福島第一原発 フリーランス代表スチール取材報告 第4回

写真家 尾崎孝史 2012.12.7


免震重要棟の前でバスを待つ青い防護服の作業員


  免震重要棟の前で見慣れない集団に出会った。皆、防護服の色が青いのだ。 各人、手にはラフなバッグやビニール袋を提げている。 少し離れたところには、白い防護服の作業員たちがいた。 「TOSHIBA」、「大林組」、「TEPCO」。 背中に記された文字には、大手企業の名前が目立つ。 原子力規制庁の職員やメディア関係者も白色だ。 青い防護服には意味があるのか。東電の広報担当者が答えた。

  「色の違いは乗車できるバスを区別するためのものです。 現在、私たちは移動のためのバスを二種類用意しています。 一つは、車内の除染レベルが高いもの。もう一つは、除染レベルが低いものです。 構内で移動を繰り返す作業員は、どうしても被爆の機会が多くなります。 過って彼らが除染レベルの高いバスに乗らないよう、青い防護服を着用させているのです」

  現場で働く作業員は総勢3千人だという。しかし、構内をくまなく巡回しても、目視できるのは50人程度だ。 それ以外の作業員がどこで何をしているのか、説明を求めてもきちんと答えられる広報担当者はいなかった。 もちろん、青い防護服の作業員についても然り。
  今月、最高で1万1800ミリシーベルトの甲状腺被爆者の存在が報じられた第一原発。 閉ざされた職場で進む健康被害に誰が歯止めをかけるのか。一刻の猶予も許されない事態が続いている。


大手企業の名前が記された白い防護服を着た作業員