2008.3.21更新

夫の死の真相を明らかにしたい!
〜動燃職員強制死事件控訴審
事件名:動燃虚偽発表強制死損害賠償請求控訴事件
内  容:不祥事の記者会見で虚偽発表させられ、その夜自殺した
      職員の遺族が真実を解き明かそうと起こした訴訟
当事者:動燃職員遺族(妻子) VS 旧「動力炉・核燃料事業団」(動燃)
係属機関:東京高等裁判所
次回期日:2008年5月20日 午前10時
傍聴希望者集合場所:直接、東京高等裁判所809号法廷へ
紹介者:海渡雄一弁護士

【はじめに】
  皆さんは、もんじゅのナトリウム漏れ事故を覚えているだろうか。そう、旧 「動力炉・核燃料事業団」 (動燃)の運営する核リサイクル原発、 ナトリウム冷却高速中性子型増殖炉 「もんじゅ」 (福井県敦賀市)で、1995年12月8日、冷却剤であるナトリウムが漏れた事故である。 原因は、温度計が折れ、そこからナトリウムが漏れたためだった。では、この事故で一人の動燃職員が命を落としたことは記憶に残っていますか。

【事件に至る経過】
  ナトリウム漏れ事故は、冷却剤が漏れたという事故の重大性だけでなく、動燃による情報隠しが問題となった。 動燃は、事故後まもなく午前2時に入室し、ビデオ撮影していました(2時ビデオ)。それにもかかわらず、動燃は、このビデオを公表せず、 それから14時間後に入室した際のビデオを最初のビデオとして公表しました(4時ビデオ)。 しかもこの4時ビデオは編集され、重大さを感じさせる部分がカットされて発表されたのです。

  しかし、真実を隠し通せるはずもなく、4時ビデオの編集問題、2時ビデオの隠蔽問題が次々と発覚し、現地もんじゅの所長らが更迭に追い込まれました。
  そして、情報隠蔽問題に関する内部調査チームが発足しました。
  その調査の結果、実は、2時ビデオが現地もんじゅのみならず、本社にも事故直後届けられており、本社の職員もそのビデオを見ていたことが分かり、 12月25日、理事長に報告されました。
  しかし、なぜか、理事長は直ちに発表するよう指示しませんでした。 動燃は年明け後1月11日、科技庁に相談し、科技庁が翌12日、動燃本社にも2時ビデオはあったらしいと記者に漏らした後、 2時ビデオの本社持ち込み問題について急遽発表することとしました。

【第3回記者会見までの経過】
  第1回記者会見は午後4時20分から午後5時10分。広報担当理事らによってなされたこの会見では、概要すら発表できず、 いつ2時ビデオが本社にあることが分かったのかという質問に対してさえ、「確認する」としか答えられませんでした。
  記者がそんないい加減な発表で納まるはずもなく、責任者を出せ、理事長を出せと迫ったのです。
  動燃側は仕方なく、理事長会見をセットしつつも、その後に調査担当者による会見を行うこととし、理事長会見では細かいことは触れないことにしました。 そして、この段階では、本社にビデオがあることが分かったのは12月25日とする予定だったようです。

  ところが、午後7時半から午後8時10分まで行われた理事長記者会見(この日の第2回会見)で、 2時ビデオ隠しに本社職員も関与していたのではないかという質問に対し、理事長は、
  「その辺は、私もこの、最初の昨日の夕方聞いたときにですね、指示をして、私もその辺が良く理解できなかったので、この1ページの一番下の方に、 簡単ですけど、『その後より鮮明なビデオやマスコミ共同取材のビデオが公表された後は、2時ビデオに関する関心は薄れた。 非常に写りが悪いということもある。』 どうもこれが実態です」
と回答しました。

  なぜ、彼が、「最初の昨日の夕方聞いたとき」、すなわち、自分が聞いたのは昨日夕方だと答えたのかは分かりません。 もしかしたら、2時ビデオ隠しへの本社関与を突っ込まれたため、もし、12月25日に報告を受けていたことを話したら、 科技庁が発表するまで発表しなかったということは、やはり、2時ビデオ隠しに本社も関与していたと思われてしまうと考えたのかもしれません。

  いずれにせよ、この理事長の回答で、第3回記者会見に望む調査担当者は行き詰まった。あなたが、調査担当者ならどう答えますか?

【第3回会見〜自殺まで】
  実際に調査を担当した西村成生さんは、午後8時50分から行われた第3回記者会見で、2時ビデオが本社にあることが分かったのは、1月10日だと発表しました。 1月10日になって、ある職員の机の中から出てきたと答えたのです。
  この回答が動燃内部で再検討された結果なのか、それとも西村さんの個人的な判断だったのかは、はっきりしません。 しかし、確かなことは、西村さんは単独で会見したのではなく、西村さんの横には、 この日の1回目の記者会見を主宰した広報担当理事及び広報室長が座っていたにもかかわらず、 両氏は、西村さんの発表内容を訂正することはなかったということです。

  西村さんがなぜ、1月10日と答えたのか、それは、12月25日と答えた場合、さきほど理事長は自分が知ったのは1月11日だと言ったが、 理事長に報告しなかったのか、それとも理事長がウソをついたのか、と追求されることは明白だったからだと思われます。

  理事長に報告しなかったと答えたら、なぜ報告しなかったのか、情報隠し問題がここまで騒ぎになっているのに、理事長への報告すらない組織は解体してしまえ、 ということになるし、もし報告したと答えたら、じゃぁ、動燃はトップである理事長がウソをいう腐った組織だから解体してしまえ、ということになります。

  西村さんには、いや、動燃には、1月10日と答えるしか途が残されていなかったのでしょう。

  しかし、発表後、西村さん、いや、動燃は、1月10日という発表がウソであることはいずれ発覚するだろうという現実に直面しました。
  そして、西村さんは、1月13日未明、ホテルの駐車場で遺体となって発見されました。

【一言アピール】
  遺族は、真相を解明するために本件訴訟を提起しました。当時の事情をご存じの方はぜひ、NPJ までご連絡下さい。
  なお、NPJ動画ニュース第3回で本件で問題となっている ビデオ を紹介していますのでご覧下さい。

【次回期日の紹介】
  次回は高裁での第5回期日となり、遺族側が再反論します。
  2008年5月20日午前10時、東京高等裁判所809号法廷にて開廷されますので、ご関心がおありの方は、遠慮なくお越し下さい。
  なお、応援する会が当日午後9時から45分間、裁判所までアピール行動を行う予定です。飛び入りでの応援、歓迎だそうです。

文責 NPJ編集部