日・米・中、沖縄周辺海域の波高し
ジャーナリスト 池田龍夫 2012.10.17
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  中国海軍の駆逐艦・潜水救難艦など7隻が10月16日朝、 沖縄・与那国島南南東約40キロの接続水域内を太平洋から東シナ海に向け北上していることが確認された。 帰属問題で揺れる尖閣諸島の南方約200キロで、中国軍艦がこの海域を航行したのは初めてという。 ただ、領海の外側の接続水域を外国船が通過することは国際法上認められており、微妙なケースである。
  何とも不穏な動きだが、沖縄の米自衛隊と陸上自衛隊が11月、島嶼奪還訓練の計画を立てていることに驚かされた。 沖縄・入砂島が敵に占拠されたと想定しての奪還作戦。ボートに乗って上陸、ヘリコプターで着陸して敵を制圧する訓練という。 これまた物騒な日米合同訓練である。陸自と海兵隊は9月、初の離島奪還訓練をグアム島で行なったが、日中間の緊張が高まる海域での訓練は、 余りにも刺激的ではないか。
  中国の軍備拡張を抑止する効果を狙った訓練に違いないが、逆に中国を苛だたせて対立激化の要因になり兼ねない。 今回の日米合同訓練もまた米国主導とみられ、今からでも遅くないから再考を求めたい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。