「ジランちゃんが家族と安心して日本で暮らせるように」
【事件の概要】 1、当事者 控訴人:タスクン外2名 被控訴人:法務大臣、東京入国管理局主任審査官 2、事案の概要 トルコ国籍のクルド人のタスクンさんは、兵役義務のあるトルコで徴兵に応じれば、自分の同胞クルド人に銃口を向けなければならないことから、 政治的信条を理由に兵役を拒否して、1992年に日本に逃れました。タスクンさんは、法務省に難民申請しましたが、認めてもらえませんでした。 タスクンさんは、1999年にフィリピン人である現在の妻と交際するようになり、2001年に長女ジランちゃんを出産しました。 ジランちゃん一家は、2003年、在留特別許可を求めて、東京入国管理局に任意に出頭しましたが、法務大臣は、2004年1月までに、 ジランちゃん一家に在留特別許可をしないとの判断をし、2004年1月28日に控訴人らに退去強制令書を発付しました。 しかし、ジランちゃん一家に、退去強制手続が執行されれば、タスクンさんはトルコへ、妻とジランちゃんは、フィリピンへと引き離され、 家族が離ればなれになってしまいます。 これは、「家族に対する恣意的な干渉をしてはならない」 「家族は国による保護を受ける権利を有する」 と定める自由権規約や児童の最善の利益を尊重する子どもの権利条約に反します。 本件では、タスクンさんの来日の経緯や、長女ジランちゃんと家族の利益の保護のため、ジランちゃん一家の退去強制令書の取消し等を求めています。 【手続きの経過】 2004年 3月12日 提訴 2007年 3月23日 第一審敗訴判決 2007年 6月28日 控訴審第1回弁論 2007年10月 2日 控訴審第2回弁論 2007年11月 8日 控訴審第3回弁論 2008年 2月 5日 控訴審第4回弁論 (予定) 【現在の動き】 2007年11月8日控訴審第3回弁論、寺田逸郎裁判長は、「暫定的な解決かもしれないが、話し合いをしてみてはどうだろうか。 必要なら裁判所が間に入ってもいい」 と、異例の話し合いによる解決を提案しました。 10月2日の第2回口頭弁論で 「次回で結審の予定」 とされていたにもかかわらず、 寺田裁判長は、通常なら1カ月から1カ月半後を次回の弁論日とするところを約3カ月後の来年2月5日としました。 「その間に話し合ってほしい」 というメッセージが込められていることは明らかです。 弁護団は、これを受けて、12月19日午後、品川の東京入国管理局に上申書を提出しました。 内容は、一家ばらばらの国外退去命令を一刻も早く取り消して、在留特別許可を一家に与えるよう、改めて求めるものです。 ジランちゃん一家が地域社会に深くとけ込んでいること、15000筆あまりの署名支援をうけていること、 命令発令時から現在までの状況に変化があること等を併せて盛り込みました。 本訴訟の行く末は、依然として不明ですが、今後の動きが注目されます。 文責 NPJ編集部