「浮かぶ原発」原子力空母上空の民間機通過差止訴訟〜墜落事故を防ぐために
事件名:米軍横須賀基地原子力艦船上の航空機飛行制限等請求事件
内 容:横須賀停泊中の原子力空母・潜水艦への飛行機事故を起こさ
せないために、飛行制限を求める訴訟
当事者:市民 VS 国
係属機関:最高裁
判決が2010年2月18日に言い渡され、原告側敗訴。
上告受理申立てたが、同年7月21日、不受理決定。
紹介者:只野 靖弁護士
連絡先:只野 靖弁護士
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【訴訟の概要】
米軍横須賀基地の上空が、羽田空港から離陸しようとする航空機の主要な離陸ルートになっているにもかかわらず、
米軍の原子力空母や原子力潜水艦が入港中であっても、それら艦船の上空には、航空機の飛行制限はなされていません。
このような状態を継続した場合には、航空機が墜落などした場合空母などに衝突する可能性があり、もし、そのような事態にいたった場合には、
重大な原子力災害が発生するおそれがあります。そこで、空母などが横須賀基地に停泊中の期間、同基地上空を航空機が飛行することを制限し、
航空機の墜落による原理力災害を防ごうという訴訟です。
原子力空母上空の民間機通過差止訴訟 訴状 PDF
【原告の主張の根拠となる通達】
★運輸省航空局長通達 「原子力関係施設上空の飛行規制について」 (昭和44年7月5日付空航第263号)
「1 施設附近の上空の飛行は、できる限り避けさせること
2 施設附近の上空に係る航空法第81条ただし書の許可は行わないこと」
★社団法人日本航空機操縦士協会に対する国土交通省航空局長通達 「原子力施設上空の飛行規制について」 (平成13年10月16日付国空航第884号)
「原子力施設上空の飛行規制について
標記については、昭和44年7月5日付空航第263号をもって、航空機による原子力関係施設に対する災害を防止するため、
施設付近の上空の飛行はできる限り避けるよう要請し、原子力関係施設の位置等についてはAIPをもって周知してきたところであるが、
今般のアメリカ合衆国における連続テロ事件の発生にかんがみ、上記通達の趣旨について再度傘下会員に対し周知徹底するよう取り計らわれたい。
本件については、航空情報(ノータムRJTD)を発行する予定である。
なお、原子力関係施設付近の上空に係る航空法第81条但し書の許可については、従来通り行わないこととしているので、念のため申し添える。」
以上のように、263号通達、884号通達などによって、原子力施設の上空については、航空機の飛行は完全に禁止されています。
これは、いうまでもなく、原子力施設上空の航空機の飛行を制限することによって、施設への墜落の可能性を少しでも減少させるための措置であり、
ひいては、周辺住民の安全を確保しようとしているものです。それにもかかわらず、米軍原子力艦船の上空の飛行は制限されていません。おかしいと思いませんか。
【一口アピール】
提訴を伝える 新聞記事 をご参照ください。
【判決内容】
米海軍横須賀基地への原子力空母配備に伴い、原子力艦船が寄港中に航空機の上空飛行を制限するよう、
横須賀市民ら五人が求めた訴訟の判決が十七日、東京地裁であった。
杉原則彦裁判長は 「原告らが法律上の利益を有しているということは困難」 などと原告適格を認めず、訴えを却下した。
原告の一人で千葉県に住む頼和太郎さんは 「内容に踏み込まず、形式的な法律論で終わった印象を受ける。
市民の安全が守られたとは言えないので、今後も何らかの対応を実行していきたい」 と話している。
【神奈川新聞より】
文責 弁護士 只野 靖
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