2008.4.1更新

四日市・中国人技能実習生廃業責任転嫁訴訟
事件名:損害賠償請求事件
     (四日市・中国人技能実習生廃業責任転嫁訴訟)
係属機関:津地方裁判所四日市支部民事部 平成19年(ワ)第478号
次回期日:5月14日 午前10時10分 津地裁四日市支部3号法廷
       傍聴可能
連絡先:日本労働評議会愛知県本部委員長 豊岡真弓
     〒460-0003 名古屋市中区錦2-9-6 名和丸の内ビル7階B
     電話 052-799-5930 FAX 052-799-5931
     (取材・報道大歓迎)


【事件の概要】
1、 当事者 原告 帆布製造会社
        被告 中国人技能実習生7名

2、 事案の概要
  10月30日、「有限会社 三和サービス」 は、自らが受け入れていた中国人技能実習生5名 (若い女性たち) に対し、 損害賠償請求訴訟(総額約2700万円)を起こしました。

  原告の主張は、今年4月30日、8月27日の二回にわたり、実習生5人が作業を 「ボイコット」 したため、取引先から仕事の依頼がなくなり廃業に追い込まれたので、 その損害賠償を実習生に請求するという前代未聞の内容です。

  実際は 「ボイコット」 に相当するものではなく、むしろ実習生を仕事ができない状態にさせた、原告である三和サービス社長の責任が問われるものです。

  事件の背景には、三和サービスが、研修生を派遣する受入機関である 「ティー・エス事業協同組合」 に、 それまで三和サービスが実習生に支払っていた残業代が、労働基準法を無視した違法なものであると是正されたことがあります。 三和サービスは、追加の費用を実習生に転嫁するため、寮費の取立て、労働強化、作業効率の向上を実習生に強いてきました。

  本年8月27日朝、三和サービスは実習生に対し、一方的に作業条件を変更し、一日の作業ノルマを増やし、その上、残業になっても残業代を払わないと言いました。 実習生たちは、とても働けないと反論しましたが、会社は聞く耳も持たず、実習生たちは寮へ追い返されました。
  その後、お昼頃、社長が寮に来て、日本語で怒鳴り散らし、実習生に暴力をふるい、食事をしていた実習生の食べ物を取り上げ、床にたたきつけるなど、 蛮行の限りを尽くしました。実習生たちは身の安全をも心配せざるを得ない状況の中で、とても働ける状態ではありませんでした。
  その後、会社の連絡により協同組合が来て話し合いになりました。

  実習生たちは、協同組合に対し、「働きたい。でもこんな社長のもとでは働けない」、「別の会社に移りたい」 と訴えました。 しかし、実習生には転職する権利がなく、仕方なく帰国することに同意しました。

  会社はこのような事態を指して 「ボイコット」 といい、今回の損害賠償請求訴訟を起こしました。

3、 現時点の状況
  提訴後、原告は、被告等に対して、残業代の一部分 (入国後2年目以降=実習生の期間分) を支払ってきましたが、 残額 (入国後1年目までの分=研修生の期間分) を支払おうとしません

4、 これまでの経過
  12月17日の第1回口頭弁論において、被告は、(1) 準備書面で、実習生は 「ボイコット」 をしておらず、何らの責任を負わないことを主張し、 (2) 解雇無効を前提とする賃金、不払残業代及び付加金総額約800万円を請求する反訴を提起した。
  裁判官の和解勧試に対して、原告は 「ゼロ和解」 を主張。被告は、残業代全額の支払いを求め平行線となったが、1月にもう一度、和解期日が持たれることになった。

  期日後の記者会見で、実習生たちは、「社長から暴力を受けたり、賃金の不払をされた。私たちが訴える立場なのに、会社が私たちを訴えるなんて許せない。」 と述べた。

 [参考] 中日新聞 12/18
 「廃業は研修生が原因」 と提訴 中国人側は賃金未払いと反訴

【一言アピール】
  本件は、実習生らが、三和サービスが違法な最低賃金以下の残業代しか支払わなかったことによる未払い賃金の支払いを求めていたところ、 それに対抗した訴訟提起として起きた事件です。

  その後も会社はさまざまな嫌がらせを行い、実習生たちを寮から追い出そうとしてきました。こんなことが許されていいのでしょうか。 まるで経営者の好き勝手であり、裁判制度がこのように用いられること自体許されるものではありません。 実習生たちはこうした会社の嫌がらせ、悪行にも負けず、訴えられた裁判の中で道理を通して、経営者としてのあり方そのものを問いただしていく決意です。 さらに反訴を起こし、自らの利益を守るために闘う考えです。

  社長は、外国人研修生・実習生を 「安価な労働力」 としており、今回の裁判は自らの違法性、責任を実習生に転嫁しようとしている悪質な裁判です。

  研修生・実習生は、今回の裁判に見られるような無権利状態の中で、働かされています。 この実態を明らかにし、社会的に外国人研修・技能実習制度を改善していかなければなりません。                                
文責 弁護士 指宿昭一