2013.10.17更新

裁判権放棄密約文献閲覧禁止処分取消請求訴訟
〜真理がわれらを自由にする
事件名:刑事裁判権放棄文書閲覧禁止処分取消等請求事件
     (真理がわれらを自由にする事件)
内  容:日本政府が在日米軍関係者による犯罪の裁判権を放棄するとした検察官用資料について、国立国会図書館が閲覧禁止としたことについて、 ジャーナリストの斎藤貴男さんが処分取消を求める訴訟
当事者:斎藤貴男 VS 国
係属機関:東京高等裁判所第23民事部
原告の請求を棄却した控訴審判決を不服とし、原告は上告・上告受理申立をしたが、2013年9月24日、上告棄却・上告不受理を決定。
紹介者:全東周弁護士


【裁判の概要】
  2008年8月21日、原告のジャーナリスト・斎藤貴男さんは、国立国会図書館に対して、 日本国内で米兵及びその家族らが犯罪を犯した際の扱いなどを定めた 「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」 (1972年法務省作成)について、閲覧を求めたが、閲覧禁止とされた。そこで、同氏は、2009年2月16日、閲覧禁止措置の取消しを求めて東京地裁に提訴した。
  国会図書館側の説明によれば、「合衆国軍隊構成員等に対する刑事裁判権関係実務資料」 は古書店から自主的に購入したものであり、 その後継続して公開されてきたが、2008年5月、法務省から閲覧制限の申し出があったため、内部の委員会で検討を行い、 その結果、6月11日に閲覧禁止を決めた。国会図書館は、国や自治体が非公開と決定したものは利用を制限できるとする内規を定めており、 上記資料については法務省の申し出と異なる判断を下すに足る理由がなかったと説明している。

【斎藤貴男原告の陳述書から】
  「国会図書館は法務省の指示を受け入れて、資料の閲覧を禁じました。国民の知る権利になどこれっぽっちも価値を見出していなかった戦時中や、 その他、古今東西の珍しくもない、原始的で愚劣な支配の手口をそのまま行使したのです。 国会図書館は何でもかんでも見せなければならないなどと言っているのではありません。 法律や利用規則にあるような、「人権を侵害する資料」 であるならば、制限がなされても致し方ない場合もあるはずだと理解できます。 閲覧を禁じられた資料はそうではなく、むしろ正反対の、人々の人権が他ならぬ日米両政府によって侵害されている真実を説明し、 かつ、基本的人権の尊重を高らかに謳う日本国憲法を有する日本国の国家主権の実態を明白にしてくれる、 ということは未来の日本にとって重要すぎるほど重要な、本来なら義務教育の教科書に引用して子どもたちに対しても積極的に伝えられてしかるべき文書であること、 改めて指摘するまでもありません。それを、敢えて、隠蔽する。 一方の当事者であるアメリカ政府がすでに公開してしまっている文書と同じ内容の文書を、できるだけ日本国民の目に触れないように、 早い話が騙し続けておこうとする卑劣が、傲慢が、どうして 「真理」 なのでしょうか。私たちは奴隷でも道具でも、息をする財布でもないのです。 人間です。人間に向かって 「真理」 を標榜し、「真理」 の護持者たらんと自負する組織もその構成員もすべからく、もう少しく真摯で、 謙虚でなければならないのではないでしょうか。」

【一審判決の内容】
  本件一審の継続中、国立国会図書館は、本件資料の閲覧禁止措置を、ほぼ全面的に解除したため、原告は、処分の取消請求は取り下げ、 国家賠償請求は維持しました。
  ところが一審判決は、判決言い渡し期日を2度も延期した末、不当にも原告の国家賠償請求を棄却しました(2011年8月25日)。
  そこで原告は、2011年9月2日付で控訴しました。
文責 NPJ編集部