原発13基に、電源盤ショートの危険
ジャーナリスト 池田龍夫 2013.1.9
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  「原発10基超 防火に不備、経産省が調査開始」 というショッキングな特ダネが、毎日新聞1月1日付朝刊に掲載された。 配線に可燃性電気ケーブルを使用していたこたとが主原因と分かり、資源エネルギー庁が調査を開始。 原子力規制委委員会も近く電力会社からヒアリングし、7月までに新基準を作る予定という。

  毎日新聞によると、「原発の火災は1967年〜2012年3月までに136件発生しており、67年には東海原発で5人が死傷。 07年には柏崎刈羽原発3号機の変圧器が燃えた。11年の東日本大震災でも東北電力女川原発1号機で高圧電源盤がショートし7時間以上燃えた」 事故などが発生していた。今回指摘された危険な原発は、福島第一原発5号機など13基。 「原子力安全基盤機構」 は何回も対策強化を要請したが、電力側が難色を示して改善さていないと聞いて、愕然とした。

  女川原発は幸い大事に至らなかったが、背筋の寒くなる思いだ。3・11大地震のような規模でなくても、 震度5程度の揺れでも電源盤がショートして大災害につながる心配が募る。 電力会社の怠慢は許せないが、指示を出しっ放しの通産省の責任も大きい。 原子力規制委は7月に新基準を示すそうだが、半年の間に事故が起こらない保証はない。 とにかく、安倍政権はこの事実を深刻に受け止め、対応を急がなければならない。

(いけだ・たつお)
1930年生まれ、毎日新聞社整理本部長、中部本社編集局長などを歴任。
著書に 『新聞の虚報と誤報』 『崖っぷちの新聞』、共著に 『沖縄と日米安保』。