2008.12.1更新

徳島刑務所での非人間的扱いを許すな〜検察審査会申立へ
事件名:徳島刑務所受刑者陵虐刑事告訴・告発事件
内  容:徳島刑務所の受刑者に対する医師による虐待について近く
     刑事告訴・告発する予定
当事者:徳島刑務所受刑者
  受刑者ら22人が、2008年2月、前医務課長の男性医師が診察中に 「直腸指診」 と称して肛門に指を入れたり、顔面を殴って負傷させたほか、必要な診療・投薬を拒否し たなどとして、前課長や元所長ら3人を特別公務員暴行陵虐致傷の疑いで告訴・告発訴したが、徳島地検は10月30日、「正当な医療行為であり、 殴るけるなどの事実はなかった」 として3人を不起訴処分とした。
紹介者:海渡雄一弁護士
連絡先:監獄人権センター


【事件の概要】
  徳島刑務所の医務課長 (医師) が、不要なかつ診察の範囲を超えた直腸触診を受刑者に加え、多数の受刑者が脱肛になるなどの傷害を負った事件。 この医師に対しては、ほかにも暴行、診療拒否などの被害が報告されている。11月16日には、被害に耐えかねた受刑者が暴動まで起こすに至った。

【26日付朝日新聞からの引用】
  受刑者が暴れ、刑務官がけがをする騒動があった徳島刑務所 (荒島喜宣所長)=徳島市=の複数の受刑者が、 同刑務所の医務課長 (男性医師) を特別公務員暴行陵虐などの容疑で刑事告訴する準備を進めていることがわかった。 NPO法人 「監獄人権センター」 (東京) が受刑者から委任状を受け、不当な医療行為があったとして、告訴の準備を進めている。

  同センターによると、05年からこれまでに、同刑務所の受刑者から医療行為に関する相談が約230件あり、「頭やのどの痛みを訴えたのに、 肛門 (こうもん) にいきなり指を入れられた」 「直腸検査を断ると、それ以降の診療を拒否された」 「突然、絶食を命じられた」 などの訴えがあったという。

  同センターはこのうち複数回相談を受けた受刑者に対し、今月13日、告訴の意思を確認する文書を送り、7人から告訴の委任状を受け取った。 22日には、メンバーの弁護士が調査のために受刑者と面会したという。

  同センター事務局長の海渡雄一弁護士=第二東京弁護士会=は「今回の騒動は不当な医療行為に対する反発だとする受刑者の証言もある。 受刑者が安心して診療を受けられなければ、診療に名を借りた人権侵害だ」と話し、告訴に加わる受刑者はまだ増えると見ている。

  同刑務所の高橋広志総務部長は 「今年6月に受刑者からの不服申し立てに基づいて調査したが、医務課長の行為は適切な医療行為との結論だった。 告訴される理由が分からない」 と話している。

【検察審査会申立へ】
  徳島地検は10月30日に3人を不起訴処分としたが、検察審査会に対し、この処分を覆すよう求める申立をする予定。

  [資料] 徳島刑務所内の医療の改善を求める会長声明
 徳島弁護士会 12/7
  [資料] 徳島刑務所視察委員会意見書 12/4
  [資料] 徳島刑務所事件告訴・告発の概要
  [資料] CPRが把握している被害受刑者の訴え一覧

文責 NPJ編集部