2010.8.13更新

女性自衛官に対する上司のセクハラの責任を国に問う裁判

事件名:国家賠償請求事件
内  容:女性自衛官に対する上司のセクハラの責任を国に問う裁判
当事者:女性自衛官 VS 国
係属機関:札幌地方裁判所
  7月29日、原告勝訴判決。 8月12日、防衛省控訴断念、勝訴確定。
  3曹の暴行による慰謝料を200万円、監督者として義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円と認定(80万円は弁護士費用)
     判決要旨 2010.7.29
     勝訴判決を迎えて 原告弁護団 7/29
     7月29日札幌地裁判決の確定にあたって
 女性自衛官人権裁判弁護団 8/12
連絡先:北海道合同法律事務所気付
     女性自衛官の人権裁判を支援する会


【争点】
(1) 自衛隊が全面否定している、@ 性暴力、A 保護・援助の不作為、B 退職強要、の各事実をどう認定するか
(2) 部隊におけるセクハラ防止対策の実態(勤務環境)をどう断罪するか
(3) 原告の被害をどれだけ深刻に受け止め評価するか

【一言】
  2007年5月8日の提訴から約3年3カ月、いよいよ、7月29日に判決を迎えます。
  未来への夢を抱き、努力して道を切り拓いてきた原告が、性暴力に遭い、被害を訴えたことが逆にイジメや退職強要を受けたという、 本当に理不尽な事件でした。
  原告は、性の尊厳、人権の回復を求め、「裁判は暗闇の中の一条の光だった」 と現職のまま提訴し、弁護団とともに真実を法廷で明らかにしてきました。

  2010年7月29日、原告勝訴判決。
  3曹の暴行による慰謝料を200万円、監督者として義務を尽くさなかった上司らの処遇による慰謝料を300万円と認定(80万円は弁護士費用)

【原告のコメント】
  「素晴らしい判決でとても嬉しい。私は3年3ヶ月前、原職の航空自衛官として提訴しました。未だ誰も歩いたことの無い道を歩くのは大変なことです。 立ち止まりそうになった時には、ここにいる弁護団や支援する会を始め、多くの人達がいたからこそ、今日の判決を迎えることができました。 自衛隊においても人権が保障される方向に大きく変わって欲しいと願っています。私を支えてくれた人たちに最上級の感謝を伝えたいと思います」

【弁護団のコメント】
  「性暴力それ自体よりも、その後の部隊の対応について多額の慰謝料を認めたことは、性被害の実態の捉え方(その後の苦しみが大きいこと)、 また、被害者の所属する組織の責任の重大さを示した点で大変意義深い。 判決を今後の自衛隊のあり方に生かしてもらわなければいけない。」(佐藤博文弁護士)
  「裁判官は現場に足を運び、原告の気持ちになって事件を想像し、血の通った判断をしてくれた。 司法に、まだ正義と希望があったと感じた。」(秀島ゆかり弁護士)
文責 NPJ編集部