2010.3.30更新

葛飾マンションビラ配布弾圧事件
事件名:葛飾マンションビラ配布弾圧事件
係属機関:最高裁判所に上告
次回期日:未定
       2008年5月上告趣意書を提出。
       2009年2月9日、最高裁要請行動をするとともに、5本の上告
       理由補充書を提出しました。
紹介者:中村欧介弁護士 (同事件弁護団主任弁護士)、西田 穣弁護士
連絡先:ビラ配布の自由を守る会
     電話 03-3826-0252  E-mail bira@m8.gyao.ne.jp


【事件の概要】
  2005年12月23日午後2時過ぎ、荒川庸生氏が、日本共産党の都議会報告・葛飾区議団だより等を、 オートロック式ではない民間分譲マンションのドアポストに投函した行為について、住居侵入罪が問われた刑事事件である。

  荒川氏の行為を見とがめた住民の一人による110番通報で多数の警察官が駆けつけ、氏を警察署に任意同行し、 帰宅を申し出た氏に対し、住民によって既に現行犯逮捕されていると告げ、その後、23日間にわたる身柄拘束を続けたことが事件の発端である。  

  同じく住居侵入罪に問われた立川自衛隊官舎ビラ配布事件で、第1審無罪判決が出た1週間後の事件であり、 ビラ配布という憲法21条1項で保障された言論活動について刑事処罰を求める点で、国公法堀越・世田谷事件や板橋高校事件と並ぶ言論弾圧事件である。 政府に対して批判的な立場をとる政党に関わるビラであることに着目した言論弾圧である。

【手続きの経過】
  第1審での審理の中で、現場マンションは集合ポストにもドアポストにも多様なビラが日常的に投函されていたこと、 管理人も常駐ではなく厳格な立入規制が行われていなかった事実が明らかとなった。

  2006年8月28日、東京地方裁判所刑事第12部 (大島隆明裁判長) は、弁護側の主張した捜査の違法性については認めなかったものの、 「ビラ配布の目的だけであれば集合郵便受けへの投函にとどめておくのが望ましいとはいえても、 それ以上の共用部分への立入行為が刑事上の処罰の対象とすることについての社会通念は未だ確立しているとはいえず、 結局、被告人の立入りについては正当な理由がないとはいえない」 として無罪判決を言い渡した。

  検察側は9月1日に直ちに控訴したが、控訴審において住民等の証人尋問等を請求することなく、マンションを設計した建築士を尋問しただけであった。
  弁護側は、無罪判決を評価する新聞各社社説や阪口正二郎一橋大学教授 (憲法学) ・ 関哲夫国士舘大学教授 (刑法学) の各意見書を証拠提出し、 全3回で結審した。

  12月11日、表現の自由の重要性を無視した不当判決が下された。

   葛飾ビラ配布弾圧事件 不当判決! 弁護団声明 12/11
   葛飾ビラ配布弾圧事件 東京高裁判決骨子 12/11

  弁護団は、2008年5月、上告趣意書を提出しました。その後、2009年に入ってからも上告理由補充書を提出しました。 これは、すでに5月に提出した上告理由書を補足するもので、それぞれ 「地方自治の観点から見た本件で配布されたビラの重要性」、 「国連人権規約委員会の勧告」、「第1審判決及び控訴審判決に対するマスメディア・社会一般の評価」、 「立川事件最高裁判決を前提としても本件は無罪となること」、そして、「憲法学会における本件や立川事件に対する評価」 という5つのテーマで作成しました。

  2009年4月17日には支援の守る会の総会もあるので、引き続きご支援をお願いします。

  葛飾ビラ配布弾圧事件のその後について 西田 穣

文責 弁護士 中村欧介、西田 穣