改憲狙う安倍自民党、石原維新の会に要注意
ジャーナリスト 池田龍夫 2012.12.3
目次

  衆院選は12月4日公示され、16日投開票が行われる。第3極、第4極を目指して新党が続々誕生、異例の12党乱立の選挙になった。 政争に明け暮れ、政策が実行されない政治状況を反映したものだけに、今回の選挙は 「日本政治の転換点」 とも言える重大な意味を持つ。 11党首(新党日本・田中康夫代表は不参加)による討論会が11月30日、日本記者クラブで開催された。 原発政策の在り方や改憲問題、金融政策、TPP(環太平洋連携協定)交渉参加をめぐって論争が2時間半繰り広げられた。

  「原発ゼロ」 政策を掲げたのは、民主など8党
  この中でも、脱原発と改憲問題が最も重要争点と考える筆者は、主だった各党の主張を簡単に紹介して、分析を試みたい。 野田佳彦首相は 「2030年代に原発ゼロを目指し、あらゆる政策資源を投入する」 と強調。 日本未来の党・嘉田由紀子代表も 「大地を汚し、故郷を奪う原発から卒業する。10年後までの卒業を目指す」 と、さらに踏み込んだ考えを表明した。 これに対し、安倍晋三・自民党総裁は、安全神話に寄りかかってきた過去の政策を反省しつつも、 「今の段階で原発を止めてしまえば、日本には原子力関係の技術者は育たない」 などと苦しい答弁。 「30年までにフェードアウト(消えていく)と記した政権公約について詰問された日本維新の会・石原慎太郎代表は、 公約を取り消させる」 と答えざるを得なかった(松井一郎・同会幹事長は直ちに 『党としての決定だ』 と反論)。

  東京新聞11月21日付朝刊が党首討論前の講演会で、石原氏が 「核を保有しない国の発言力は弱い。核兵器に関するシミュレーションやった方がいい。 一つの抑止力になる」 と発言したと報じていたが、こんなことを堂々と言える時代状況になったことが恐ろしい。
  また 「首相候補は誰ですか」 と問われた石原氏は、「平沼赳夫・元立ち上がれ日本代表だ」 と答えるなど、維新の会内部のチグハグぶりを露呈してしまった。
  結局、12党(新党日本を含む)のうち、民主党・共産党・社民党・日本未来の党など8党が 「原発ゼロ」政策について手法・工程などに差があるものの、 目指す方向は一致していると受け取っていい。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。