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国民の目をふさぐ安倍政治

寄稿:飯室 勝彦

2020年1月20日

 「桜を見る会」問題の核心は安倍政権の反民主的体質にあることがより一層明らかになった。追及をはぐらかす安倍晋三首相、公文書の違法な扱いを「事務的 (ミス) 」と言ってのけた菅義偉・内閣官房長官の視野には主権者たる国民などまったくないかのようだ。国民不在の安倍政治と、堕落した官僚たちの安倍政権への”奉仕”に終止符を打たなければならない。

◎開示請求の日に廃棄
 首相主催で税金を使って行われた「桜を見る会」をめぐっては、首相の地元有権者が多数参加していたことが明らかになり「政治の私物化」との批判が強い。しかし政府は真相解明に欠かせない招待者名簿について「すべて廃棄済み」として再調査しようとしない。廃棄は国会議員が資料請求した日に行われたことが明らかになった」。「国会で問題になりそうになったのであわてて証拠を隠そうとしたのではないか」との疑念が浮かぶのは当然である。
 ・第2次安倍政権になってから招待客がふくれあがり、その多くが首相が招いた地元有権者だった。
 ・会に飲食物を提供したデリバリー業者は首相夫人の昭恵さんと交友関係があった。
 ・オーナー商法で行政処分を受けた会社の元会長が首相招待枠で招かれていた。
 ・反社会勢力が紛れ込んでいたのではないか。
 メディアや国会議員らの調査などで次々事実が指摘されても、解明のカギである招待者名簿などの資料について政府側は「ルールに基づいて適切に保存廃棄されている」などとはぐらかし、国民に対する説明責任を果たそうとしない。

◎やっと認めた違法性
 しかし、菅長官は1月10日の記者会見で、問題となっている2013年度から17年度の招待者名簿の扱いが公文書管理法に違反していたことを認めた。事実と法規に基づく追及をかわしきれなかったのである。
 公文書管理法は、保存期間が1年以上の公文書について、名称、保存期間、その期間が経過した後の取り扱いなどを「管理簿」に、破棄した場合は「廃棄簿」に記載することを義務づけているが、いずれも記載されていなかった。廃棄の際に必要な内閣府の同意手続きもなされていなかったという。
 重要な行政の決定は文書で行い、後に検証できるよう残しておくという民主政治・行政の大原則が守られていなかったことになる。
ただ政府側が問題に真摯に対応してこなかった経緯に照らすと、菅長官の “違法性自認” も素直に受け取れない。
 管理簿、廃棄簿への未記載で何を隠し、誰を守ろうとしたのか、首相サイドの指示あるいは示唆がなかったか、全体の奉仕者でありながら安倍首相らに奉仕している一部官僚らの忖度がなかったか――など疑問は依然として解消されていない。

◎違法なのに「事務的…」
 さらに驚いたことに菅長官は「管理簿」「廃棄簿」に記載しなかった名簿の扱いが法令違反と認めながらその理由を「事務的な記載漏れだった」と説明した。関係者の処分にも言及しなかった。「違法なことを事務的にする」とは法の規定など意識していない証拠だろう。違法行為を放置するのは政権全体が公文書管理の重要性を無視しているとも言える。

 主権者である国民は政府を監視し、政府がやっていることをチェックする権利がある。そのためには大事な文書は有権者が見聞きできるよう適切に保存、管理されていなければならない。招待者名簿を適切に管理せず、国会で取り上げられそうになると慌てて廃棄したような政府の対応は民主主義の事実上の否定とも言えないだろうか。
 国会答弁では、質問をしばしばはぐらかしたり質問に対する答弁をすり替えたりし、最も重要な議論の場である国会の予算委員会を開かず、野党による国会開会の請求を、法的要件を満たしているにもかかわらず握りつぶすなど、安倍政権は説明責任をきちんと果たそうとしない。
 国民の目や耳をふさぎ、強権的な国会運営で独善的にことを進めるのが安倍政治の本質であろう。このままでは日本の民主主義は自壊しかねない。

◎守ろうとしなければ守れない
 香港と台湾では住民が大国中国の圧力に抗している。香港では自由、民主を求める若者たちが中心になって粘り強い戦いをしている。台湾の総統選では、中国と距離を置く蔡英文氏を支持するグループが活発な運動を展開して蔡氏を圧倒的得票で再選させ、立法院議員の選挙でも与党の民進党に勝利をもたらした。
 民主主義は所与のものではない。自分たちで守ろうとしなければ守れない。

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