2009.2.28更新

大学生70日間世界旅日記
〜ロサンゼルス(LA)編〜
相川 和真
目次

  2008年10月2日、僕ら二人は世界一周の旅へ向けて成田空港を出発した。
  最初の目的地はアメリカのLA。アメリカに行くのは初めてだったが、正直あまり興味もなかった。 ただ、世界一周航空券というチケットで行くことができたからついでに行ったという程度だった。そんな気持ちでこの旅最初の地LAに到着した。


LAの街並み

  この旅ではフライトの日にちを決めただけで他は何も決めていない。今までも海外へ行く時はいつもこのスタイルで、 目的地に着いて最初にやるべきことは宿を決めることだった。 今回もまず宿を探すため、10kg近くあるバックパックを背負い、強烈な太陽の日差しを浴びながらひたすら安い宿を探しまわった。 ようやく空室のある宿を見つけそこに決めた。値段は一泊約50ドル。僕らはこの旅の予算を一日5000円程度と決めていた。 物価の違いは場所によって異なるが、高いところと安いところでうまくバランスをとりながらやっていくことにしていた。 しかし、当時はまだ1ドル110円くらいだったので、いきなり最初の宿代だけで予算をオーバーしてしまった。 他の宿を探す気力はもはやなかったので、仕方なくその宿にチェックインした。
  僕らが泊まる宿はLAのハリウッドの近くで、有名なハリウッドの看板や観光スポットを見にいった。しかし、僕らの興味を惹くものが全くといっていいほどなく、 僕たちは暇を持て余した。さらに、昼飯で食べたファーストフードが異常なほどまずく、そのせいでその日はずっと気持ちが悪かった。


有名人の手形

3時間ほど観光して16時には宿へ戻り昼寝をした。アメリカなんか旅程に組み込むんじゃなかったとこのとき初めての後悔をしたが、この先何度も思うこととなる。


HOLLYWOODの看板

  目を覚ますと20時になっていた。夜の治安に対する不安もあったが、腹も減ったので僕らは外へ出た。 少し歩くと偶然にもファミリーマートを見つけ少し興奮。日本で売っている菓子がそのまま売られていたり、ペットボトル飲料も日本のものだったりと、 こんなところにも自分に馴染みのあるものがあるのかと思い何故か少し嬉しかった。街は相変わらずのつまらなさだった。とにかく見るものがない。 もちろん僕という一つの価値観からの見方だが、近代化されすぎていて、無機質で街に人間味が感じられなかった。 それは僕の住んでいる東京にも同じことが言えるが、人の温かさを直接的に感じることはできなかった。

  3日目泊まっていた宿をチェックアウトし、すぐ近くの一泊40ドルの宿へ移った。 いい忘れたが、宿は特別な説明がない限り全て1室2ベッドの部屋で、料金は部屋単位なのでこの部屋だと2人別々だと、合計80ドルにもなる。 海外に行く時に二人で行くメリットはいくつかあるが、このようにダブルで部屋をとった方がシングルでとるよりも安くなることがメリットの一つだ。

  荷物を置き早速観光へ。この日は地下鉄に乗ってダウンタウンへ行った。金融の街らしく銀行のビル群ばかりで全く面白味のない風景だった。


銀行のビル群

  その後、リトルトーキョーへ行き日本食を売っている店でカップ麺を買い、地下鉄に乗り宿へ向かう。電車を待っていると黒人の女の人が近づいてきて話しかけてきた。 危なそうな雰囲気だったので無視していると、同じ車両に乗りこんできてずっと睨んでいた。


カップ麺を買った店

  何駅か通過したところで降りていき、最後に笑いながら何か捨て台詞をはいたが結局なんて言ったのか分からなかった。ちょっとした恐怖を感じた体験だった。


リトルトーキョー

  海外で地下鉄に乗ることは一般的にはおすすめでないことは知っていたが、その原因に治安の悪さがある。 LAでは、地下鉄に乗っているのはほとんどが比較的貧しい黒人や移民系の人々であり、白人はほとんど見ない。 駅から地下に入っていくと明らかに違う世界になる。蛍光灯も必要最小限しかないため薄暗く、これでは治安がよくないのも当たり前だなと感じた。
  これは別に黒人や移民系の人々が犯罪を犯しやすいということを意味しているのではなく、極端に地下鉄の駅構内を暗くする政府や州の、 何か意図的なものを勘繰らざるを得なかった。(考えすぎかもしれませんが…)

  4日目、色々と悩んだ挙句しゃぶしゃぶを食べることにした。食のレベルがかなり低いLAだが、この店だけはおいしかった。 この旅始まって以来、初めて機内食よりもいいものを食べた。当然値段も張ったが、幸せな時間を金で買うと発想転換をしたらいくらでも食べることができた。 このとき、アメリカは金をかければ楽しいのだと悟った。

  5日目、二番目の都市トロントに向かうため空港へ向かった。列車が遅れ、ぎりぎりの時間になったがなんとか間に合った。 何も食べていなかったので機内食を楽しみにしていたが、なんと機内食が有料だった。この時再び 「アメリカは金をかければ楽しい」 という僕なりの悟りを実感した。
  American Airlineにはもう二度と乗らないと心に誓い、僕らは空腹のままトロントへ向かった。