2008.5.11更新

中国人実習生強制労働事件
事件名:中国人実習生強制労働事件
事件の内容:未払賃金として1人当たり約350万円 (被告会社に対して)
        不法行為に基づく損害賠償として1人当たり約540万円
         (被告全員に対して)
        ※訴訟と合わせて仮払い仮処分申立
当事者:中国人実習生4名
       VS 有限会社スキール、レクサスライク、プラスパアパレル
          協同組合、財団法人国際研修協力機構 (JITCO)
係属機関:熊本地方裁判所民事2部合議係
次回期日:
(1)仮処分
  第5回審尋期日 6月24日(火) 午後3時30分
  (非公開なので傍聴不可)
  開廷30分前から熊本地方裁判所門前にて集会を行います。
  期日終了後、報告集会を行います。
  次回期日の内容:次回期日で結審するかどうかの判断が示される
  予定です。

(2)本訴
  第4回口頭弁論期日 7月18日(金)午後2時
  傍聴希望者は、当日、法廷に直接おいでください。
  開廷30分前から熊本地方裁判所門前にて集会を行います。
  期日終了後、報告集会を行います。
  次回期日の内容:被告らから原告らの主張に対する反論がなされる
  予定です。
紹介者:小野寺信勝弁護士
連絡先:熊本中央法律事務所 (担当:小野寺信勝)


【事件の概要】
  熊本県天草市において、大手アパレルメーカの製品を製造する天草市の2つの縫製工場に派遣された外国人実習生が、奴隷的労働を強いられたという事件です。 給与は約月6万円、1日12時間以上働かされ、残業代は県の最低賃金の半分以下の時給300円、休日は月1、2回程度しか与えられていませんでした。  

  また、彼女たちの逃亡を防止するため、パスポート、通帳、印鑑を取り上げ、賃金を強制貯金し、その預金も事業資金に流用されていました。

  これまで中国人実習生のうち4人は、ローカルユニオン熊本 (上山義光委員長) に加入し、縫製会社及び協同組合を相手に交渉をしてきましたが、 交渉は決裂するに至りました。

  そこで、12月6日、天草市の縫製会社2社、協同組合、そして、 外国人研修・実習制度の適正実施を図るべき財団法人国際研修協力機構 (JITCOといいます) の4者を被告として、 未払賃金請求及び損害賠償請求訴訟を提起するに至りました。合わせて、同請求につき仮払いの仮処分も申し立てています。

【本件提訴の意義】
(1) 外国人研修・技能実習制度の実態
  外国人研修・技能実習制度とは、日本国が外国人に対し、各種の技能、技術などの習得を援助・支援し、その習熟を図ることによって、 わが国が主に開発途上国の人材育成に寄与することを目的とする制度であり、国際貢献の一環とされています。

  受入れ人数は年々飛躍的に増加し、2005年段階で、研修生約5万7千人、技能実習生約3万2千人に達しています (法務省調べ)。

  しかしながら、実際には、本件のように外国人研修生を安価な労働力を確保する方法として利用し、 外国人に単純労働をさせるための偽装の手段に利用されている場合が多く違法労働が常態化していると言われています。

(2) 本件提訴の意義
  外国人研修生・技能実習生の多くは、母国の送出機関に多額のお金を支払い、親族等を保証人にするなどして来日しています。 そして、外国人として日本に知り合いがいないことに加えて、被害の声をあげると帰国させられてしまうこと、 外出を制限されていること等から外国人研修生・技能実習生への違法労働の実態が見えにくく、違法労働が状態化していると言えます。

  結局、被害者を救済するためには制度を改廃しなければなりません。本件提訴は、彼女たちを救うことがこの裁判の第一次的な目的ではありますが、 さらには、外国人研修・技能実習制度の問題点を明らかにしていくことにも目的があります。

【手続きの経過】
(1) 仮処分
  2008年4月8日の審尋期日において、申立人側 (仮処分では、訴訟と違い、申立人 〔=訴訟の原告〕 と相手方 〔=訴訟の被告〕 という用語を使用します) は、 研修の実態はなく、労働そのものであったこと、したがって、研修期間中においても最低賃金法が適用されることを準備書面において主張し、 次回期日での結審を求めました。

  これに対して、協同組合、会社2社は、研修は適正に行われた旨主張するのみであり、具体的主張は何らしようとはしませんでした。

  裁判所は、協同組合らに対して、研修生に対していかなる研修を実施していたのか、その具体的事実経緯を明らかにするよう求し、 私たちに対して必要があれば次回期日までに反論することを求めました。

  私たちは、本期日において、研修とは名ばかりで、その実態は労働そのものであったことをすべて十分主張立証することができたと考えており、 裁判所も私たちの主張立証が尽くされたと判断していると考えています。

  5月9日の期日では、期待されていた結審まではいきませんでしたが、次回の審尋期日に裁判所から仮処分を結審するか否かの判断が示されることとなりました。

(2) 訴訟
  2008年2月6日の第一回口頭弁論には被告らは欠席したが、原告側からは、原告1名、代理人2名による意見陳述を行った。
  裁判所にとって今回がはじめて外国人研修生の実態を生の声で聞く機会となった。
  国際貢献とは名ばかりで、あまりに過酷な労働実態であることに関心をもって聞いているように思えた。 また、傍聴人の中には原告の意見陳述に涙を流しているものもいた。

   意見陳述書 弁護士 小野寺信勝 2008.2.8
   意見陳述書 リュウ クン 2008.2.8

  3月14日の期日 (本訴、第3回口頭弁論)
  財団法人国際研修協力機構 (JITCO) は、関係省庁によって設立され、国から技能実習制度等の業務の委託を受けている団体であり、 外国人研修・技能実習制度の中核的機関である。 しかし、JITCOはほとんど監督機能を果たさそうとせず、そのことが、研修生・実習生を低賃金労働者として扱ったり、 重大な人権侵害が生じているという深刻な実態を招いている。

  第3回口頭弁論期日では、JITCOの責任を主張するとともに、原告らがまさに奴隷のように扱われたという被害を訴えた。

  ※資料 第3回口頭弁論意見陳述
   意見陳述書 弁護士 椛島 隆 2008.3.14
   意見陳述書 原告 杜甜甜 (テンテン) 2008.3.14


  5月9日の期日では、原告側は、2008年2月6日付準備書面 (1) において、被告である財団法人国際研修協力機構 (JITCO) に対して、 原告ら研修生・実習生の受入れ機関である被告協同組合や縫製会社等にどのような調査を実施してきたのか回答を求めるとともに、 協同組合等から提出された文書を開示するよう釈明を求めていました。

  これに対して、被告JITCOは、「業務により取得した情報をみだりに開示することはできない」 「回答することは必要もなく、また妥当性も欠く」 等として 我々の釈明の回答を拒否しました。
 本日の期日では、原告谷さんから被害の実態を法廷で意見陳述するとともに、弁護団からは被告らの応訴態度を批判する意見陳述を行いました。

  ※資料 口頭弁論意見陳述
   意見陳述書 弁護士 小野寺信勝 2008.5.9
   意見陳述書 原告 谷 美娟 (グ・メイジャン) 2008.5.9


【一言アピール】
  全国で外国人研修・技能実習制度に取り組んでいる団体と連携して、この制度の改廃をも視野に入れた運動を展開していきたいと思っています。 この記事を読まれた方からの連絡を是非ともお願い申し上げます。

  また、彼女たちは在留資格上、協同組合の組合員である会社以外での就労が認められていないため、全国の支援者からのカンパによって生活しています。 そこで、彼女たちへのカンパも合わせてお願い致します。

文責 弁護士 小野寺信勝