麻生首相の集団的自衛権行使発言に抗議し、
自衛隊の撤退を求める

1  麻生首相は、集団的自衛権は行使できないとする政府の憲法解釈について変更すべきと発言し、集団的自衛権行使の姿勢を明確にした。 私たち自由法曹団東京支部は、東京の弁護士から成る法律家団体として、麻生首相の集団的自衛権行使発言に抗議する。

2  集団的自衛権行使に向けた動きは昨年の参議院選挙における与党の敗北によって大きな打撃を受けた。 安倍元首相の下で設置された 「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」、いわゆる安保法制懇は報告書を出したものの事実上、たなざらしとなり、 自衛隊をいつでも、どこでも、期限なく海外へ派兵し武力行使の道を開く派兵恒久法も与党プロジェクトが設けられたが法案要綱は出せなかった。
  これは平和憲法を守り活かすことを求める市民の声が反映したものであり、この声は名古屋高等裁判所で自衛隊イラク派兵違憲判決を勝ち取り、 遂にイラクからの自衛隊撤退表明をさせる成果を生み出した。新「テロ」特措法延長の目処が立たないことが理由の一つとなって福田前首相が退陣したが、 これも市民の意思の力が政治を動かしたものである。

3  ところが麻生首相は、こうした市民の声とそれが実際に政治を動かしていることに目をつぶり、執拗に集団的自衛権行使を目論んでいる。 このような首相の姿勢は必ずや市民の厳しい審判を受けるであろう。

4  私たち自由法曹団東京支部は、集団的自衛権行使の動き、恒久派兵法を始め自衛隊の海外派兵策動一切に反対する。 今、麻生首相に求められているのは、自衛隊を直ちに撤退させることである。

  2008年9月30日
自由法曹団東京支部
支部長 島田修一