新刊 『人が壊れてゆく職場
 自分を守るために何が必要か』 の紹介


  弁護士の笹山尚人といいます。本を出版しましたので、その紹介をします。

  話しは突然、やってきました。2007年秋、「光文社」 という封書が、私のもとに届きました。 曰く、労働の現場と労働法に関する私の講演を聞いた、その話しを新書にして出版しないか、と書かれてありました。

  私は、2000年の弁護士登録以来、労働事件と労働運動を中心に事件を取り扱っています。 とりわけ、フリーターや派遣、アルバイト、パート、嘱託、契約といった、いわゆる 「非正規雇用」 の労働者の権利問題に強い関心を払い、 いかなる雇用形態であっても憲法と労働法の定める労働者の権利を実現し、働きやすい職場つくりのための事件活動を行ってきました。
  このページでも、「すき家」 のアルバイトの権利問題、「SHOP99」 の名ばかり管理職問題の事件を紹介してもらっています。

    その関係で、私が取り扱った事件の経験や、労働法の意義、使い方などをお話しする講演は、よく頼まれています。 その経験が、こんな形で生きるとは思っても見ませんでした。

  私は出版のお話を受けることにしました。なんと言っても本は形になって残ります。 私がお会いしたことがなくても、たくさんの方の目に触れるなら、講演でお話しする以上に、多くの人の役に立つだろうと思ったからです。

  まとまってものを書くというのは、大変な作業でしたが、大好きな温泉に籠もって集中して書くということをやってみたら、書き上げることが出来ました。 昔の文豪の方や、映画監督の小津安二郎氏が、よく温泉に籠もって小説や脚本を執筆していますが、その気持ちがよくわかりました。 温泉地というのは、静かで、集中して書く作業するには最適です。

  私がひととおりの原稿を書き上げたのは4月でした。書いたもとの原稿を、たくさんの人に見て貰って、チェックにチェックを重ねる作業が続き、それはそれで大変でした。 ここはこうしたほうがいいのでは、という照会がいちいち私のもとに来るのですから。
  そうした作業を繰り返し、7月17日、出版が実現しました。

  タイトルは、「人が壊れてゆく職場 自分を守るために何が必要か」 といいます。光文社新書、798円、税込です。

  内容ですが、私がこれまで担当してきた事件を素材に、実践的に労働法の内容を解説すると共に、たたかうこと、労働組合への団結の重要性、 それをてこに政治を変えることの重要性を書いた書籍です。
  名ばかり管理職と残業代、賃金の一方的切り下げ、パワハラ、解雇、雇い止め、派遣労働者の解雇、整理解雇、そして労働組合のたたかい。 弁護士が関わる労働事件については、分野の多くを紹介できたのではないかなと思います。 また、それらの事件に関わる法令については、ひととおりの説明を加えるのはもちろん、最新情報として、労働契約法、労働審判法の情報も盛り込みました。

  こうして形になって、実際に本屋さんに並んでいるのを見て、平積みになっているのを見ると、感慨はひとしおです。 願わくば多くの労働者に読んで頂いて、その人たちの役に立って欲しい。そういう気持ちです。 しばらく本屋さんにとどまり、私の本を手に取る人がいないかな、と見ていたり、手に取る人が出たら、「そのまま会計に向かってください!」 と念じてみたり、 実際に買う人を見て、頭を下げてみたり (向こうは 「?」 という顔をしている)。

  というわけで、このページをごらんになっているみなさんにもぜひ読んで頂きたい、そういうお願いをします。 とくに新書は移り変わりが激しいのです。発売された直後の最初の1ヶ月は、本屋さんにたくさんありますが、その後は見かけなくなることが多くなります。 ぜひお早めにお買い求めいただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

2008年7月25日
笹山 尚人