2011.8.2更新

沖縄密約の存在は否定できない!
〜沖縄密約文書・情報公開不開示決定取消請求訴訟
事件名:沖縄密約文書不開示決定処分取消等請求訴訟
内  容:沖縄が返還される際に、米国が負担するとされた土地の原状回復費用などを秘密裏に日本側で負担することを約束した合意書などの公開を求める訴訟
当事者:桂 敬一、柴田鐡治、新崎盛暉、澤地久枝、西山太吉など
      25人 VS 国
係属機関:東京高等裁判所
次回期日:9月29日(木) 午後2時 東京高裁101号法廷
次回期日の予定:判決予定
連絡先:メディア総合研究所 (岩崎貞明)
     〒160-0007 新宿区荒木町1-22-203
     TEL:03-3226-0621

【裁判の目的】
  沖縄は無償で返ってくると明言した佐藤栄作首相(当時)の言葉とは裏腹に、沖縄は当初から金で買われることとなっていた。 この訴訟では、当初から日本が多額の負担をすることが約束されていた柏木・ジューリック文書、 表向きには米側が負担するとされていた返還土地の原状回復費を日本が負担することを確認した吉野・スナイダー文書、 ヴォイス・オブ・アメリカの移転を日本側が負担することを確認した吉野・スナイダー文書などの公開を求めることで、 沖縄返還の裏に隠された密約〜いまとなっては公然の秘密ともいえる〜の存在を明らかにするとともに、 情報公開制度を使いやすくすることに貢献することを狙っている。

【訴訟に至る経過】
1969年12月 2日 柏木(大蔵省財務官)・ジューリック文書(甲5)
1971年 6月11日 吉野(外務省アメリカ局長)・スナイダー文書(甲3)
1971年 6月12日 吉野・スナイダー文書(甲1)
1972年 5月15日 沖縄返還
1998年 7月    米国立公文書館での甲5の公開報道
1999年 7月    オーラルヒストリー聞き取りで吉野元局長、密約の存
            在を認める
2000年 5月    米国立公文書館での甲1、甲3の公開報道
2002年 5月    吉野元局長、甲1の署名を琉球朝日放送の番組で
            認める。
2006年 2月    吉野元局長、北海道新聞、朝日新聞の取材に対し、
            原状回復費の肩代わりなどを認める。
2008年 9月 2日 原告を含む62名が外務大臣、財務大臣に3文書
            の開示請求を求めた。
2008年10月 2日 両大臣とも不存在を理由として不開示決定
2009年 3月16日 提訴

【桂 敬一原告共同代表の陳述書から】
  「私たちは、アメリカの大統領が「世界唯一の核兵器使用国として、その道義的責任から世界の核廃絶を目指す」 と約束した、歴史的転換期に臨んでいる。 世界唯一の実戦核兵器被爆国、非核3原則をもつ日本は、この目標の達成に全面的に協力していくべきだ。 冷戦時代の遺産さながらの沖縄密約は清算、沖縄問題も含めた今後の日米関係構築に必要な政策は、透明性が確保された協議体制の下での検討が望まれる。 日本はまず、アメリカの情報公開制度、とくに政府文書の公開制度を見習わねばならない。 それは、政府が政策の立案・実施で過ちを犯しても、いつかその原因を発見、政策を正道に戻す、政治の民主的復元力を保障してきた。 日本政府は手始めとして、沖縄密約に関してアメリカが公開したものに見合う文書資料を、もう公開すべきである。 本裁判がそれを促し、国民の知る権利を満たし、政府に対する信頼の回復に資する役割を演じられんことを、私は期待する。」

   東京地裁判決は こちら 2010.4.9

【次回期日の紹介】
  10月26日、東京高裁101号法廷。

文責 NPJ編集部