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『表現の不自由展 その後
再開ー仮処分事件和解成立の報告ー』

寄稿:弁護士 中谷雄二

2019年10月2日

「表現の不自由展・その後」について、9月30日、仮処分の第3回審尋期日で、あいちトリエンナーレ実行委員会と表現の不自由展実行委員会との間で、和解が成立しました。
 9月27日(金)の第2回審尋期日で、当方から10月1日、従前の展示どおりの内容で再開するよう求めて和解を投げかけました。
 これに対して、あいちトリエンナーレ実行委員会は、9月30日、午前中に10月6日~8日の再開を想定して和解協議をしようとの文書での申し入れがありました。
 これを不自由展実行委員会が受け入れる形で和解が成立しました。
 和解調書に付されたあいちトリエンナーレ実行委員会の申し入れ中には、「今回は中止した展示の再開であり、開会時のキュレーション と一貫性を保持すること」が含まれていたため、不自由展実行委員会の要求が基本的に容れられたものと判断して和解を成立させました。
この事件は、松井大阪市長や吉村大阪府知事の発言、河村名古屋市長発言、菅官房長官の補助金見直し発言によって煽動された人々からの抗議の電話やメールが寄せられ、脅迫まで含む激しいものでした。
 しかし、抗議の電話やメールをした人々は、展示を見た人ではなく、全く展示を見ていないか、SNS等で部分的に流された情報を信じた人々が数多くいました。抗議の対象となったのが、「平和の少女像」と天皇の写真を燃やしたとして批判された大浦信行氏の作品が大半です。現在の日本において、戦時性暴力を隠蔽し歴史修正主義が横行している状況と未だ天皇制に対するタブーが存在することが明らかになりました。
 あいちトリエンナーレ実行委員会が設けた検証委員会の中間報告は、問題のあるものでしたが、条件付の再開の方針を出しました。
 検証委員会の示した再開条件の最大の問題は、展示方法を含む表現の内容の変更を求めるところにありました。今回の和解は、その点について上記のように表現の内容変更に踏み込まないことが約束されたものと理解して和解することにしました。
 文化庁の補助金差止めというより大きな「検閲」問題が発生した時期に、まずは、脅迫によって中止させられた展示の再開を勝ち取ることで、表現の自由の回復の一歩を踏み出すことができたと考えます。
 この和解は、全国の市民の運動、海外の作家の抗議行動、国内の作家の様々な抗議の意思表示や行動による圧力と裁判所の仮処分決定の圧力の中で、実現したものと思います。多くのご支援をおよせいただいたことに感謝します。ありがとうございました。
 この仮処分の弁護団は、私と塚田聡子、伊藤勤也、裵明玉、青木有加、大辻美玲、中島万里、金銘愛、三重の小貫陽介、東京の李春煕の各弁護士で弁護団を構成していました。
 今後もまだ問題は出てくると思いますが、今後ともご協力をお願いします。

2019年10月1日

【弁護団】
中谷雄二(団長)、塚田聡子、伊藤勤也、裵明玉、青木有加、大辻美玲、中島万里、金銘愛、小貫陽介、李春煕(計10名)

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