2010.10.27更新

I H I 粉飾決算被害事件
事件名: IHI 粉飾決算被害事件
事件の内容: IHI が粉飾決算を隠蔽していた時期に、粉飾決算であるこ
        とを知らずに同社の株式を購入した投資家が、IHI に対し
        て、被った損害の賠償を求めた事件。
当事者:原告 IHIの粉飾決算を知らずに同社の株式を購入した投資家
     被告 株式会社 IHI (旧石川島播磨重工)
事件番号:平成20年(ワ) 27292号損害賠償請求事件
       平成20年(ワ) 31456号損害賠償請求事件
係属裁判所:東京地方裁判所民事31部
次回期日:未定
       平行して行っている文書提出命令手続きの関係で、次回期
       日は決まっていません。決まり次第、掲載します。
次回期日の内容:未定
紹介者:大川原 栄 弁護士
連絡先: IHI 粉飾決算被害株主弁護団
     城北法律事務所 電話 03-3988-4866 FAX 03-3986-9018


【事件の概要】
1  IHI は平成18年12月15日に約72億円の損失を隠した平成18年9月中間期半期報告書を、 平成19年6月27日には200億円の損失を隠した平成19年3月期有価証券報告書を、関東財務局長に提出しました。

2  この粉飾決算により、IHIの株価は上昇を続け、このため多くの投資家が,IHI株を優良株と信じて市場で取得しました。
  また IHI は、平成19年1月に一般公募により約560億円、第三者割り当てにより約80億円の新株発行を行なっており、 これにより IHI 株式を取得した投資家も多数存在します。

3  その後、平成19年9月28日に IHI は自ら粉飾決算を認め、平成20年6月の証券取引監視委員会からの課徴金納付命令に応じて約16億円の課徴金を支払いました。

  しかし、IHI 粉飾決算により、IHI の株価は9月28日の公表から翌営業日である10月1日までの間に一株80円も暴落しました。

  この IHI の粉飾決算を原因とする株価の暴落により被害を受けた、一般投資家の被害回復は何ら図られていません。

4  そこで、IHI の粉飾決算により被害を受けた投資家が IHI に対し損害賠償を請求したのが今回の事件です。

【原告の範囲】
  今回の訴訟で原告となれるのは以下のいずれかに当てはまる方です。

  A 平成18年12月15日以降に IHI の株式を取得し,平成19年9月28日時点で株式を保有していた方

  B 平成19年1月に実施された公募ないし売出しに応じてIHI株式を取得した方

【訴訟経過】
  2008年9月29日、60名の被害株主が原告となって東京地方裁判所に第1次提訴をおこない、 同年11月4日には90名の被害株主が原告となって同じく東京地方裁判所に第2次提訴をおこないました。
  現在の原告となっている150名は被害に遭われた株主の一部に過ぎません。
  弁護団は、弁護団事務局への問い合わせを受け、引き続き受任希望者との委任手続きを継続し、年末を目処に第3次提訴を行う予定です。

  2008年11月13日 (第1回口頭弁論)の内容
  訴状・答弁書陳述、原告弁護団の意見陳述が行われました。

  2009年1月19日(第2回口頭弁論の内容)
  第3次提訴訴状、答弁書陳述、原告第1準備書面陳述

  2009年3月30日(第3回口頭弁論)の内容
  被告側被告第1〜第3準備書面陳述

  2009年6月8日(第4回口頭弁論)の内容
  原告第2準備書面陳述。
  原告は準備書面において、「虚偽の記載」 の存在についてはこれまで課徴金審判手続等がこれを認定し、被告自身もこれを自認してきたのであるから、 被告が主張する個々の各工事の概要に立ち入るまでもなく、これが認められることは明らかであることなどについて、詳細な主張を行いました。

  2009年7月30日(第5回口頭弁論)の内容
  被告準備書面陳述
  被告は、本件訴訟において、平成19年3月期の有価証券報告書等には 「虚偽の記載」 は全く存在しないと主張しており、 順次、これに関連する国内外の約20個の工事の概要を示していくと主張しています。
  これに対し、原告は被告のしようとしている主張は訴訟の引き延ばし目的の主張であり許されないとして、審理を進めるよう裁判所に求めていました。

  2009年10月6日(第6回口頭弁論)の内容
  被告準備書面陳述。
  被告は、依然決算に関連する約20工事について主張するとし、準備書面を提出しました。

  2009年12月14日(第7回口頭弁論)の内容
  原告準備書面陳述。
  原告は、被告 I H I の工事に関する損益計算の計上方法について会計論上の主張を行いました。

  3月1日 第8回口頭弁論

  5月10日 第9回口頭弁論

【弁護団からのコメント】
  IHI 自体は上記課徴金の支払により一定の法的措置を受けているとしても、同社の粉飾により損害を被った一般投資家の被害補填は実施されていません。 粉飾決算に基づく投資家の被害はいわゆる自己責任論の範囲外であり、法はその被害補填を予定しています。

  今後も多くの方の救済を目指して、原告募集を行ないますので、上記 「原告の範囲」 の要件に当てはまる方は、弁護団までご連絡下さい。

文責 弁護士 大川原 栄