東京生存権裁判東京地裁判決に抗議する

2008年6月27日

  6月26日、東京地方裁判所は、いわゆる東京生存権裁判について、請求を棄却する判決を言い渡した。
  私たち自由法曹団東京支部は、東京の弁護士から成る法律家団体として東京地裁判決に抗議する。

  東京生存権裁判とは、70歳以上の生活保護受給者に加算されていた老齢加算を廃止した保護変更決定処分の取消を求めたものである。

  老齢加算とは高齢者に特有の生活需要を満たすための制度である。

  しかし、いわゆる骨太の方針2003は社会保障費の抑制として老齢加算の 「見直し」 方針を打ち出した。 そのため、老齢加算は2004年度から段階的に削減され、2006年度からは全廃された。 その結果、老齢加算の廃止による生活扶助額の削減は約20%にも及ぶこととなった。

  このような措置は 「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」 を規定する憲法25条に反し生存権を侵害するものであり、また生活保護法の基本原則にも反する。 そして生活保護法56条の不利益変更禁止の原則にも違反している。原告らはこのことを指摘し、生存権保障のための断固たる判断を示すことが裁判所に求められていた。 しかし、判決はその任務を放棄し行政に追随したものであった。

  絶対的貧困と格差の問題が深刻になる中、生活保護は人間らしい生活を送るための生存権保障の最低限の措置であって、その重要性はますます高まっており、 削減は許されるものではなく拡充こそが必要となっている。

  私たちは東京地裁判決に抗議するとともに、生活保護を始め社会保障の拡充のためにさらに奮闘するものである。

自由法曹団東京支部幹事会