2011.8.7更新

高圧線下保証差額請求事件〜地主を平等に取り扱え

事件名:不当利得返還請求事件(高圧線下補償差額請求事件)
当事者:高圧線下の地主 VS 東京電力
内容:高圧線が通る敷地に支払われる補償費について合理的理由もな
    く近隣土地の6分の1程度に抑えられていたことを知った地主が
    差額を求めて提起した訴訟。東京電力の公共性が問われる。
係属機関:水戸地方裁判所
次回期日:9月7日(水) 午後3時半〜 弁論準備(非公開)
紹介者:木下徹郎弁護士


【提訴に至る経緯】
  高圧線下の土地については、高圧線が存在することによって利用制限されるため、一定の補償が支払われている。
  原告らは、昭和56年ころから、那珂市内で牧場を経営してきたところ、補償費については周辺は同額という東京電力の説明のもと、 送電線路架設契約を締結して、当初1平方メートルあたり年額27円、平成11年から同49円を受け取ってきた。
  ところが、平成18年に、隣地で同200円が支払われていること、さらに近隣では同300円が支払われていることが判明した。
  そこで、東京電力に遡って値上げするよう求めたが、東京電力は将来分についてのみ増額する旨通知してきた。
  原告らは、高度の公共性を有する東京電力の姿勢に堪えかね、提訴することとした。

【請求の原因】
  まず、送電線路架設契約は、詐欺(取消)、錯誤(無効)、あるいは公序良俗違反(無効)により、取消あるいは無効となる。
  したがって、東京電力は、理由なく本件土地上に高圧線を架設していることになるため、周辺と同等の適正な補償費相当額について不当利得を得ており、 それを返還する義務を負う。

【訴訟のポイント】
  公共性の高い電力会社が合理的理由もなく、補償費の額に差をつけることが許されるのか。
文責 弁護士 木下徹郎