中断していた 「大間原発」 建設再開に驚く
ジャーナリスト 池田龍夫 2012.10.4
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  野田佳彦政権は先に 「2030年代の原発稼動ゼロ」 を発表したものの、核燃サイクル維持など多くの矛盾点が指摘されている。 福島原発事故後、建設中だった原発3基の工事は中断していた。その1つのJパワー(電源開発)は10月1日、 大間原発(青森県大間町)建設再開を明らかにした。
  Jパワーの北村雅良社長は 「大間原発は原子力燃料サイクルの一翼を担う重要な発電所だ」 と強調。 同原発は、使用済み核燃料再処理でできたプルトニウムとウランの 「混合酸化物(MOX)燃料」 を使って発電する計画で、 発電開始となれば世界初の 「フルMOX原発」 になるという。 もう1つの問題点は、大間原発を40年間動かせば、「30年代原発ゼロ」 の目標は達成できない。 景気よく 「建設再開」 を打ち出したものの、野田政権の原発政策は矛盾だらけだ。
  津軽海峡を挟んで位置する北海道側自治体は深刻で、特に大間から約23キロに位置する函館市の工藤春樹市長は1日、 建設差し止め訴訟を準備していると表明した。建設再開がすんなり運ぶとは、とても思えない。
  原発推進派のゴリ押しを許してはならない。野田政権は 「新エネルギー政策」 の抜本的見直しに踏み切るべきである。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。