思いやり予算を廃止せよ

自由法曹団東京支部

1  3月31日期限の思いやり予算協定が失効した。

  私たち自由法曹団東京支部は、東京の弁護士で構成する法律家団体として、思いやり予算協定の失効を歓迎し、思いやり予算そのものの廃止を求める。

2  日本は平和憲法を有している。にもかかわらず政府は日米安保条約を締結し、米軍基地の設置を認め、米軍にさまざまな便宜を供与している。 便宜供与の具体的な内容は地位協定で定められているが、思いやり予算はその地位協定からも負担の義務のないものである。

  地位協定24条は 「日本国に合衆国軍隊を維持することに伴うすべての経費」 は地位協定自身が規定する例外を除いて 「この協定の存続期間中日本国に負担をかけないで合衆国が負担する」 と明記している。 ところが思いやり予算は地位協定でアメリカが負担すると約した経費を日本側で負担するというものである。

  思いやり予算は地位協定上の義務のない便宜を米軍に提供することでアメリカの先制攻撃戦略を後押しし世界の平和を危うくしている。

  米軍再編に対する反対が広まるとともに、相次ぐ米兵犯罪に対し東京都議会は 「米軍人の綱紀粛正に関する意見書」 を採択し、米軍駐留への批判も高まっている。 不平等な地位協定についても改定の声が大きくなっている。まして地位協定の根拠さえない思いやり予算は認められない。

  今回、思いやり予算協定が失効したのはこうした市民の意思が政治に反映して、現実を動かしたものである。

3 私たち自由法曹団東京支部は思いやり予算を全額廃止し、格差と貧困の是正のためにも社会保障にまわすことを求めるものである。

2008年4月1日
自由法曹団東京支部
支部長 島田修一