NPJ

TWITTER

RSS

トップ  >  NPJ通信  >  特別寄稿 「小沢事件」 の真実 権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊

【NPJ通信・連載記事】時代の奔流を見据えて─危機の時代の平和学/木村 朗

過去の記事へ

特別寄稿 「小沢事件」 の真実 権力の暴走とメディアの加担による民主主義の破壊

2014年5月6日

この8月に鳥越俊太郎氏と私との共編著 『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』 が、 日本文芸社から出版されることとなりました。本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、 いや今もゆるがせ続けている小沢問題(「小沢事件」)の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。 本書を一読していただければ、いまの日本の司法・政治がどれほど深刻な危機に陥っているか、 あるいは日本はすでに法治国家・民主国家ではなく暗黒社会・全体主義国家(ファシズム) に移行しつつあるのではないかという問題提起の意味が分かっていただけると思います。

執筆陣は、共編者である鳥越俊太郎氏をはじめ、三井 環、仙波敏郎、鈴木宗男、佐藤栄佐久、石川知裕、植草一秀、郷原信郎、川内博史、有田芳生、 小川敏夫、八木啓代、青木 理、高野 猛、二木啓孝、山口一臣、神保哲生、浅野健一、 マーティン・ファクラー各氏などこの問題に精通した蒼々たる方々に加わっていただいています。

本書には小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)から貴重な序言を寄せていただいています。 また、孫崎 享先生(元外務省国際情報局長)からも 「政治的謀略としての小沢問題をここまで多角的に検証した本は初めてだ」 という力のこもった帯の言葉をいただきました。

本書が、小沢問題(「小沢事件」)の解明にどこまで成功しているか、そしていままさに危機に瀕している民主主義の再生に寄与できるかどうかは、 読者の皆さんにお任せするしかありません。しかし、前回のNPJ特別寄稿 「日本は真の独立国家なのか 『終わらない〈占領〉』 を問う」 でご紹介させていただいた孫崎 享氏と私の共同編著 『終わらない〈占領〉: 対米自立と日米安保見直しを提言する!』(法律文化社 書評はこちら )と同じく、 現在の政治状況に一席を投じるだけでなく、日本の戦後史にとっての貴重な歴史的文書・資料としての価値をもっていると確信しています。

この8月に来日されたアメリカのオリバー・ストーン監督がピーター・カズニック先生(アメリカン大学)と共同で作られた 「もうひとつのアメリカ史」 は、 アメリカ現代史の暗部を明らかにした作品(映画と本)であり、アメリカしに限らず、世界の現代史に対する大きな貢献だと思います。 またそれは、日本の戦後史の<影の部分>に挑戦した孫崎 享氏の 『戦後史の正体』(創元社)と 『アメリカに潰された政治家たち』(小学館)、 あるいは鳩山由紀夫氏、孫崎 享氏、植草一秀氏の3者による共著 『「対米従属」 という宿痾(しゅくあ)』(飛鳥新社)とともに、 これまでタブー視されてきたテーマ・問題を解明しようとしている点で共通点があり、大きな歴史的意義があると思います。 日米両国において期せずして同じ時期にこのようなこれまで語られなかった(教えられなかった) 歴史の真実が明らかにされようとしていることは決して偶然ではないと思います。

いまの日本内外の状況は、1930年代の戦争とファシズムの時代状況にかなり近づきつつあるといっても過言ではありません。 こうした閉塞状況を克服・打破していくためにも、わたしたち一人ひとりが思考停止状態から脱してまずは知ることからはじめる必要があるのではないでしょうか。

☆鳥越俊太郎・木村 朗共編 『20人の識者がみた 「小沢事件」 の真実 捜査権力とメディアの共犯関係を問う』 (日本文芸社)の目次・構成目次は以下の通り。
序言 小沢一郎
序章 鳥越俊太郎

第1章 被害者たちが証言する 「国策捜査」 の実態
三井 環 検察がつぶれる 「最大の弱み」 を告発
仙波敏郎 「暴力組織」 に成り下がった検察、「既得権益」 にしがみつくメディア
鈴木宗男 権力とメディアの暴走を許さない
佐藤栄佐久 原子力帝国・全体主義国家に変貌する日本
石川知裕 日本の民主主義のため最後まで闘う
植草一秀 小沢裁判事件の評価と主権者がとるべき行動

第2章 民主主義の危機、「検察」の暴走を検証する
郷原信郎 陸山会事件における検察とメディアの暴走
川内博史 法務・検察官僚に組織としての正義派あるか?
有田芳生 政治的冤罪事件「小沢ケース」の奇々怪々
小川敏夫 検察の暴走と「指揮権発動」の真相
八木啓代 検察の暴走・司法の崩壊に、市民に何ができるか
青木 理 暴走検察の背後にある刑事司法の巨大な歪み

第3章 なぜ、大メディアは「検察」の暴走に加担したのか
高野 孟 革命的改革を阻止した官僚と、それに手を貸したマスコミ
二木啓孝 「アンチ小沢という空気」の正体
山口一臣 「週刊朝日」と大手メディアの違いはどこから生じたのか
神保哲生 民主統制なき刑事司法に、メディアが最後の砦になれないことの悲劇
浅野健一 小沢事件をメディアはどう報じてきたか
マーティン・ファクラー 官僚機構の一部と化したメディアの罪

終章
木村 朗 検察の暴走とメディアの加担―小沢問題の意味を問う
小沢関連問題の参考文献

     序 言         小沢 一郎

昨年(2012年)11月12日に東京高裁・控訴審で無罪判決が出され、その後に検察官役の三人の指定弁護士が上告を断念した結果、 陸山会事件に関する私の無罪判決が確定しました。私にとっては、この三年七か月余りに及ぶ、検察の捜査と裁判の日々は本当に忍耐の毎日であり、 大変厳しい試練の月日でした。国民の皆さんの支援や励ましがなければ、到底この重圧に耐えることはできなかったと思います。 これまで私を信じ、励ましてくれた多くの国民の皆さんに、この場をお借りして心から感謝したいと思います。
しかし、陸山会事件での私の元秘書3人(石川知裕氏、大久保隆規氏、池田光智氏)に対する不当な有罪判決が今年に入って出されました。 また、検察審査会への捜査報告書を捏造した検事が不起訴処分となっています。 私や秘書たちに対するいわれなき誹謗中傷や理不尽な人物攻撃などもいまもかたちをかえて続いています。 その意味で、この陸山会事件はまだ終わったなどとは到底いえるような状態ではありません。

本書には、いわゆる 「小沢問題(捜査・事件・裁判)」 ともいわれる私・小沢一郎と私の3人の秘書に向けられた 「政治とカネ」 をめぐる問題の背景・経緯と本質・核心がそれぞれの論者によって詳細かつ明確に分析・叙述されています。 多くの論者は、小沢問題は単なる刑事(えん罪)事件ではなく、その背景には何らかの政治的意思を持ったある特定の個人・集団が検察と司法を暴走させ、 それにメディアが加担した結果として作られたものであると結論付けておられます。
こうした見方にはじめて接せられる多くの読者の方は、きっと驚かれるかもしれません。 ただ、本書を一読していただけるならば、これまで取り沙汰された私に対する疑惑のほとんどが何ら根拠のないものか、 まったくの誤解に基づくものであることに同意していただけるのはないかと思います。

私自身も今回の一連の事件や裁判の本質や背景については思うところはございますが、ここではそれは申し上げません。 何らかの特定の思惑を持って行動した人たちや、不公正な言動をした人たちに対しては、いずれ国民が判断を下すものと考えています。 そういうことで、国民の裁き、天の裁きにお任せしたいと思います。 この検察審査会を通じて強制起訴にいたった経過も、すでに国民の皆さんがよくよく自分の目で見て、耳で聞いて分かっていることと存じます。

ここで申し上げたいことは、いまの日本は独立した主権国家でも、真の民主主義国家でもないということです。 特に、捜査当局による公権力の濫用とメディアの加担という状況は、日本の民主主義と法治主義にとって最大の脅威となっていると言わねばなりません。 私が本当に心配しているのは、日本の民主主義そのものの危機であります。まさにいつか来た道と同じ状況にさしかかっています。 いままさに滅亡への道を歩んでしまっている現状をただこのまま黙って見過ごすことはできません。 これはいま現在、すべての日本人が本当に真剣に考えなければならないことです。
私は本当の議会制民主主義を定着させることにこれまで自分の政治生命をかけてきました。 日本を真の意味での独立国家にすることも私の長年の夢です。 他国の意向を忖度するだけの主体性なき外交・政治や思考停止状態のメディアと国民も変わらなくてはなりません。
私にはまだまだやらなければいけないことがたくさん残っています。 微力ではありますが、これから日本に民主主義と自主独立を実現するために全力投球で頑張ることを国民の皆さまにお約束します。

最後に、本書を世に出すことに尽力されたすべての関係者の皆さま方に深く感謝いたします。本書がより多くの人々に読まれて、 こうした日本が直面する深刻な現状と課題について共通の問題意識を一人でも多くの国民がもつようになることを心から願っています。

     まえがき       共同編者 鳥越 俊太郎、 木村 朗

今年(2013年)3月7日夜、東京・池袋にある豊島公会堂において 「小沢一郎議員を支援する会(日本に真の民主主義を実現する会、 代表世話人 伊東章弁護士)」 が主催する 「小沢一郎議員の無罪判決確定報告と石川知裕、大久保隆規、池田光智元秘書の無罪を勝ちとる国民大集会」 が開催されました。この国民大集会は、昨年11月12日の東京高裁での小沢一郎氏への陸山会事件での無罪判決とその確定 (検察官役の指定弁護士による上告断念)を受けて開かれる予定でしたが、 急激に変動する政局の中での突然の解散・総選挙によって延期されていたものでした。

満場の参加者から大きな拍手を受けながら登壇した小沢一郎氏は、「日本の民主主義を守るために私を本当に熱い思いで支援し、 激励してくださった皆さんのおかげで、小沢一郎を抹殺しようとした法務・検察官僚の思惑を打破することができました。 私がこの会に出席させていただいたのは今日が初めてです。本当に皆さんが日本の将来を心配し、今日も会場いっぱいの皆さんが来てくださいました。 私自身は終わったが、秘書裁判がまだ続いております。これからも皆様のお力添えをいただきたい」 と述べて深々と頭を下げました。

この間に小沢一郎氏とその秘書たちの身に起こった出来事は、いったい何であったのでしょうか。 またそれは、日本の政治と社会のあり方にどのような影響を与えたのでしょうか。

本書の目的は、この日本中を4年近くずっと揺るがせた、 いや今もゆるがせ続けている 「小沢問題」 の本質と全体像を現時点であらためて多様な角度から考察することにあります。

小沢問題(あるいは小沢事件・捜査・裁判)ともいわれる、小沢一郎氏をめぐる 「政治とカネの問題」 は、 西松建設事件(2009年3月3日の小沢一郎議員公設第一秘書の大久保隆規氏逮捕)にはじまり、陸山会事件(2010年1月15日の石川知裕議員、 大久保隆規氏、池田智光氏ら3人の秘書逮捕)へと続き、 小沢裁判(2010年9月14日の東京第五検察審査会での2度目の 「起訴相当」 議決による強制起訴)へと展開しました。

結局、西松建設事件は裁判途中の不可解な 「訴因変更」 によって事実上立ち消えとなり、 陸山会事件では、小沢一郎氏の無罪判決は2012年11月19日に確定したものの、 検察審査会をめぐる捜査報告書の捏造をはじめとする様々な謎はいまだに解明されずに残されたままです。 また、3人の秘書裁判では2013年3月13日に控訴審でも再び有罪判決が出されて、 石川知裕氏(5月21日に議員辞職願を衆議院が許可)が単独で上告しており、まだ最終的な決着はついていません。

カレル・ヴァン・ウォルフレン氏(オランダ人研究者・ジャーナリストで、日本の政治・官僚制度の専門家)は、 「小沢氏という政治家への “人物破壊” の一連の動きには、ある密約が存在している事実が見えてくる」 とし、 その 「密約を取り交わしたのは日本とアメリカであり、その恩恵を受けるのは両国の政治エリートたちである」、 「省庁の高級官僚と、ビジネス界やメディア界の幹部からなる日本の政治エリートは、決して純粋な意味での日本の独立を求めようとはしない。 それどころか、彼らは、アメリカ政府が日本の超法規的で非公式な権力システムの存続を支援してくれる見返りに、 日本を引き続きアメリカに隷属させようとしているのである」 と小沢問題の核心をずばり突いています (ウォルフレン著 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川書店、を参照)。

また、元参議院議員で小沢氏の盟友でもある平野貞夫氏は、その著書 『小沢一郎 完全無罪-「特高検察」 が犯した7つの大罪』(講談社)の中で、 「小泉政権は、経済の構造改革をする一方で、日本の社会に格差と停滞をもたらしたと厳しい批判がある。 それもさることながら、公訴権による国策捜査により、国家統治の基本を狂わせたと私は論じたい」、 「“検察の裏金” を封印するため、取材当日に三井環元大阪高検をでっち上げ逮捕し、マスコミを操って極悪検事の虚像を作り上げ、 三井氏を無実の罪に落としいれた。本来、正義をなすべき司法が、世間の批判を怖れ、時の権力者 “自民党” の番犬となった。 三井環氏のいうところの “けもの道” に落ちた訳だ」 など、当事者しか知り得ない内情を率直に語っています。 検察の裏金問題を実名で告発しようとした三井環氏を “口封じ” 逮捕したことが、その後の村上正邦氏、鈴木宗男氏(・佐藤優氏)、村岡 兼造氏、 緒方重威氏、佐藤栄作久氏、村木厚子(・石井 一)氏、 小沢一郎氏(あるいは植草一秀氏や堀江貴文氏)などへの “国策捜査” につながる検察の暴走のきっかけとなったという重要な指摘です。 小沢氏の政治資金団体の元資金管理責任者であっただけに、その言葉には非常に説得力があります。

とりわけ注目されるのは、平野氏がその著書の文庫版 「まえがき」 で次のように述べていることです。

≪「小沢問題」 を通じて私に見えてきたものとは、いま日本に 「新しいファシズム」 が展開しはじめたということである。 「ファシズム」 の教科書的定義は、「資本主義が危機的状況になると、権力が暴力装置を活用して議会制民主主義による政治の機能を失わせ、 独裁的政治を展開する」 ということだ。(中略)21世紀ではファシズムの定義も再考が必要である。 繰り返しになるが、「小沢問題」 での大手マスコミの報道は、検察の根拠なきリークだけでなく、捏造された 「事実」 が次から次へと報道され、 その異常さは 「社会心理的な暴力」 といえるものだった。≫

まさに 「小沢問題」 の本質は、権力(特に検察と司法)の暴走とメディアの加担による 「ある種の政治的謀略」、「静かな政治的クーデター」 であり、 その背後に 「新しいファシズム」 が胎動し始めているということではないでしょうか。

今の日本における最大の問題は、権力犯罪の発生、すなわち公権力が恣意的に濫用されたときにそれを裁くシステムが存在していないこと、 そして権力の暴走を監視・批判するはずのメディアがその役割を放棄していま起きている出来事の本質・真相を伝えないことです。 そして、いまの日本は、本当に民主主義国家なのか、また真の独立国家といえるのかがまさに問われているのです。

本書には、「冤罪」 「国策捜査」 の当事者自身からの証言だけでなく、 司法とメディアに精通した選りすぐりの論者による数多くのすぐれた深い分析・洞察が収められています。 まさに本書自体がそのまま貴重な歴史的文書・資料となっていると言っても過言ではありません。 本書を一読すれば、多くの読者は、テレビや新聞を通じて報じられてきたものとはまったく別の見方があることを知って、 それまでの自分の考えを見直すきっかけになるかもしれません。 もちろん、本書の最終的評価は読者の手の中に委ねられていることは言うまでもありませんが…。

いずれにしても、一人でも多くの市民がメディアの発する情報を主体的かつ批判的に読み解く能力(「メディア・リテラシー」) を身につけることで現在の思考停止状態から脱して、 いまの日本が陥っている(議会制)民主主義の危機と検察ファシズムの到来から目を背けずに直視するようになることを切に願っています。

最後に、本書を発行するにあたって、 いまだに事件の渦中にありながら貴重な歴史的証言となる序言をお寄せいただいた小沢一郎衆議院議員(生活の党代表)にも心から御礼を申し上げます。

2013年6月30日 参議院選挙を目前に控えて

『検察の暴走とメディアの加担―小沢問題とは何か―』

木村 朗(鹿児島大学教員、平和学専攻)

1. 小沢一郎問題とは何か-小沢問題をめぐって二つに割れ続ける世論
①西松建設事件、②陸山会事件(水谷建設)、③小沢裁判(検察審査会による強制起訴)
A 金権政治家の不正献金疑惑追及→「政治とカネをめぐる問題」 (「違法な犯罪行為」)
※ 「検察の正義」(東京地検特捜部=「史上最強の捜査機関」)を前提とした 「小沢VS検察」 という問題
B “えん罪(でっち上げ)” “報道被害”→「国策捜査」 による不当な逮捕・捜査・裁判
※ 「検察ファッショ」 と 「メディア・ファシズム」 が結合した 「静かな政治クーデター」:
「民主党VS全官僚機構」 あるいは 「鳩山連立政権VS官僚機構・自民党・マスコミ(・米国)」 という権力闘争・政治闘争
※ 「国策捜査」 か? (森法務大臣の指揮権発動、漆間巌官房副長官のオフレコ発言、石川知裕議員を取り調べた検事の脅し的文句、 検察審査会への捜査報告書の捏造)
検察の暴走とメディアの加担=権力とメディアが一体化した情報操作・世論誘導
→ 検察権力と司法記者メディアの癒着構造(民主主義の危機=ファシズムの到来)

<関連事件・裁判>
A 三井環事件(検察の裏金問題の告発)→「獣(けもの)道」(官邸の犬となった検察)
※ 検察が犯した三つの犯罪
B 佐藤栄佐久前福島県知事の 「汚職」 事件→国策(原発)反対の首長を特捜が政治弾圧
※ 佐久間達哉現東京地検特捜部長、大鶴基成東京地検次席検事、前田主任検事らが関与!
C 郵政不正事件(村木厚子氏、石井一民主党副代表、前田主任検事によるFD改ざん事件)
※ 鳩山由紀夫氏の政治献金(「故人献金」 の謎)事件の影響
※ 鈴木宗男(・佐藤優)事件との関連(ロッキード事件やリクルート事件、日歯連事件、朝鮮総連ビル詐欺事件、ライブドア事件、防衛省汚職事件なども)

2. 政権交代とは何であったのか-日本で最初の本格的な政権交代(一種の 「市民革命」)
<挫折した脱官僚政治と対米自立>
A 脱官僚政治(官僚主導から政治主導へ)…事務次官会議の廃止、特別会計の見直し、「歳入庁」 構想、天下りの廃止、機密費の廃止、 日米密約の調査・公表
B 対米自立…「より対等な日米関係」の構築、海上自衛隊の撤退、年次改革要望書の廃止、日米地位協定・思いやり予算見直しの失敗、 普天間問題での「国外移転、せめて県外移転」 の模索と挫折

<幻となった検察改革とメディア改革>
※ 検察権力と記者クラブ・メディアの共犯関係(検察とマスコミのリーク情報を通じたもたれ合いの関係): 「検察官僚と司法記者クラブが横暴を奮う恐怖国家」(上杉隆)、「検察庁という組織の、骨の髄まで腐った不誠実さと恐ろしさ」(鳥越俊太郎)、 「検察リークを受けて報道がつくられているというより、むしろメディア自らが進んで検察の提灯持ちに走っている」(青木理)、 「特捜検察の捜査能力の劣化とモラルハザード」(魚住昭)、「検察権力の恣意的乱用とそれに追随するマスコミの権力監視機能の放棄、 そして、「検察の正義」 を微塵も疑わずにマスコミ報道を鵜呑みにして翻弄される我々一般国民の思考停止こそが目下の最大問題、 すなわち日本の民主主義の危機をもたらす根源的問題である」(木村朗)
※ 「彼らは政治家の汚職を摘発し正義を貫く事が正しいと思い込んでいるが、 実際は民主党政権による司法制度改革で検察の権益が縮小することを恐れているはずだ」(堀江貴文)
A 検察(司法)改革…検察・警察・裁判所を含む司法制度改革! 「検察の犯罪を糺す機関は存在しない」 という点が最大の問題:起訴独占主義と起訴便宜(裁量)主義の弊害
① 取り調べの可視化法案、② 民間陣からの検事総長の登用(検事総長人事を国会承認案件に)、③ 裏金の解消、④ 裁判員制度の見直し、 ⑤ 死刑制度の見直し、⑥ 証拠の全面開示のための法改正の断行
B メディア改革…真の意味でのメディアの再生を! (神保哲生氏の指摘)
① 「記者会見のオープン化」(政府の記者会見をすべてのメディアに開放し、既存のマスメディアの記者クラブ権益を剥奪する。)
② 「クロスオーナーシップの規制・禁止」(クロスメディア:新聞社とテレビ局の系列化のあり方を見直す。)
③ 日本版FCC(米連邦通信委員会のように行政から独立した通信・放送委員会)を設立し、放送免許の付与権限を総務省から切り離す。
④ NHKの放送波の削減を検討する
⑤ 新聞再販制度・押し紙制度の見直し・廃止
⑥ 電波オ-クション制度の導入・・・等々

3. 日本は民主主義国家・独立国家なのか-「米国の影と圧力」 について
※ 「この政治家は二つの注目すべき持論を隠し持っている。一つは米国との距離を測り直すこと、 他のひとつは象徴天皇制を隠れみのにした官僚支配への問題意識だ」(斎藤学)
※ 孫崎享さんの日本の 「特捜検察」 と米国との特殊な関係という重要な問題提起:
「(小沢捜査の-木村)スタートは、外為法か何かで外国から出発していますよね」 「検察の動きを見ていると、アメリカの意思が分かる」
※ 「日本国内の、国民に選ばれた正当な政治権力に対しても特捜部は歯向かう。その背後には、そもそも出発点からアメリカの存在があった。 ということは、東京地検が日本が対米隷属から離れて、独立独歩の道を歩もうとする政治家をねらい打ちにしてきたのは、ある意味で当たり前なんですね」 (岩上安身)

A 官僚独裁国家:カレル・ヴァン・ウオルフレン氏の指摘
「いま日本はきわめて重要な時期にある。真の民主主義をこの国で実現できるかどうかは、これからの数年にかかっている。 …国際社会で、真に独立した国家たらんとする民主党の理念を打ち砕こうとするのは、国内勢力ばかりではない。アメリカ政府もまたしかりである。 …民主党政権発足後の日本で起こりつつある変化には、実は大半の日本人が考えている以上に大きな意味がある、と筆者は感じている。 …あらゆる国々は表向きの、理論的なシステムとは別個に、現実の中で機能する実質的な権力システムというべきものを有している。 …日本のシステム内部には、普通は許容されても、過剰となるや、たちまち作用する免疫システムが備わっており、この免疫システムの一角を担うのが、 メディアと二人三脚で動く日本の検察である。…検察とメディアにとって、改革を志す政治家たちは格好の標的である。 彼らは険しく目を光らせながら、問題になりそうなごく些細な犯罪行為を探し、場合によっては架空の事件を作り出す。 …日本の検察が、法に違反したとして小沢を執拗に追及する一方、アメリカは2006年に自民党に承諾させたことを実行せよと迫り続けている。 …いま我々が日本で目撃しつつあり、今後も続くであろうこととは、まさに権力闘争である。これは真の改革を望む政治家たちと、 旧態依然とした体制こそ神聖なものであると信じるキャリア官僚たちとの戦いである。 …日本の新政権が牽制しようとしている非公式の政治システムには、さまざまな脅しの機能が埋め込まれている。 何か事が起きれば、ほぼ自動的に作動するその機能とは超法規的権力の行使である。このような歴史的な経緯があったからこそ、 有権者によって選ばれた政治家たちは簡単に脅しに屈してきた。」
※ メディアの劣化と言論統制の拡大
B 米国の 「属国」 から 「属領」 へ…終わらない 「占領」(間接統治)から 「再占領」(直接統治)へ、 「トモダチ作戦」 と日本の 「アメリカ化」(日本本土の 「沖縄化」)

4. 検察審査査会の闇と最高裁事務局のスキャンダル
※ 検察審査会は、裁判員制度の先駆的形態:市民から無作為に選ばれた11人の審査員が、 検察の起訴・不起訴の処理に対して不服の申し立てがあった場合にこれを審査して、(1) 不起訴相当 (2) 不起訴不当  (3) 起訴相当のいずれかの判断を下す。司法制度改革の一環として、裁判員制度導入にともなう法改正で2009年5月からは、 審査会が同じ件で2度 「起訴相当」 と決議すると、検察ではなく裁判所が指定した指定弁護士により強制的に容疑者が起訴されることになった。 小沢裁判ではこの制度改正が完全に悪用された!
※ 「新政権は検察審査会法を再改正すべきかどうかを検討課題とすべきだろう」(高野猛)
※ 当初から批判が多い情報開示の少なさや〝密室性〟黒く塗りつぶされた公開文書。容疑者がまったく意見を言えないことも大きな問題。
① 小沢一郎民主党元代表を 「起訴相当」 と議決した審査員十一人の平均年齢が不自然な形で一転二転したこと(小沢元代表審査員 生年月も黒塗り) は不可解
② 検察審査会の不正、検察の虚偽報告書に対する裁判所の判断に納得出来ない。
※ 強制起訴制度で初の判決公判も 「検証へ情報開示を」、指定弁護士による控訴は不当!?
③ 森ゆう子議員が明らかにしたくじ引きソフトの不正
④ 小川敏夫法務大臣による指揮権発動の封じ込め
※ 「健全な法治国家のために声を上げる市民の会」 が、最高検察庁に新たな告発状を提出した。 被告発人である佐久間達哉(法務総合研究所国連研修協力部部長)、木村匡良(東京地方検察庁公判部副部長検事)、 大鶴基成(元最高検察庁公判部部長検事)、斉藤隆博(東京地方検察庁特捜部副部長検事)、吉田正喜(元東京地方検察庁特捜部副部長検事)、 検察審査会の第五検察審査会の事務局長、担当課長らを証人申請が採用されるかが焦点。
※ 最高裁事務局のスキャンダル:最高裁判所発注のコンピューターシステム関連の一般競争入札で 「一社応札」 が続出し、 100%を含む高い落札率が大半を占めていた疑惑!
改めるチャンスが何度もありながら、一向に変わらなかった最高裁の手法。

5. 現在の閉塞状況を打開するためには何が必要か
【検察とマスコミが一体化した情報操作による小沢氏の狙い撃ちと民主党叩きの世論誘導が米国の圧力をうける形で行われた可能性、 すなわち検察権力のリーク情報を無批判的にマスコミが裏づけを取らないまま小沢氏を犯罪人扱いするような過剰な印象操作・偏向報道を一方的に垂れ流し、 その結果、検察の正義を疑わない一般国民がそれを鵜呑みにして小沢批判を強めて民主党離れを加速させるというある意味で分かりやすい構図】
※ 旧勢力(小泉流に言えば 「守旧派」 「抵抗勢力」)による既存秩序の維持と既得権益の保持を目的とした改革潰しの動き!
※ マスコミが検察の監視役ではなく、「検察の正義」(あるいは 「正義の検察」)という前提を無批判に受け入れて、 検察の 「最大の味方」 となってその露払いや煽り役を果たしてしまうことが最大の問題である!
※ 「小沢不起訴になってから検察の危機が言われていますが、それ以上に、今回はマスコミの危機を露呈させたと言えますね」(魚住昭)
A 検察による恣意的な強制捜査と違法な取調べによる直接的な人権侵害
B 検察のリーク情報に依存したマスコミの過剰な偏向報道と、その影響をまともに受けた世間の人々のバッシングという深刻な報道被害
① 市民の覚醒と官邸デモ-政府不信とメディア不信の高まり
② ソーシャル・メディアとメディア・リテラシー
【海外メディアの 「報道の5原則」】 原則1 「推定無罪の原則」(最初から有罪であるよう印象づける報道はしないこと)、 原則2 「公正な報道」(検察の発表だけをたれ流すのでなく巻き込まれた人や弁護人の考えを平等に報道すること)、 原則3 「人権を配慮した報道」(他の先進国並みに捜査権の乱用を防ぐため、検察・警察の逮捕権、家宅捜索権の行使には、正当な理由があるかを取材、 報道すること)、原則4 「真実の報道」(自主取材は自主取材として、検察・警察の情報は、あくまでも検察・警察の情報である旨を明記すること)、 原則5 「客観報道」(問題の歴史的経緯・背景、問題の全体構図、相関関係、別の視点などをきちんと報道すること)

【小沢問題関連重要文献】
・小沢一郎を支援する会 (編集) 『私たちはなぜ小沢一郎を支援するのか』 (諏訪書房) [新書] ノラ・コミュニケーションズ (2011/5/15)
・森 ゆうこ 『検察の罠』 日本文芸社 (2012/5/26)
・平野 貞夫 『小沢一郎 完全無罪 -「特高検察」が犯した7つの大罪』 (講談社プラスアルファ文庫 ( 2011/7/21)
・郷原 信郎 『検察崩壊 失われた正義』 毎日新聞社 (2012/9/1)
・カレル・ヴァン・ウォルフレン 『人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか?』 角川文庫(2012/3/24)
・マーティン・ファクラー 『「本当のこと」を伝えない日本の新聞 』 双葉新書 (2012/7/4)
・山崎行太郎 『それでも私は小沢一郎を断固支持する』 総和社 (2012/6/23)
・三井 環 『ある検事の告発』 (双葉新書) (2010/12/22)
・村木厚子編 『あきらめない 働くあなたに贈る真実のメッセージ』 日経BP社 (2011/11/28)
・石川知裕 『悪党―小沢一郎に仕えて』 朝日新聞出版 (2011/7/7)
・鈴木 宗男 『汚名-検察に人生を奪われた男の告白 』
・佐藤 栄佐久 『知事抹殺 つくられた福島県汚職事件』 平凡社 (2009/9/10)
・大坪 弘道 『勾留百二十日  特捜部長はなぜ逮捕されたか』 文藝春秋 (2011/12/16)
・青木 理 『国策捜査―暴走する特捜検察と餌食にされた人たち』 金曜日 (2008/05)
・副島隆彦、植草一秀、 高橋博彦 『国家は 「有罪(えんざい)」 をこうして創る』 祥伝社 (2012/6/30)
・粟野仁雄 『検察に、殺される』 (ベスト新書) ベストセラーズ (2010/11/16)
・岐 武彦、山崎行太郎氏 『最高裁の罠』 (志ケイアンドケイプレス 、2012/12)
・佐藤 優/魚住 昭 『誰が日本を支配するのか!?検察と正義の巻』 マガジンハウス (2010/8/12)
・石川 知裕/佐藤 優 『小沢一郎はなぜ裁かれたか―日本を蝕む司法と政治の暴走』 徳間書店 (2012/3/26)
・今西憲之/週刊朝日取材班 『私は無実です 検察と闘った厚労省官僚村木厚子の445日』 (著) 朝日新聞出版 (2010/9/7)
・孫崎 享 (著) 『戦後史の正体』 創元社; 初版 (2012/7/24)
・孫崎 享 (著) 『アメリカに潰された政治家たち』 小学館 (2012/9/24)
・孫崎 享 (著) 『日本の国境問題 尖閣・竹島・北方領土』 (ちくま新書)
・孫崎 享 (著) 『日米同盟の正体~迷走する安全保障』 (講談社現代新書)
・郷原 信郎(著) 『検察の正義 』 (ちくま新書) ( 2009/9)
・郷原 信郎(著) 『特捜神話の終焉』 飛鳥新社(2010/7/22)
・『郷原 信郎(著)検察が危ない』 (ベスト新書) ( 2010/4/9)
・三井 環 (著) 『検察の大罪 裏金隠しが生んだ政権との黒い癒着』 講談社 (2010/7/29)
・三井 環 (著) 『「権力」 に操られる検察 』 (双葉新書) 双葉社 (2010/7/21)

こんな記事もオススメです!

国民が緊急事態条項を考えるために必要なこと

森友学園…幕引きは許されない

この時代、私たちに活路はあるか~安倍内閣を倒すしかない

第76回「森と海はつながっている〜崩れていく海洋生態系の話(4)」