2008.4.18

自衛隊イラク派兵差止訴訟・名古屋
〜強いられたくない。加害者としての立場を〜

事件名:自衛隊イラク派兵差止訴訟
〜強いられたくない。加害者としての立場を〜
係属機関:名古屋高等裁判所民事第3部 青山裁判長
       2008年4月17日 自衛隊イラク派兵について違憲判断が出ました。
紹介者:川口 創弁護士
連絡先:イラク自衛隊派兵差し止め訴訟の会
      TEL:052-781-0165 (名古屋学生青年センター内)

【事件の概要】
(1) 当事者
  原告:全都道府県から集まった市民3200人超。元レバノン大使の天木直人も原告の1人です。
  被告:国

(2) 請求の内容
  @ 自衛隊のイラク派兵が違憲であることの確認
  A 自衛隊のイラク派兵の差し止め
  B 慰謝料請求

(3) 請求の原因の概要
  イラク特措法及び2007年成立の改正イラク特措法は憲法9条に反し違憲であること、仮に合憲限定解釈によって合憲と解したとしても、 現実の派兵行為は戦闘地域への派兵であり、憲法が禁止する違法な武力行使に当たり違憲であること、 その違憲行為により、原告らの平和的生存権が具体的に侵害されていることを訴えています。

【手続きの経過】
  1次から5次訴訟の一審では、内田裁判長という裁判長の違法な訴訟指揮により、訴訟が空転。
  しかし、控訴審で正常化。適切な訴訟指揮の下、実質審理が進められています。
  また、7次訴訟では、平和的生存権の具体的権利性を一般論として認める画期的判決 (田近判決) がでました。これは確定しました。

  現在、審理は控訴審に移り、2007年10月25日に憲法学者の小林武愛大法科大学院教授の尋問を行い、 平和的生存権の具体的権利性及びその侵害の事実の立証を行いました。

  1月31日の期日では、山田朗明治大学教授の証人尋問が行われました。
  軍事学の専門家である山田先生に、知られざる自衛隊のイラクでの活動実態を検証していただきました。
  自衛隊はイラクで人道支援などしておらず、アメリカの戦争にまさに参戦している事実を様々な情報から検証し、イラク派兵の違憲性を徹底的に追及しました。

  2008年4月17日 自衛隊イラク派兵について違憲判断が出ました。


【一言アピール】
  現在、航空自衛隊は、クウェートからバグダッドまで武装した米兵を輸送しているが、バグダッドは米兵が大規模な 「掃討作戦」 を展開し、 膨大な市民が犠牲になっている、まさに 「戦闘地域」。そこへの米兵の輸送行為は最前線参加とも評価出来、まさに参戦中です。

  この事実を国政に反映させるために、国会内では民主党、共産党、社民党などの野党をはじめ、与党の一部議員とも密接に連携をとりながら、 国政内においてもイラク派兵の違憲性の問題を追及しています。

  また、イラク在住のイラク人ジャーナリストや、海外のNGO、弁護士とも連携し、講演会なども積極的に行っています。
  この実態を少しでも世論に広げ、一日も早く自衛隊の撤退を現実にしたいと日夜奮闘中です。

  イラクの現状と自衛隊派兵の違憲性を広げるツールとして、かもがわブックレット 「イラクの混迷を招いた日本の選択」 を全国弁護団で上梓しました。
  また、2008年1月発売の 「法学セミナー」 (日本評論社) には、平和的生存権の再構築という特集が組まれ、名古屋の第7次訴訟の田近判決が大々的に紹介されます。 是非お求めください。
  取材はいつでも歓迎です。

自衛隊イラク訴訟名古屋高裁判決要旨 2008.4.17
自衛隊イラク派兵差止訴訟弁護団声明 2008.4.17

文責 弁護士 川口 創