2011.8.2更新

カルテがないC型肝炎訴訟 〜肝炎難民に真の一律救済を〜
事件名:薬害C型肝炎被害者救済請求事件
内  容:薬害肝炎救済法に基づく給付金支払請求
当事者:カルテがない薬害C型肝炎患者 VS 国
係属機関:東京地方裁判所(この他、各地の原告団がそれぞれの管轄
       裁判所に提訴予定)
次回期日:2011年10月4日(火) 午前11時30分〜、法廷未定
次回期日の予定:第4回口頭弁論
紹介者:只野 靖弁護士
連絡先:カルテがないC型肝炎訴訟原告団


【はじめに―なぜカルテがないC型肝炎患者が問題になるのか―】
(1) 解決したかに見えた薬害肝炎問題
  薬害肝炎問題は、2002年10月、売血から作られた血液製剤、いわゆるフィブリノゲン製剤を投与されたことによって肝炎に感染した患者が、 国や製薬会社を相手取り訴訟を提起したことをきっかけに世間の耳目を集めるようになりました。
  そして、紆余曲折の末、2008年1月、国や製薬会社に責任があることを前提とする薬害肝炎救済法が成立、 ついに薬害肝炎の救済に目処がついたかと思われました。

(2) 一律救済成らず
  しかし、約1万人とされる薬害C型肝炎患者(厚生労働省調べ)のうちこれまで救済されたのは約 1700人だけです。なぜなのでしょうか?
  それは、救済法(※)が、裁判判決の確定ないしは和解・調停を国との間で成立させていることを要件に給付金を支払うと定めているためです。 前記訴訟に参加していなかったC型肝炎患者は、別途、訴訟をして、 自分のC型肝炎がフィブリノゲンを投与されたことによって発症したことを裁判所に認めてもらわねば、救済法によって給付金を受けることはできないのです。

  具体的には、裁判で、@ 特定フィブリノゲン製剤等の投与の事実、A C型肝炎ウィルスへの罹患、 B @ と A の因果関係の要件が認定される必要があります。

  ただ、上記 @〜B のうち、特に @ の 「投与の事実」 を立証するのは容易ではありません。 なぜなら、ほとんどの患者は、フィブリノゲン投与の事実を証明する上で最も強力な証拠、カルテを入手できないからです(カルテの保存期間は5年で、 フィブリノゲンが問題になったのは今から数十年も前のことです)。
  事実、2002年以降の一連の訴訟では、カルテがない患者は、原告になることすら難しかったのです。

(3) 一律救済を目指して
  こうした流れの中、ついに、カルテがないC型肝炎患者が原告となって、救済法に基づく給付金の請求を行い、 一律救済を求めていこうとする取組みが始まりました。立証は困難を極めることが予想されますが、原告団は、自身の記憶、当時の医師、 看護士の証言や、母子手帳などを手がかりに証拠を収集し、立証活動を進めていく方針です。

【請求の内容】
 1 主位的には、薬害肝炎救済法に基づく給付金支払いを求める
 2 予備的に、薬害肝炎救済法に基づく給付金請求権があることの確認を求める

【請求の理由】
  原告らは、特定フィブリノゲン製剤等の投与によって、C型肝炎ウィルスに罹患したものである。 そこで、原告らは、国に対して、薬害肝炎救済法に基づく給付金の支払を請求する。
  なお、救済法の解釈上、直接、救済法に基づく給付金の支払を請求することができないと判断された場合に備え、 予備的に、原告らが同法に基づく給付金支払請求権を有することの確認を求める。

【これまでの経過】
  東京原告団は、2010年11月29日に訴えを提起しました。原告102名、訴額合計22億6200万円の一大訴訟です。
  さらに、同年5月31日、原告54名が第2次提訴を申立ました。この日は、大阪でも30名、鹿児島でも20名が提訴しています。

【一言アピール】
  昨年の提訴後、事務局にはカルテがないC型肝炎患者の方からの問い合わせが殺到しております。 弁護団では、現在、第2次提訴に向けて、全国の弁護士と協力体制を構築して、作業を進めています。
  ここをご覧の方で原告団に加わりたい、加われるのか知りたいという方がおられましたら、下記の連絡先までご連絡ください。 なお、ご本人が亡くなられている場合でも、遺族の方であれば原告になれる場合があります。

  [連絡先]
     カルテがないC型肝炎訴訟原告団
     〒370-0846 群馬県高崎市下和田町5-2-14
     電話 027-327-2070
     問い合わせ時間
        @ 9時〜12時
        A 14時〜16時
        B 17時〜19時
     メールアドレス ckan2010★yahoo.co.jp
              (★を@に変えてください)

     カルテがないC型肝炎訴訟原告団ブログ

【次回期日のご案内】
  次回は原告側が総論及び個別主張を行う予定です。

文責 弁護士 只野 靖