2010.7.22更新

北海道警違法逮捕損害賠償請求訴訟

事件名:北海道警違法逮捕損害賠償請求事件
内  容:北海道警察などの違法な逮捕・勾留による精神的な苦痛に
     つき慰謝料を求める訴訟
当事者:被逮捕者 vs 国・北海道
係属機関:札幌地方裁判所
  2010年5月14日判決。原告の請求は認められなかった。
  原告は、判決を不服として控訴した。
     詳細
  控訴審の日時は未定です。
紹介者:市川守弘弁護士
連絡先:フォーラム市民の目


【事件の概要】
  原告が主張する事件は、2人組の男に因縁をつけられ110番通報をしたところ、駆けつけた警察官に逆に銃刀法違反容疑で現行犯逮捕され、 8日間逮捕・勾留されたが不起訴処分になったというもの。男性の説明によれば事実関係は次のとおりだ。

  この男性は、青森県を中心にねぶた師として仕事をしている。ねぶた師というのは、様々な細工物を制作するのが仕事だ。 男性は、昨年9月に仕事のために車で北海道を訪れた。車には、仕事に使うナタや小刀を積んでいた。

  9月22日に紋別市から札幌へ向かうため、紋別市内のコンビニエンスストアーに立ち寄った。 その駐車場で、2人組の若い男に車の駐車方法を巡って 「ぶっ殺す」 などと因縁をつけられた。 相手がヤクザではないかと身の危険を感じた男性は、車に積んであった仕事に使う小刀とナタを示し、「こういう物も持っている。 あなた達の思うようにはならない」 とけん制した。
  ちょうどその時、パトカーが到着、警察官はすぐに2人組と話をして、その後男性のところへ来て 「刃物を持っていますか。 署まで来てくれますか」 と言われ、パトカーに乗せられ紋別警察署に連れて行かれた。
  紋別警察署では取調室に入れられ、調書に2人の男を脅したと書いてあったので 「脅していない」 と否定したが、 警察官から 「刃物を持っているだけで脅したことになる」 と言われて、調書に指印した。 そのまま留置場に入れられ、検察庁や裁判所でも 「脅していない」 と説明したが、聞いてもらえなかった。

【事件の問題点】
  この事件には、次のような疑問点がある。
1 2人組の男はどうなったのか。
  男性の主張が正しいとすれば、明らかに非は2人組の男にあり、男性の行為は正当防衛であり違法性はない。
  警察はその点の捜査を尽くしたのか。

2 紋別警察署のマスコミ発表では、銃刀法違反で現行犯逮捕したことになっているが、逮捕の場所はどこなのか、警察署なのか、現場なのか、はっきりしない。
  それによっては、現行犯逮捕の要件を欠き違法逮捕の疑いもある。
  男性は素直に出頭し、住所、職業もはっきりしているなど、逮捕・勾留の必要性があったのかも疑問だ。

  警察に110番通報したのは、この男性であることは間違いない。一般の善良な市民が身の危険を感じ警察に助けを求めたのに、逆に逮捕された。 これが事実なら、市民は一体誰に助けを求めれば良いのか。この事件は警察の存在意義、そのものを問いかけている。

【次回期日の紹介】
  次回は警察官2名の証人尋問の予定です。傍聴希望者は直接法廷にお越しください。

文責 NPJ編集部