〜〜 名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟
弁護団・支援する会 声明 〜〜

2008年11月11日

              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟弁護団
              名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟を支援する会

声 明

  本日、最高裁判所は、名古屋三菱・朝鮮女子勤労挺身隊訴訟について、上告人らの上告を棄却する決定を下した。

  本件は、幼い少女たちに対する強制連行・強制労働により言葉に尽くすことのできない深刻な被害を上告人らに与えたものである。 今回の決定は、人権救済の最後のよりどころである最高裁判所がその責務を放棄したものと言わざるを得ず、我々は強く抗議する。

  一方、最高裁決定は、適法な上告理由に当たらないとして、形式的な理由をもって上告人らの上告を斥けたもので事案の内容にわたる判示はない。 したがって、最高裁決定によって、原判決(名古屋高等裁判所2007年5月31日判決)が判決内容も含めて確定した。 原判決は、国及び三菱重工業株式会社による上告人らに対する強制連行・強制労働の事実を認め、両者の不法行為責任の成立を認めたものである。 原判決が上告人らの請求を排斥したのは、日韓基本条約とともに締結された日韓請求権協定によって、訴権を失ったとする一点にある。 訴訟手続きにおいいては、強制労働被害者である上告人らは、裁判所に訴えて被上告人らの責任を追及することができないとされただけであり、 不法行為責任を負うとされた被上告人らが裁判外において、上告人らに対する責任を果たすことが求められていることは明らかである。 つとに最高裁も戦後補償の事件について、当事者及び関係者の訴訟外における自発的な解決を求め、 国及び加害企業が、加害責任を果たすべきことを促しているところである。

  上告人らは、すでに80歳の高齢に達し、みな一様に病気を初めとする体調の不良を抱え、残された時間も限られている。

  上告人らは12歳から16歳という幼少時に、遠く日本に連行され、厳しい労働を強いられ、帰国後も60年余にわたって、厳しい差別・偏見にさらされ、 人生を奪われたに等しい被害を被ってきた。上告人らが生あるうちに、その尊厳を回復する措置がとられなければならない。

  我々は今後とも、国及び三菱重工業株式会社に対して、本件強制連行・強制労働による被害に対する回復を求めて、全力を尽くす決意である。