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根拠なき危機を煽るデマゴーグ政治家安倍首相の退陣を求めよう

2014年6月19日

5月29日にアップした「集団的自衛権の限定容認論」の冒頭で、「安倍首相はつくづくデマゴーグ政治家だと思います。彼は昨年9月ブエノスアイレスで開かれたオリンピック招致委員会の席で福島原発は完全にコントロールされている、放射能は港湾内に完全にブロックされていると世界に向けて大ウソをつきました。安保法制懇報告書が出された5月15日、政府の「基本的方向性」を説明する記者会見で、子供や年寄りを守るための集団的自衛権だと大ウソをつきました。集団的自衛権は、日本が武力攻撃を受けていない状況でも戦争に参加するもので、それにより、私たちが危険にさらされるかもしれないからです」と述べました。

集団的自衛権行使の閣議決定をするための自公協議を急がせるため、デマゴーグぶりは一層際立ってきています。

5月15日、韓国在住の日本人を乗せた米艦を防護しなくてどうするのだ、と「政府の基本的方向性」を情緒的に国民に説明しましたが、その後の国会での集中審議で、安倍首相は米艦だけの防護とは説明していない、日本人が乗っていなくても防護するなどと、前言を翻しました。

さらに安倍首相は、機雷掃海に強いこだわりを見せています。ホルムズ海峡が機雷封鎖された場合、石油輸入が途絶して我が国の存立が根底から脅かされるという理由です。

安倍首相は武力行使を目的にした活動はしないと国会で答弁しました。これに対して、武力行使の一環として敷設された機雷を掃海するのも武力行使であるから、武力行使を目的にした活動ではないかと批判されると、安倍首相は、「敵を撃破するために大規模な空爆をしたり、敵地に攻め込んだりする行為とは性格を異にする」と答えました。

これらのやりとりで言えることは、安倍首相は「限定容認」といいながら、自分ではその「限定」を守る気がさらさらないということです。いわゆる「屁理屈」で批判をかわそうということでしょう。

さらに私が許すことができないのは、ホルムズ海峡機雷封鎖で原油輸入が途絶し、我が国の存立が根底から脅かされるという安倍首相のデマゴギーです。

軍事の専門家は、イランがホルムズ海峡を機雷封鎖することはあり得ないであろうと指摘していますが、そのことは脇に置いて、もし機雷封鎖したら日本へ輸入される石油が途絶するでしょうか。

6月2日に開かれた衆議院安全保障委員会外務委員会連合審査会で、共産党赤嶺議員がこの点を取り上げました。政府答弁によると、2011年当時の日本の石油備蓄は国家備蓄と民間備蓄を併せると、なんと、168日分(5ヶ月分以上)あるというのです。2014年3月末現在では193日分の備蓄があると報道されています(6月19日付しんぶん赤旗)。石油備蓄法による備蓄です。2011年はイラン大統領が、イスラエルが空爆すればホルムズ海峡を機雷封鎖すると発言した年です。赤嶺議員はさらに、ホルムズ海峡を迂回するパイプラインが設置されていることも指摘しました。アラブ首長国連邦のホルムズ海峡の外に向けたルートと、サウジアラビアの紅海へ至るルートです。

安倍首相がこのことを知らないはずはありません。このことを知らずに機雷掃海の必要性を主張しているなら、それこそ首相失格でしょう。ホルムズ海峡が機雷封鎖されても、我が国には石油備蓄が半年分ある、ホルムズ海峡を通らなくても、石油は輸入できる、だから心配をする必要はない、と国民に説明するのがまともな政治家です。

ところが安倍首相は根拠のない不安を故意に煽りながら、自分がこだわる機雷掃海をすべきことを国民に納得させようとデマゴギーを振りまいているのです。

ことは武力紛争に戦後日本が当事者として関わるか否かという、戦後歴史の大転換を図る問題です。そのような重大な問題をデマゴギーで不安を煽り、その場その場の屁理屈で批判をかわそうとする政治家には、この国の舵取りを任せるわけにはいかないと思います。

集団的自衛権行使を容認させるため持ち出した15事例は、どれもこれも「機雷掃海」事例と同じレベルのデマゴギーです。この議論で決定的に欠けているのが、もし集団的自衛権を行使した場合どうなるのかという点です。

台湾海峡での中台武力紛争で日本が米国と集団的自衛権を行使すれば、中国は日本を敵国として武力攻撃をするでしょう。沖縄本島の那覇空港(航空自衛隊の基地がある)、嘉手納・普天間基地、佐世保や九州内の自衛隊基地、岩国、呉、横須賀、三沢などは攻撃対象になるでしょう。

ホルムズ海峡で機雷掃海をすれば、私達はイスラム過激派によるテロ攻撃を覚悟しなければならないかも知れません。第二次朝鮮戦争で日本が米国とともに集団的自衛権を行使すれば、北朝鮮からの弾道ミサイル攻撃を覚悟しなければならないでしょう。北朝鮮軍特殊部隊による国内の破壊活動も想定されるでしょう。原子力発電所が攻撃されたら福島原発事故の比ではないでしょう。集団的自衛権の限定行使だといっても、相手国は日本に対する反撃を控えるはずはありません。武力紛争は拡大します。

この様な批判をすれば、安倍首相は抑止力に言及するでしょう。日本がこの様な構えでいることが相手国に対する抑止力になるのだと。この説明は政治家としては絶対に言ってはならないことです。「抑止力」と言ったとたんに、安全保障問題で思考停止になるからです。「抑止力」は単に希望的観測に過ぎません。問題は抑止が破れたときにどうするのか、どうなるのかということを、政治家としては真剣に考えて政策選択をすべきです。

尖閣をめぐり中国と武力紛争になったらどのような結果になり、どのような影響があるのか、安倍首相は責任がとれるのか。憲法解釈の最高責任者と自認している安倍首相には説明する義務があります。それに答えられない安倍首相は、政治家としては失格です。私達は安倍首相の戦争ごっこに付き合わされる訳にはいきません。デマで危機を煽り、憲法を破壊しようとしている安倍首相の退陣を強く求めるものです。

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