2010.1.25更新

富川水害訴訟
事件名:富川水害訴訟
係属機関:札幌地方裁判所民事第3部合議係 坂本宗一裁判長
       →橋詰均裁判長に交代
       平成17年(ワ)第17号 損害賠償請求事件
次回期日:次回期日は2010年1月28日(木) 午後2時〜。
       傍聴希望の方は、法廷 (札幌地方裁判所。法廷は裁判所
       7階701号法廷(予定))まで直接お越し下さい。
       報告集会は、午後2時30分から、北海道合同法律事務所
       4階会議室にて行う予定です。
紹介者:加藤丈晴弁護士
HP


【事件の概要】
(1) 2003年8月9日から10日にかけて、台風10号が北海道を襲った。この台風10号の通過によって、沙流川の支流が氾濫し、沙流郡日高町富川地区では、 55ヘクタールの土地が冠水し、その地域の建物は床上、床下浸水の被害を受けた。

  被害を受けた富川地区の住民10名 (法人1社含む) は、水害の責任は国 (北海道開発局) にあるとして、2005年1月11日、札幌地方裁判所に、 国に対して1億14万円余の支払いを求める損害賠償請求訴訟を提訴した。

(2) この沙流川の上流にあるのが、「二風谷ダム裁判」 で有名になった二風谷ダムである。今回の水害にはこの二風谷ダムが大きく関係している。

  台風の通過によりダムの計画を超える降水量を記録し、北海道開発局室蘭開発建設部二風谷ダム管理事務所は、ダムそのものを守るべく、 ダムの洪水調節機能を放棄し、ダムへの流入水量と等しい量を放流する操作、いわゆる但し書き操作を行った。

  この但し書き操作が、沙流川本流の急激な水位上昇をもたらし、本流から大量の水が 「樋門」 と呼ばれる川の堤防に築かれた水門を通して富川地区の支流へ逆流し、 今回の洪水を発生させたのである。

  この樋門を管理していたのが北海道開発局室蘭開発建設部である。室蘭開発建設部は、二風谷ダムの但し書き操作により、 大量の水が沙流川に流れ込み、支流に逆流するおそれがあることを十分予見できたにもかかわらず、樋門を操作する操作員に対し、 樋門を閉じることなく退避することを指示した。 開発局は逆流が起きることが確実視される状況で樋門を開けたまま漫然と操作員を避難させたのであるから、その過失は明らかである。

【手続きの経過】
  現在12名の弁護士が弁護団を結成して、訴訟を進めている。

  すでに13回の弁論が開かれ、現在は、国賠法1項1号の問題 (逆流発生の予見可能性と浸水被害との因果関係の問題)、及び、 国賠法2条1項の問題 (樋門操作要領の内容や樋門の排水設備 (排水ポンプ) の設置に瑕疵があることについて) に分けて、主張整理が続いている。

  9月4日の期日 (第18回口頭弁論期日)では、原告側が前回期日に提出した甲第30号証及び同31号証の証拠調べと、 被告側の第15準備書面の陳述、乙第71号証から同77号証までの証拠調べが行われました (乙第75号証及び同76号証は町役場の職員の陳述書であり、 その成立の真正を確かめるため、認否は留保としました。)。
  今後の進行については、次回期日までに、当方は、被害論の各論についての陳述書その他の証拠と書面を提出し、 被告は、原告準備書面 (第15)(第16)(早すぎた退避時期の問題と乙42批判の書面) に対する反論の書面を提出することになりました。 書面等の提出期限は10月末とされました。

  11月20日 (第19回弁論) の期日では、原告側から原告の損害論陳述書その他の資料を提出し、 被告国からは第16準備書面 (当方の求釈明に対する回答) が提出されました。
   今後の進行については、次回期日までに、原告側から、残りの原告の損害資料を提出するとともに、被告の第16準備書面に対する求釈明、 そしてかねてから依頼していた大学教授の意見書を提出する予定です。

  第20回弁論は2009年2月12日午後1時30分から行われました。
  内容は、原告側から準備書面 (第17) 及び北大・小野有五教授の意見書、意見書で引用されている雑誌、 原告Yさんの損害論陳述書 (甲第93号証〜同95号証) を提出しました。

  今後の進行については、次回期日までに、当方から、意見書をふまえた準備書面と、残りの原告の損害資料を提出することになりました。 さらに次回期日には裁判官が交代するので、次回提出の準備書面の内容も含めた更新弁論を行うことになりました。 当方の主張としては、これで一段落となり、次々回以降は被告による反論となります。

  21回弁論 (4月23日) の期日では、まず、裁判官の交代に伴い、更新弁論を行いました。 甲第6号証のビデオの一部を上映した後、パワーポイントの上映と説明を行いました。
  その後、原告側から準備書面 (第18) (これまでの主張のまとめの書面) 及び同 (第19) (小野意見書を受けた主張書面)、 そして追加の損害論資料等 (甲第96号証〜同102号証)を提出しました。
  今後の進行については、次回期日までに、当方から、残りの原告の損害に関する資料を提出することになります。 その上で、被告からの反論という流れになります。また裁判所からは、原告本人尋問の予定についても、そろそろ検討して欲しい旨の要望がありました。

  6月24日の期日の内容は以下のとおりです。
  被告国から、第17準備書面 (当方の乙第42号証批判に対する反論) 及び乙第78号証 (基本水準点の変更についての資料) が提出されました。 当方からは、原告の損害論の残りの資料をすべて提出予定でしたが、損害算定が難航し、間に合わなかったため、次回に提出することになりました。
  今後の進行については、次回期日までに、当方から、損害に関する準備書面と残りの証拠を提出することになります。   国からは、7月末までに損害論に関する求釈明がなされる予定です。 また次回期日までに、当方の準備書面 (第18) と同 (第19) に対する認否反論の書面を提出するとのことでした。 また裁判所からは、責任原因その他に対する立証について次回に意見を聞かせて欲しいと言われました。

  第23回弁論(9月3日)では、被告国から、第18、19、20の各準備書面(損害論に関する反論と求釈明、 当方の準備書面(第19) (小野教授の意見書を受けた国の責任の主張)に対する反論)が提出されました。

  原告からは、準備書面(第20) (牧場を経営する原告の馬の損害算定について)と書証(甲103〜123)を提出しました。

  次回期日までに原告は、(1) 国の求釈明を受けた損害論の整理、(2) 国が指摘する小野教授の意見書の 「誤り」 についての確認を訂正(必要があれば)、 (3)人証の検討の3つを行うことになりました。

  第24回弁論(11月20日)の内容は以下のとおりです。
  被告国は、第21準備書面(牧場を経営する原告の馬の損害に対する当方の主張に対する反論)と関係証拠を、 原告側は、準備書面(第21)同(第22)(国の第20準備書面に対する反論)と書証(同原告の馬以外の損害にかかわるもの等)を提出しました。

  次回期日までの原告側の宿題は、(1) 国の求釈明を受けた損害論の整理、(2) 人証の検討です。 被告国には、裁判所から、富川E樋門のオートゲートについて、その仕組みや監視員の有無について報告するように指示がありました。
  なお、裁判長が坂本さんから橋詰均さんに変わっています。

文責 弁護士 加藤丈晴