裁判員制度と知る権利の集会に参加して


  4月25日、土曜日の上智大学の教室。どしゃぶりの大雨の中、150人の教室がほぼ満員になっていた。 裁判員制度と知る権利のシンポジウムでは、裁判員制度に対する期待と内在的批判のぶつかり合うパネリストによる熱い議論が行われた。 そして、「裁判員になるかもしれない」 という切実で何とも表現し難い雰囲気が会場には溢れていた。

  裁判員制度には、制度としての問題の側面と、それを前提に、一人ひとりがこの制度にどのように関わるのかという問題がある。 私は、質疑応答の際に、「良心的裁判員拒否」 について発言した。良心的裁判員拒否は、裁判員制度それ自体に反対するものではない。 それは、その人が裁判員制度にどうかかわるか、主体的な選択の余地があるかという問題である。それに対して、うなずく顔、首をかしげる顔。 会場の人たちの顔は、真剣であった。人を裁くことの重み、裁判員になることの重みを感じている顔であった。そのことが強く印象に残った。

  裁判員制度の持つ問題点を考えながら、同時に私たち一人ひとりが、裁判員制度とどのように向き合うのか。裁判員制度開始まで、1か月。 この思いを少しでも深めていければと思う。

裁判員ネット 代表 大城 聡 (弁護士)