再稼動など、「原子力規制委」 の責任は重大

ジャーナリスト 池田龍夫 2012.8.3
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  衆参両院の議院運営委員会は8月1日、「原子力規制委員会」 初代委員長として内閣が提案した田中俊一氏(前内閣府原子力委員長代理)を呼び、 所信を聴取した。

  原子力規制委は、福島原発事故を反省して独立性の高い国家行政組織に基づく 「3条委員会」 と位置づけられ、大きな権限を持つ。 各党は所信聴取を踏まえて党内で検討、8月上旬にも衆参本会議で政府人事案を採決、9月に発足させる予定だ。

  田中俊一氏は日本原子力研究開発機構の要職にあったため 「原子力ムラの人物」 との批判もあり、議運委に臨んだ田中氏は慎重な姿勢で質疑に応じた。

  先ず原発再稼動について 「(政府の暫定的な)判断基準を含め、慎重に確認、評価する」 と強調。 再稼動に踏み切った大飯原発3、4号機(福井県)に関して 「活断層があれば当然停止してもらう」 と述べた。 現在、大飯原発と志賀原発(石川県)についての活断層再調査が行われており、「活断層調査は事業者任せではなく、 委員会として調査に加わっていく」 とも語った。

  また 「40年を超えた原発は厳格にチェックし、要件を満たさなければ運転させない姿勢で臨むべきだ」 と述べ、規制委の透明性を守ることで、 今までとは違う、事業者とは一線を画した行政ができる。基本的には原則すべて公開したい」 とも強調した。

  「原子力規制委」 は独立性を守って、安全対策の強化を目指してもらいたい。国民もまた、口先だけの対応≠監視続けなければならない。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。