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【NPJ通信・連載記事】憲法9条と日本の安全を考える/井上 正信

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国家安全保障基本法案の制定と憲法96条改正を許してはならない

2013年5月4日

1 国家安全保障基本法案の重大な内容
昨年7月6日自民党総務会が了承した国家安全保障基本法案概要は、参議院選挙後には法案として議員提案されると見られています。 法案の最大の問題は、集団的自衛権の丸ごと行使を認めるもので(第10条)、そのための下位法として自衛隊法改正(第76条の2集団自衛出動規定の新設)、 武力攻撃事態法と対をなす集団自衛事態法制定、国際平和協力法(自衛隊海外派兵恒久法)などの制定を予定していることです(第5条法制上の措置等)。

なぜ議員立法なのか。ここには巧妙な仕掛けが隠されているのです。内閣提出法案では内閣法制局の法案審査があり、 国家安全保障基本法案は自衛隊創設以来の政府の9条解釈に反するものですから、法制局は承認しないので、内閣としては法案提出は不可能になります。 そこで、国会の多数決で可決させるため議員提案しようとしているのです。 その後、さらにこれを実行するための違憲の下位法を次々に制定しようとしています。 内閣は法執行責任がありますから、違憲の法律でも執行しなければならないということになります。 その結果政府の9条解釈は完全に無視されることになるのです。私はこれを 「裏口入学壊憲」 と呼びます。

集団的自衛権行使は、9条の規範力の最後の砦を突き崩すものです。政府9条解釈とそれを前提にした安保防衛政策では、 自衛権行使の三要件がすべての基礎となり、自衛隊の合憲性、専守防衛政策、海外での自衛隊活動の仕組みなどが積み重ねられてきました。 自衛権行使の三要件とは、① わが国に対する急迫不正の侵害行為(武力攻撃の存在) ② これを排除するために適当な方法がないとき  ③ 必要最小限度の実力行使に止まる、というものです。

集団的自衛権行使は、自衛権行使の三要件の内、第1要件=わが国への武力攻撃という要件が欠けているため憲法上行使が禁止されているのです。 憲法解釈を変更して限定的な行使が可能だとする見解は、三要件の内、必要最小限度の実力行使という量の問題にすりかえています。 しかし、そもそも行使ができるかという、あくまでも質の問題=第1要件の問題なのです。 従って、集団的自衛権行使を認めるなら、これまでの政府9条解釈とそれを踏まえた安保防衛政策を根底から覆すことになります。

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