首都圏建設アスベスト訴訟(損害賠償請求事件)
事件名:首都圏建設アスベスト訴訟(損害賠償請求事件)
事件の内容:国及び石綿含有建材製造企業46社に対し、慰謝料として
1被災者あたり一律3500万円と弁護士費用350万円、
合計3850万円を請求
係属裁判所:(1) 東京地方裁判所民事第41部合議2係
事件番号 平成20年(ワ)第13069号
第2次訴訟 平成22年(ワ)第15292号
(2) 横浜地方裁判所第9民事部合議係
事件番号 平成20年(ワ)第2586号
第2次訴訟 平成22年(ワ)第2160号
(1) 次回期日:6月15日(水) 午後3時〜東京地裁103号法廷
次回期日の内容:進行期日協議(傍聴不可)
次々回期日:7月13日(水) 午前10時〜東京地裁103号法廷
(2) 次回期日:6月17日(金) 午後1時30分〜横浜地裁101号法廷
次回期日の内容:被害立証
※当事者が多数のため、一般傍聴席の数が限られており、抽選にな
ることが予想されますので、傍聴希望の方はお早めに法廷にお越し
下さい。
紹介者:武井一樹弁護士
連絡先:首都圏建設アスベスト訴訟統一本部
(東京土建一般労働組合内 電話 03-5332-3971)
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当事者
原告ら
東京、千葉、埼玉、神奈川各都県在住の建設作業従事者で、1960年代以降、建設作業に従事し、石綿含有建材を使用して直接、あるいは間接的に、
石綿粉じんに曝露したことにより、重症の石綿関連疾患 (石綿肺、肺がん、中皮腫、びまん性胸膜肥厚、良性石綿胸水) に罹患し、
労災又は石綿救済法上の認定を受けた被災者及びその遺族
1、東京訴訟原告 172名 (東京139名、埼玉22名、千葉11名)
2、神奈川訴訟原告 41名
被告ら 国及び石綿含有建材製造企業46社
石綿含有建材製造企業約200社の中から、(1) 原則として資本金が3億円以上の大企業 (中小企業基本法で3億円以下を中小企業としているため。) で、
(2) 10年以上主要な石綿含有建材を製造している企業を選定
【請求の趣旨の概要】
国及び石綿含有建材製造企業46社に対し、慰謝料として1被災者あたり一律3500万円と弁護士費用350万円、合計3850万円を請求
【請求の原因の概要】
ア 国の責任
(ア) 判断の枠組み
憲法13条、25条及び27条2項に基づき、国は生命・健康の侵害から国民を保護する義務 (基本権保護義務) を負っているという基本的視点に立ち、
筑豊じん肺最高裁判決及び水俣関西訴訟最高裁判決が示した 「国又は公共団体の公務員による規制権限の不行使は、その権限を定めた法令の趣旨、目的や、
その権限の性質等に照らし、具体的事情の下において、その不行使が許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠くと認められるときは、
その不行使により被害を受けた者との関係において、国家賠償法1条1項の適用上違法となるものと解するのが相当である。」
という判断枠組みを踏まえて国の規制権限の不行使が著しく不合理であったことを明らかにします。
(イ) 旧労働基準法・労働安全衛生法に基づく責任
旧労基法・安衛法に基づく内閣総理大臣及び厚生労働大臣の規制権限の不行使の責任ですが、石綿粉じんの発ガン性が明らかになっているにもかかわらず、
規制が余りにも遅すぎたということです。
具体的規制権限に基づく義務としては、(1) 石綿の製造等の禁止 (1972年)、(2) 石綿吹付作業禁止 (1970年)、(3) 石綿粉じん曝露防止の規制として、
(ア) 警告義務 (1960年)、(イ) 粉じん測定とその結果の評価 (1960年)、(ウ) 石綿含有建材加工時における曝露防止規制 (湿潤化 〔1960年〕、プレカット方式 〔1975年〕、
集じん機付電動工具 〔1947年〕)、(エ) 吹付石綿の剥離・除去対策 (1965年)、(オ) 寒気・局所排気装置の設置 (1960年)、
(カ) 石綿関連疾患についての特別教育 (1960年) の各義務がありながら、これらの規制権限の行使を怠ったものです。
(ウ) 毒物及び劇物取締法に基づく責任
内閣総理大臣は、1955年に、毒劇法に基づき政令で石綿を劇物と定めるべきであったにもかかわらず、これを怠ったものです。
(エ) 建築基準法に基づく責任
建築基準法に基づく内閣総理大臣及び国土交通大臣の規制権限不行使の責任です。
1、 内閣総理大臣は、1972年に、建築基準法施行令を改正して石綿スレートなどを削除すべきであった、
2、 国土交通大臣は、1970年に、建築基準法施行規則を改正して石綿吹付作業を禁止すべきであった、
3、 内閣総理大臣は、上記イの (3) の規制をすべきであったが、いずれも怠ったものです。
イ 石綿含有建材製造企業の責任
石綿含有建材製造企業の共同不法行為 (民法719条)、及び1995年に制定された製造物責任法に基づく責任です。
後者は、企業が石綿含有建材という 「欠陥」 ある 「製造物」 を製造して他人の生命・身体を侵害したというものです。
企業が負う注意義務の内容は、(1) 製品に対する警告・表示義務 (石綿含有の有無・比率、粉じんばく露による発ガンの危険性、
製品使用時における粉じん対策について表示・警告する義務。1955年)、(2) 石綿原料使用の中止義務(1972年)であり、いずれの義務にも違反しているとするものです。
【提訴までの経過】
石綿は 「魔法の鉱物」 と言われ、使用禁止された2006年までに約1000万トンが輸入されており、その7割とも9割ともいわれるものが建築材料に使われてきました。
しかし、国と石綿含有建材製造企業は、既に1950年代半ば、遅くとも1972年には、石綿が発ガン性を有する極めて危険な物質であるということを知りながら、
経済性や効率性を優先させ石綿含有建材を広範かつ大量に使用させて、建設作業従事者の生命と健康を犠牲にしてきました。
そして、「クボタ・ショック」 を契機に、石綿被害は社会問題化し、石綿新法が制定されましたが、国と建材メーカーは、石綿新法の制定をもって、
自らの法的責任を否定したまま建設作業従事者の石綿被害問題についても決着をつけようとしています。
このまま国と建材メーカーの誤った石綿政策と不十分な施策を抜本的に改めさせなければ、(1) 過去の石綿粉じん曝露により、
今後も建設作業従事者の中から多数の石綿被害者が発生することが確実に予測されるが、これらの被害者が石綿被害に見合った補償が得られないだけでなく、
(2) 建物の建替えや解体で発生する石綿粉じん曝露の完全な防止対策がなされず、新たな被害者を生み出す危険性があります。
そこで、これらの思いを共有する建設作業従事者である石綿被害者たちが、国と建材メーカーの法的責任を明らかにすることによってこそ、
「あやまれ、つぐなえ、なくせ石綿被害」 という自分たちの要求を全面的に解決する展望が開けるものと確信して、各所属労働組合の支援を受け、
首都圏の石綿被害者とその遺族が大同団結し、本件訴訟を提起したものです。
【提訴後の手続の経過】
1 東京訴訟
第1次 2008年5月16日提訴
第2次 2010年4月23日提訴
第1次訴訟と弁論併合
2 神奈川訴訟
第1次 2008年6月30日提訴
第2次 2010年4月23日提訴
第1次訴訟と同一期日で進行(今後併合の予定)
【本件訴訟のめざすもの】
原告団と弁護団は、国と建材メーカーの法的責任を明確にし、その政策を抜本的に転換して石綿被害を根絶する必要があると考えています。
そのために、裁判とともに、以下の8つの要求の実現に向けて取り組むものです。
1、 「石綿の健康被害の救済に関する法律」 を、すべてのアスベスト被害者を対象とし、十分な救済が受けられるよう抜本改正すること
2、 国・石綿含有建材製造企業の拠出で、アスベスト被害者を対象にした「被害者救済基金」を設立すること
3、 アスベスト被害の対象疾病に胸膜肥厚斑を加え、疾病が進行した場合、すみやかに補償する制度を 「被害者救済基金」 の中につくること
4、 石綿障害予防規則を改正して、近隣住民と建設現場従事者のばく露防止対策を徹底すること
5、 労働安全衛生法を改正し、アスベスト曝露が判明した一人親方労災加入者に石綿健康管理手帳を交付し、併せて、指定医療機関を限定しないこと
6、 アスベスト被害者の労災保険認定要件を緩和し、給付額の改善を行うこと
7、 アスベスト疾患の診療体制を拡充し、治療方法の研究を進めること
8、 アスベスト廃棄物の除去・処理費用を、企業と国・自治体が発注者に助成すること

2008年5月16日
文責 弁護士 武井一樹


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