2014.1.14

福島原発事故の被害者の早期救済を求めて
〜福島原発被害東京訴訟
事件名:福島原発事故損害賠償請求事件
内容:福島原発事故により避難生活を強いられ、あるいは家族離散状態を余儀なくされるなどの被害を被った被害者が、 当該事故の加害者である東電及び国を被告として損害賠償を請求する訴訟。
当事者:1次訴訟原告/3世帯8名
     2次訴訟原告/14世帯40名
     被告/東京電力株式会社・国
係属機関:東京地方裁判所民事第50部 合は係・後藤博裁判長
事件番号:1次訴訟〜平成25年(ワ)第6103号
       2次訴訟〜平成25年(ワ)第19720号
次回期日:1月30日(木) 11時〜 103号法廷
      傍聴希望の方は直接法廷にお越し下さい。
次回期日の予定:第4回口頭弁論期日。原告本人1名及び代理人弁護
           士1名による井意見陳述(予定)。
           終了後、11:40分頃より、千代田区立日比谷図書文
           化館スタジオプラス(小ホール)
にて報告集会。
紹介者:弁護士 吉田悌一郎
連絡先:福島原発被害首都圏弁護団(東京都新宿区新宿1-11-12
     岩下ビル4階 オアシス法律事務所内
     電話:03-5363-0138 FAX:03-5363-0139
     メール:shutokenbengodan@gmail.com)
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【概要】
1 当事者
(1)原告
  @ 1次訴訟原告
  2011(平成23)年3月11日の福島原発事故により、福島県内の避難指示区域外から首都圏に避難し、 避難生活を余儀なくされている被害者(区域外避難者)3世帯8名(未成年者を含む)。
  A 2次訴訟原告
  同事故により、福島県内の避難指示区域からの避難者(区域内避難者)及び区域外避難者、 避難指示区域外の地域の滞在者(区域外滞在者)など14世帯40名(未成年者を含む)。
(2)原告ら代理人
   福島原発被害首都圏弁護団(共同代表:中川素充弁護士、森川清弁護士)
  VS
(3)被告
  東京電力株式会社、国

2 提訴日
  1次訴訟:2013(平成25)年3月11日
  2次訴訟:2013(平成25)年7月26日

3 請求の内容
  2011(平成23)年3月11日の福島原発事故により、それまで住んでいた地域を離れて避難生活を余儀なくされている区域内避難者及び区域外避難者、 さらに家族の避難によって家族の離散を余儀なくされた区域外滞在者などの被害者が、加害者である東電及び国を被告として、 損害賠償(慰謝料、生活費増加分の損害、就労不能損害、財物損害等)を請求するもの。

【これまでの裁判期日の報告】
1 第1回期日(2013(平成25)年6月12日)
  原告側が訴状を陳述、被告東電及び被告国が答弁書をそれぞれ陳述した。
  その後、原告鴨下祐也さんによる意見陳述、弁護団の中川素充弁護士による意見陳述がなされた。

2 第2回期日(2013(平成25)年9月11日)
  原告側が以下の3本の準備書面を陳述した。
  @ 準備書面(1)国答弁書第3求釈明に対する回答
  A 準備書面(2)原子力の基本的理解及び原発の危険性
  B 準備書面(3)「国策民営」の原子力政策
その後、原告番号2−1さんの意見陳述、弁護団の深井剛志弁護士による意見陳述がなされた。

3 第3回期日(2013(平成25)年11月27日)
  原告が以下の4本の準備書面を陳述した。
  @ 準備書面(4)本件原子炉の定期検査に関する違法
  A 準備書面(5)本件原発事故の経過について
  B 準備書面(6)損害総論の構成について
  C 準備書面(7)避難の合理性について〜その1
  また、被告東電は被告東京電力共通準備書面(1)を、被告国は第1準備書面を提出した。
  その後、原告1名の意見陳述、弁護団の吉田悌一郎弁護士による意見陳述がなされた。

【今後の予定】
  今後、被告東電及び被告国の責任を追及するための責任論や、個別の原告らの被った被害に関する損害論を中心に、 主張・立証が行われる予定である。
  また、その後、専門家証人などによる証人尋問や、各原告の原告本人尋問が順次行われる予定である。

【一言アピール】
  2011(平成23)年3月11日に発生した福島原発事故(以下、「本件原発事故」 という)は、未曾有の被害をもたらし、 膨大な数の避難者が今現在も不自由な避難生活を余儀なくされている。
  こうした本件原発事故の被害者に対する損害賠償の指針として、原子力損害の賠償に関する法律18条に基づき、 「東京電力福島第一、第二原子力発電所事故による原子力損害の範囲の判定等に関する中間指針」、 「同中間指針追補」 等が公表されているが、これらの指針による賠償の水準は極めて低額な基準に止まっている。
  そして、本件事故の直接の加害者である東電は、基本的にはこの指針の水準での賠償にしか応じない姿勢を鮮明にしている。
  これは、被害者の賠償額を低額の水準に押さえつけようとする被害の切り捨てに他ならない。
  さらに、区域外避難者の場合は、区域内避難者とあらゆる場面で差別的な取扱いがなされ、賠償額もさらに低い水準に押さえつけられている。
  政府による避難指示は、国際放射線防護委員会(ICRP)の勧告に基づき、 1年間の積算線量が20ミリシーベルトを超えると推定される箇所が対象とされた。しかしながら、放射線被ばくの人体への影響、 特に低線量被ばくの健康影響は未解明な点が多く、20ミリシーベルトを超えない地域であるから安全だとはとうてい言い切れない。 しかもこの基準は、大人よりもはるかに高い子どもの放射線感受性や内部被ばくは考慮されていない。
  加えて、福島原発事故はいまだに収束していない。2013(平成25)年に入ってからも、 福島第一原発4号機で使用済み核燃料プールの冷却装置がストップするという事故が発生したが、こうした小さな事故は頻繁に起きており、 周辺住民の不安は計り知れない。
  こうしたことから、政府による避難指示区域以外の地域であっても、特に幼い子どものいる世帯などは、 放射線被ばくを恐れて避難している人(区域外避難者)が相当数いる。
  しかし、被告国や被告東電は、政府による避難指示の有無で線引きを行い、区域外避難者をあらゆる施策の場面で差別的に扱うだけでなく、 損害賠償についても区域内避難者との間で大きな差を設けている。
  このような被告らの対応は、被害の切り捨て、被害の線引きによる被害者同士の分断を図るものであり、決して許されてはならない。
  本件訴訟は、こうした被告らによる被害の矮小化、切り捨て、被害の線引きによる被害者同士の分断を許さず、原告ら被害者に完全賠償を実現させ、 その人生を蹂躙された被害者の救済を求めるたたかいである。

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  本件訴訟には、福島原発被害東京訴訟サポーターズという支援団体が立ち上がりました。 この支援団体は、作家の雨宮処凜氏、NPO法人自立生活センターもやい代表理事の稲葉剛氏、 東京災害支援ネット(とすねっと)副代表で司法書士の後閑一博氏などが呼びかけ人となっています。
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文責 弁護士 吉田悌一郎