原爆症認定集団訴訟(東京訴訟)
事件名 通称:原爆症認定集団訴訟 (東京訴訟)
正式名称:原爆症認定申請却下処分取消等請求事件
一 1次訴訟
(1) 係属機関:東京高等裁判所第4民事部 平成19年(行コ)第137号
(2) 次回期日:5月20日午後1時30分〜 101号法廷
(3) 次回裁判で予定されている内容
被告国側証人反対尋問 (独立行政法人放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センターのセンター長明石真言氏)、
及び原告側証人反対尋問 (広島の福島生協病院の医師斉藤紀氏)。
傍聴は特に支援者以外は呼びかけていません。
二 2次訴訟
(1) 係属機関:東京地方裁判所民事第3部
平成18年(行ウ)第561号ほか
(2) 次回期日:6月20日 午前11時〜
(3) 次回裁判で予定されている内容
進行協議 (非公開のため、傍聴できません)
紹介者:中川重徳弁護士
事件や傍聴等についての連絡先
〒169-0075 東京都新宿区高田馬場1-16-8
アライヒルズグレース 2A
諏訪の森法律事務所 弁護士 中川重徳 (東京弁護団事務局長)
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【事件の概要】
(1) 当事者
ア 原告
昭和20年8月6日に広島で被爆した被爆者及び8月9日に長崎で被爆した被爆者 (いずれも直爆被爆者のみならず、いわゆる入市被爆者・遠距離被爆者を含む) で、
提訴時に東京都内に在住の者。
イ 被告
国、厚生労働大臣
(2) 請求の内容 (請求の趣旨) の概要
厚生労働大臣が、原告らに対して、原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律 (被爆者援護法) 第11条1項に基づき行った、
各原告の原爆症認定申請却下処分の取消し及び損害賠償請求。
(3) 請求の原因の概要
「原爆症」 とは、被爆者援護法第11条1項によって原子爆弾の傷害作用に起因する旨認定される負傷又は疾病である。
被爆者健康手帳を保持する被爆者は、全国で約26万人おり、月額3万3000円程度の健康管理手当の支給を受けているが、
同法に基づき原爆症と認定された被爆者は、それに加えて月額13万円程度の医療特別手当の支給を受けることができる。
被爆者援護法第10条1項によれば、原爆症の認定のためには、
[1] 当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射線に起因すること、又は、当該負傷又は疾病が原子爆弾の放射線に起因するものでないときは、
その治癒能力が原子爆弾の放射線に影響を受けていること (いわゆる起因性の要件)
[2] 現に医療を要する状態にあること (いわゆる要医療性の要件)
が必要である。
ところで、国・厚生労働省は、原爆症認定の起因性 (上記 [1] の要件) 判断にあたって、DS86・原因確率といった認定基準を用いているが、
この認定基準は、直爆放射線量のみを考慮し、残留放射線をほとんど考慮していないため、いわゆる入市被爆者 (原爆投下当時は広島・長崎市内にはいなかったが、
その後救護などの目的で入市し、残留放射線の影響を受けた被爆者等) や、
遠距離被爆者 (爆心地から2km以遠で被爆した被爆者) はほとんど認定されないことになる。
実際、被爆者健康手帳所持者が26万人であるのに対し、原爆症認定を受けているのはわずか 2〜3000人程度に止まっている。
そこで、国・厚労省に対して、DS86や原因確率といった誤った認定基準を改めさせるとともに、
新たな認定基準を策定して広く被爆者を救済させることを目的として提起されたのが本件訴訟である。
【提訴までの経過】
戦後、被爆者運動については、一貫して日本原水爆被爆者団体協議会 (被団協) が被爆者の支援を行ってきた。
そうした被爆者運動の一環として、原爆症認定に関しても、個別の訴訟はいくつか行われており、いくつかの勝訴判決も得ていた (松谷訴訟、小西訴訟、東訴訟等)。
しかし、国・厚生労働省は、個別に判決が出ても、従来の誤った認定行政を全く改めようとはしなかった。
そこで、平成15年頃から全国で集団訴訟が順次提訴されて行き、東京でも平成15年5月に第1次訴訟の提訴がなされた。
【提訴後の手続きの経過】
平成18年5月に大阪地裁で、7月には広島地裁で原告全員勝訴という画期的判決が下された。
その後、名古屋地裁、仙台地裁でも、一部ではあるが勝訴判決が下された。そうした中、平成19年3月22日、東京地裁は、原告30名中21名勝訴の判決を下した。
この訴訟は現在東京高裁で審理中である (1次訴訟)。また、平成18年10月に、第2次の集団提訴が行われ、こちらは現在東京地裁で審理中である (2次訴訟)。
<1次訴訟>
・平成20年3月27日の期日の内容
放射線の急性症状等の立証のため、双方から1名ずつの専門家証人の主尋問が行われた。
国側証人は、独立行政法人放射線医学総合研究所緊急被ばく医療研究センターのセンター長明石真言氏。
その証言の概要は、放射線被爆による急性症状は、相当高線量の放射線被曝をしなければ発生しないものであり、
本件における原告らに生じた被爆直後の各症状は、いわゆる放射線被曝による急性症状とはいえないというもの。
これに対し、原告側証人は、広島の福島生協病院の医師斉藤紀氏であり、上記明石氏の見解を真っ正面から批判する内容 (つまり、
入市被爆者や遠距離被爆者などの高線量被爆とはいえない場合にも相当数の急性症状が発症しているという事実) の証言を行うとともに、
近年争点となっている被爆者の慢性肝炎と放射線起因性の問題についての証言を行った。
<2次訴訟>
・平成20年4月18日の期日は、進行協議期日でした。
訴訟外で、4月から厚労省の新基準による認定作業が始まっており、集団訴訟の原告の中にも今回新たに認定された原告が出ている。
裁判所としては、今後の認定作業を見守り、最終的に認定される原告と、認定されなかった原告とに分け、認定されなかった原告に絞り込んで、
そこに審理を集中させたいとの思惑があるようである。
しかし、原告側としては、認定された原告も、国賠請求は残っているし、全ての原告の一括解決を目指しているので、
認定された者とされなかった者とで分けて審理を行うということは考えていない。
【裁判外の出来事】
全国での度重なる国の敗訴判決を受け、2007年、安倍首相 (当時) は厚労省に対し、原爆症認定基準の見直し作業を指示した。
これを受けて、厚労省は新しい原爆症認定の基準作成を始めた。
そして、今年に入り、厚労省は、「爆心地から 3.5km以内の被爆者及び原爆投下後100時間以内の入市被爆者」 については積極的に認定する旨の新基準を作成した。
しかし、この基準では、救済されない被爆者が大勢いること、また、この基準では、裁判で勝訴した原告でも救済されない場合があり、まだまだ問題が多い。
一方、4月から6月にかけて、また全国の裁判所で判決が相次いで出される予定であるので、今一度運動を盛り上げ、よりよい認定基準に改めさせることが重要である。
【一言アピール】
原告ら被爆者の中には、被爆後長年体調不良に悩まされる、近親者に癌を発症した者がいないにもかかわらず多数回癌を発症するなど、
筆舌に尽くしがたい苦労をしてきた者が多い。
しかし、国・厚労省は、予算の制約を理由に、原爆 症の認定を極端に制限するという、いわゆる被爆者切り捨て行政を長年行ってきた。
原告ら被爆者はいずれも高齢であり、原告の中には判決を聞くことなく亡くなった者もいる。原告ら被爆者には時間は残されていない。
早急な被爆者の救済を実現するため、国・厚労省の誤った認定行政を改めさせるため、断固として闘わなければならない。
文責 弁護士 吉田悌一郎


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