2011.3.7

大間原発建設・運転を差し止めよう
〜大間の海は宝物、函館の海も宝物、子孫へ残そう宝の海を〜
事件名:大間原子力発電所建設・運転差止請求事件
      並びに損害賠償請求事件
内  容:大間原発の建設・運転の差止め及び損害賠償を求める訴訟
当事者:大間町,函館市を中心とする道南・下北半島北部周辺住民ら
     (総勢170名)
     大間マグロ,戸井マグロ(津軽湾に生息する太平洋クロマグロ)
         VS 国及び電源開発株式会社
係属機関:函館地方裁判所
次回期日:2011年5月19日(木) 14時30分
       第2回口頭弁論
紹介者:只野 靖弁護士
連絡先:大間原発訴訟の会


【はじめに】
  大間町と言ってすぐにそれがどこにあるどんな町かわかる人は少ないかもしれません。 しかし、大間マグロがもう食べられなくなるかもしれないと聞けば、あの大間か、とおわかりになられる方も多いと思います。 今回の大間原発建設・運転差止め訴訟は、原発建設予定地の周辺住民が日々の安全、安心を勝ち取るというだけでなく、大間の海を守り、 全国ブランドである大間マグロを初めとする多様な海洋の生態系を保護するという意義を有しています。

【大間原発について】
(1) 大間原発とは
  原子力発電は、通常、ウラン燃料を利用しますが、例外的に、ウラン燃料と一緒にMOX燃料という、 ウランとプルトニウムを混合した核燃料を使うことがあります(これをプルサーマル利用といいます)。 しかし、このMOX燃料は、ウラン燃料よりも不安定で、端的に言ってウラン燃料を使用するよりも危ないため、 あくまでウラン燃料の一部代替という形で使用されてきました。

  しかし、大間原発は、全炉心MOX (フルMOX) 炉、つまり、MOX燃料のみを使用する原発として計画されました。 こうしたフルMOX炉は、世界的に見ても前例がありません。また、大間原発を運営する電源開発株式会社は、これまで原発を保有したことがありません。 大間の地形学的問題も併せ考えると、大間原発は極めて危険といえます。

(2) 大間原発の現状
  現在、大間原発の建設が進行中です。ちなみに、大間原発の炉心予定地からわずか200メートル離れた場所には、 原発用地買収に最後まで応じずに原発反対の声を上げ続けた熊谷あさ子さんの娘、 小笠原厚子さんが 「あさこはうす」 と呼ばれるログハウスで生活しています。
    ※ 参考

(3) 函館市と大間町の関係
  大間町の原発の問題が、なぜ函館市でも問題になっているのでしょうか。 実は、大間原発の建設地と函館市は、津軽海峡を挟んで僅か20Kmしか離れていません。 それゆえ大間原発の安全性は、函館市民にとっても大きな関心事になっています。
    ※ 参考

【請求の内容】
1 被告電源開発株式会社は、青森県下北郡大間町に、2008年4月23日許可に係る大間原子力発電所を建設し、運転してはならない。

2 被告国及び被告電源開発株式会社は、原告らに対して、連帯して、各3万円の割合による金員を支払え

【請求の理由】
  大要、次の理由により、原告は大間原発の建設・運転を行うべきでないと主張しています。
@ 安全性の検証が不十分なまま、コントロールの難しいMOX燃料を全炉心で使用することは極めて危険であること
A 複数の変動地形学の専門家から、原発予定地付近の津軽海峡には活断層があり、 その活断層を起因としてマグニチュード7レベルの大地震が起こる可能性がある、という指摘がなされており、大間は原発の立地として不適切であること
B 大間原発は、本州に連なる火山帯の上に位置し、道南の駒ケ岳が噴火した場合、降灰によって原発に被害が生じる可能性があること
C 大間原発が稼動した場合、炉心を冷却するために生じる温排水(1秒間に91トン)が津軽海峡に大量に排出されることになるが、 これにより大間原発を中心として、周辺海域の海水温が変化し、全国ブランドのクロマグロ、イカ、昆布などに重大な被害を及ぼす可能性があること
D 電源開発株式会社はこれまで原発を保有したことがなく、世界初のフルMOX炉を安定して運用できる保証がないこと
E 原発設置認可の対象にもなっている大間原発の炉心の基本設計は、フルMOX炉としての使用に耐えうるか疑問があること

【これまでの経過】
  現在は第1審で、函館地方裁判所に事件が係属しています。
  2010年12月24日に、函館地裁で第1回の口頭弁論期日(裁判)が開かれました。
  第2回は2011年5月19日(木) 14時30分から、同じく函館地裁で行われます。

【一言アピール】
  大間原発訴訟はまだ始まったばかりです。これから12月一杯をめどに第二次原告団の募集が行われます。ぜひご支援お願いします。

     大間原発訴訟の会blog

【次回期日のご案内】
  大間原発訴訟の次回口頭弁論は2011年5月19日(木) 14時30分から函館地裁にて行われます。
  原告からは、ABWR(炉心の設計)やフルMOXの危険性、被害の甚大性・特殊性などを中心に、パワーポイントを用いたプレゼンテーションを実施し、 原告である周辺住民からも意見陳述を行います。

文責 弁護士 只野 靖