2011.7.17更新

シリーズ 原発


NPJ 福島へ 7月17日

NPJ代表 梓澤和幸

  「子どもたちを放射能から守る福島ネットワーク」 主催で、福島市内福島テルサで行われた 「もう原発はいらない〜子どもたちを放射能から守ろう」 「福島生活村 第2弾」 と、広河隆一氏、高橋哲哉氏の講演会を取材した。   別室では医療相談も行われ、生活村では避難に関連する相談の他、法律相談も行われ、 東京から 「子どもたちを救う法律家のネットワーク」 を準備中の弁護士7名も参加した。

  生活村では定員200名ほどの部屋にデスクが配置され、一時避難、移住を考える親たちが子ども連れで来て、それぞれの悩みと打開策を相談していた。

  昼食後、広河隆一氏の “チェルノブイリを生きる” と題した講演があり、200名ほどの聴衆が聞き入った。 チェルノブイリに50回は通ったという広河氏の講演は、報道写真家である広河氏ならではの写真映像を次々と重ねていくもので、心にしみ入っていく内容だった。


  甲状腺ガンに罹患し、手術を受ける少女の映像、その少女たちが好奇の視線にさらされることのない何十人かで撮った笑顔の写真、 チェルノブイリから1500キロ隔てたドイツ・ミュンヘンの汚染土壌の映像、食品を自主的に検査して生き延びてきたドイツ市民の運動の映像は、 一つひとつがレンブラントの絵画のように光と影が彫り分けられ、しかも受難のうちにある映像の対象への祈りのようなものがあり、 胸の奥深くにしみこんできた。

  時に 「見たくない」 ような画面と思わせた写真で、激しいメッセージを送ってきたこの作家の語り口が、穏やかでやさしいことに気づかされた。

  “フクシマ” を抱えながら見るチェルノブイリの画像に向き合うと、今までと違う何かが向こうとこちらに通う。
  チェルノブイリから25年経った。私たちは犠牲を受難のうちにある人々に共感と支援を寄せながら、これからの短くない年月を生きてゆくのだ。