二子玉川東地区再開発事業差止訴訟〜緑豊かな二子玉川に、超高層ビル乱立の
六本木ヒルズ並みの超大規模再開発はいらない
事件名:二子玉川東地区再開発事業差止訴訟〜緑豊かな二子玉川に、
超高層ビル乱立の六本木ヒルズ並みの超大規模再開発はいら
ない
係属機関:東京高等裁判所第2民事部
事件番号:平成20年(ネ)第3210号控訴事件
平成20年(ネ)第3384号共同訴訟参加控訴事件
次回期日:6月23日(火) 午前11時 東京高裁822号法廷
傍聴希望の方は直接法廷にお越し下さい。
紹介者:渕脇みどり弁護士
連絡先:「にこたまの環境を守る会」 TEL/FAX 03-3709-5835 飯岡
渋谷共同法律事務所 TEL 03-3463-4351 FAX 03-3496-4345
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【事件の概要】
(1) 原告 二子玉川周辺地区住民66名現在は644名
(2名死亡取り下げ)
再開発地域内の地権者はゼロすべて周辺住民
被告 二子玉川東地区市街地再開発組合
(2) 請求の趣旨の概要
被告は二子玉川東地区第1種市街地再開発事業を行ってはならない。
(3) 請求の原因の概要
本件再開発は、予定地の85%を所有する東急グループの私的利潤追求のみを目的としており、公共的目的を有さないばかりか、その規模の巨大さ故に、
「まちづくり」 ならぬ 「まちこわし」 の事業である。
本件再開発事業の都市再開発法違反
1条 公共の福祉による目的がない。
4条 もともと都市計画公園の指定のあった場所を再開発しようとしている。
民法709条
地方自治法違反
本件再開発事業による周辺住民の権利侵害は深刻であり、受忍限度を越える。
151mの超高層ビルをはじめとして合計7本のビル建築
25400台の開発交通量の増加による大気汚染被害、渋滞被害、交通の危険性
建物の圧迫感、景観、眺望の被害
地下水、わき水の枯渇、地盤沈下、地震、洪水の被害拡大
憲法13条、25条、人格権侵害、環境権、住民のまちづくり参画権
(4) 提訴までの経過
平成12年の都市計画決定のための住民説明会に弁護士も参加その後、住民運動として取り組んでくるが、行政や準備組合は全く住民の意思を入れないので、
平成17年3月頃、事業認可決定がおりそうだとのことで、提訴の相談を受ける。住民の運動体も6団体合同で、提訴に向けての意思統一、組織作り、
弁護団の事実の把握、資料の精査等の準備し、平成17年10月提訴した。原告に地権者が加わるか否かも未確定であったが、最終的には、周辺住民のみの提訴となった。
東京都に対する事業認可取消の行政訴訟という方法も考えたが、本件事業の本質はまさに、行政行為という羊の皮をかぶった、民間開発事業に他ならず、
事業推進により、最も利益を独占する東急グループの存在を明らかにしその私的利潤追求行為の実態を暴くためにも、施行者である再開発組合を被告として、
差し止めを求める方法を選択した。利益の帰するところにこそ、問題の本質を明らかにする鍵があるはずであると考えた。
【手続きの経過】
被告再開発組合は、当初、「本件訴訟は行政訴訟でやるべきであり、請求原因についての認否も不要」 との態度を取っていたが、裁判所の訴訟指揮に従い、
結局はすべてについて認否した。平成18年3月10日には現場における進行協議という形で、裁判所に事実上の現場検証を実現させた。
平成19年11月5日、11月19日に証人尋問、原告本人尋問を行った。原告からは大気汚染問題と圧迫感について専門家証人を申請し、
環境影響評価書の問題点を科学的に明らかにした。被告は昭和57年から25年にわたって、東急を中心とする民間と世田谷区の両方から委託を受け、
この事業を進めてきたコンサルタントが、本件再開発事業の適法性を立証するために証言した。
しかし、その反対尋問の結果、東急の依頼を受けたコンサルタント会社がその利益に合致するように、世田谷区の基本計画に示された、行政の理念や、
都市計画をねじ曲げ、周辺住民の権利を犠牲にし、まちを私物化して、利潤追求しようとしてきた経過がより明らかになった。
さらに、事業認可後の手続きにも、次々に法の趣旨に反する脱法的な手続きが重ねられていることが明らかになった。
・ 東京地方裁判所民事13部合議係 平成17年(ワ)21428号に対する2008年5月12日判決を不服として、原告54名が控訴しました。
同時に周辺住民21名が共同訴訟参加し、控訴しました。
・ 2008年9月25日第1回口頭弁論期日が東京高裁822号法廷で行われました。
共同訴訟参加人1名、控訴人2名の当事者本人がまち壊しに対する怒りを込めて被害の実態を口頭で陳述しました。
傍聴席からは共感の拍手が起こりました。被控訴人二子玉川東地区市街地再開発組合は答弁書も提出せず、
「共同訴訟参加手続きに対する本案前の抗弁を次回までに準備する」 と口頭で答えました。
控訴人らの控訴理由書では、原判決が 「主張自体失当」 として東急グループが制度を濫用して本件再開発事業を推進してきた事実に関する主張に付き、
判断を避けた点を中心的に批判し、本件行為態様の違法性を詳細に論じました。
2008年11月11日の弁論では、被控訴人から答弁書と準備書面が提出されました。
[東京地方裁判所判決の内容]
2008年5月12日 東京地方裁判所民事13部合議部 (山田俊雄、上拂大作、遠山敦士) は、
二子玉川東地区再開発事業について原告等の請求を棄却する不当な判決を言い渡した。
原告の請求原因は 「@ 原告等の被る権利侵害は多数の深刻な複合的な権利侵害であり、その苦痛は原告らの受忍限度を越え、
事業が完成してしまうと、権利を回復することはできない。A 本件再開発事業は予定地の85%を所有する東急グループが世田谷区と密約を結び、
公益性をないがしろにして都市再開発法等に違反して私的利潤追求を最優先に推し進めようとしているものであり、権利侵害行為の行為態様が違法である。
本件事業による権利侵害がこのように甚大かつ深刻である理由は、このような行為態様の違法性と密接不可分である。
これはまさに都市再開発手続の濫用に他ならない。」 という大きく二つの柱からなっている。
これに対し、判決は
@ 権利侵害性について
交通量の増加は認める。しかし社会生活上の受任限度を越える不利益が生じることの立証がない。
大気汚染については、平成17年から19年にかけて、5回にわたって、本件再開発地域周辺で30ないし、109カ所の二酸化窒素の測定を実施した結果、
日平均 0.06ppm という環境基準を超える数値が検出されたことは認めつつ、藤田敏夫専門家証人が将来の二酸化窒息濃度を算出し、
本件事業予定地の地形的特徴や高層ビル群による影響でより高濃度の汚染となるとの証言を認めながら、
「その濃度が明らかでない以上、原告等の健康に被害を及ぼす蓋然性のある大気汚染が発生するとの事実を推認することはできない」 とする。
「原告らの本件地域の眺望による利益は、法的保護に値する。」 としながら、「本件再開発事業の公益性、
建築予定の高層ビル群の建築が行政法規に違反するものでないこと等に照らすと、受忍限度を著しく越えるとまではいえない。」 とする。
「多摩川の流れとそのうえに広がる空、丹沢や富士の眺めが一体となって形作る景観や自然」 について世田谷百景、
地域風景資産に選定されていることは認めるが、「これらの景観を守ることを目的として、
高さの建築制限などといった意識的な行政活動が行われた形跡はない」 としてとして、「これを景観利益として評価することはできない。」 とした。
圧迫感を客観的に予測する形態率について、測定箇所10地点中7地点で許容限界値である8%をこえ、特に原告金子宅では、
35.46%にも及ぶことを認定しながら、「圧迫感が精神、身体に与える具体的な影響に対する検証のないまま、
単なる主観的不快感のみを理由に違法な行為といえない。」 とした。
A 権利侵害行為の行為態様の違法性について
「原告らは都市再開発法違反等の違法行為を主張するが、原告らの権利や法的利益に対する侵害を主張するものでないから主張自体失当」
として判断を避けた。
[判決の評価]
本判決は本件の本質である本件再開発行為推進の違法性について 「主張自体失当」 として判断をさけたため、紛争の本質を見誤ったばかりか、
判決理由中には多くの事実認定の誤り、理由不備、理由齟齬が見られ、説得力を欠く不当な判決である。
判決は自ら眺望権の受忍限度についての判断においては、「本件再開発事業の公益性、
建築予定の高層ビル群の建築が行政法規に違反するものでないこと」 など行為態様を理由に 「受忍限度を越えない」 という判定をしている。
従って、受忍限度を越えるといえるか否かは、本件再開発事業によって実現されようとしている 「公益性」 の具体的中身を吟味し、
その手続に行政法規についても、当然に審理されるべきである。
本件裁判や、関連する住民訴訟の中で、新たな事実が明らかになってきた。
本件再開発は、まさに、東急の目的的な住民の権利を収奪し自己の商業利益のために 「まち」 のありとあらゆる利益を独占しようとした行為であり、
一片の公益性もない。今後は違法行為の態様をよりいっそう明確に訴えていく。行為態様の違法性と権利侵害の深刻さは一体的なもので密接な関連がある。
【控訴審手続きの経過】
2008年9月25日第1回口頭弁論期日が東京高裁822号法廷で行われました。
共同訴訟参加人1名、控訴人2名の当事者本人がまち壊しに対する怒りを込めて被害の実態を口頭で陳述しました。傍聴席からは共感の拍手が起こりました。
控訴人らの控訴理由書では、原判決が 「主張自体失当」 として東急グループが制度を濫用して本件再開発事業を推進してきた事実に関する主張に付き、
判断を避けた点を中心的に批判し、本件行為態様の違法性を詳細に論じました。
2008年12月10日には、本件再開発事業が、都市工学の観点からみて、いかに公共性がなく、違法不当なものであるかを詳細に論じて、
控訴人らの権利侵害について、「本件再開発事業の公共性からみて受忍限度の範囲内」 と論じた原判決を批判しました。
2009年2月10日の弁論では被控訴人から反論の準備書面(2)が提出されました。
裁判所は洪水被害についてこちらが申請していた坂巻幸雄証人の採用を決定しました。
2009年4月14日午後2時30分から日本科学者会議災害問題研究委員会・委員の坂巻幸雄証人は、多くの災害・水害調査の経験から、
本件再開発事業地が、もともと丸子川と多摩川に挟まれ、船底のような低い地形にあること、ゲリラ豪雨によって、
丸子川が氾濫して現状で深さ2メートルの溢水があると、本件再開発事業によって事業地に水が入らなくなると、
周辺の住宅地の水かさは約50センチ増す危険性があることをわかりやすく、証言しました。
これを受け、裁判官は被控訴人再開発事業組合に対し、「洪水の危険性について、被控訴人からほとんど反論がなされていないが、
中身のある反論をするように」 と指示し、次回、6月23日11時を弁論期日としました。
法廷は822号です。証人尋問後に、反論の主張を促す訴訟指揮は異例のことですが、被控訴人側は、実質的な反論と反証を迫られた形です。
また、従来から控訴人が採用を求めていた岩見良太郎証人については採用しませんでしたが、
控訴人側は 「本件訴訟の判断において重要な証人であるので採用するよう、再考してほしい」 と意見を延べました。
(尚、岩見証人の証人尋問は関連する公金支出差し止めの住民訴訟で採用されました。7月17日2時522号法廷です。)
【アピール】
再開発事業がいかに民間大企業 (東急グループ) の利益に直結したもので、周辺住民の権利を犠牲にして成り立つものかが、やればやるほど明らかになります。
今や、「開発=是」 の時代はおわったはずです。地球環境の問題として、不要な開発はすべていったん中止し、見直すべきです。
マスメディア、市民メディア、フリージャーナリストの取材・報道を大いに希望します。
【カンパの振込先】
郵便局 00130−9−612862 にこたまの環境を守る会
【書 籍】
「『都市再生』がまちをこわす 現場からの検証」
建設政策研究所編 2004年5月15日発行 自治体研究社発行
文責 弁護士 渕脇みどり


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