葛飾ビラ配布弾圧事件 不当判決!

弁 護 団 声 明

2007年12月11日

  本日,東京高等裁判所刑事第6部は,荒川庸生氏に対する住居侵入被告事件について,原判決を破棄する不当な判決を下した。

  本件は,民間分譲マンションの各戸ドアポストに日本共産党東京都議団・葛飾区議団が発行した議会報告等を投函する目的でマンション内に立ち入った 荒川氏の行為が住居侵入罪に該当するとして,見せしめ的な家宅捜索と不当な逮捕勾留の末に公判請求された事件である。

  2006年8月28日,東京地方裁判所刑事第12部は,ビラ配布目的による集合住宅共用部分への立入行為が刑事上の処罰対象とすることについての 社会通念は未だ確立しているとはいえないとして無罪判決を言い渡した。 同判決は,審理過程を通じて明らかとなった事実関係,すなわち本件マンションがオートロック式でなく管理人も非常駐であり, 集合ポストにもドアポストにも様々な商業ビラが投函され,葛飾区の公報誌も配達人により投函されていること. 新聞はドアポストまで配達されていることなどを正当に評価し, 本件マンションを含む集合住宅においてポスティングが日常的に行われている実態を率直に担えた極めて常識的な判決であった。

  控訴審判決は,このような実態・社会常識を無視するものである。 また,ポスティングが言論表現の自由という憲法21条1項で保障された民主主義の根幹をなす重要な人権に由来することを無視し, ポスティング処罰により失われる利益と得られる利益との緻密な利益衡量を行わずに形式的判断に終始したことは, 裁判所が 「憲法の番人」 としての役割を放棄して訴追機関による言論弾圧を追認する機関と化したことを意味する。

  我々は,言論活動への締め付けが繰り返された戦前の暗黒社会への逆戻りは許されないという断固たる決意のもと,この不当判決を覆すべく, 荒川氏および自由を愛する多くの市民とともにさらなる闘いを継続するものである。

以 上